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夏休みの宿題のラスボスといえば「読書感想文」ですよね。「早くやりなさい!」とつい言ってしまう親御さんと、「何をどう書けばいいか分からない」と一行目で止まる子どもたち。
毎年多くのご家庭で繰り広げられるこの光景を、劇的に解消する「ズルい選書術」をご存じですか?
親も子も一番ラクをして、最短ルートで宿題を片付けられる。それなのに、なぜか子どもの『伝える力』までグンと伸びてしまう……そんなコツがあるんです!
今回は、受験指導やYouTubeでの明快な解説で大人気のにしむら先生に、親子のストレスをゼロにして宿題をサクッとクリアするコツをお伺いしました。実はこのやっかいな宿題は、AI時代を生き抜くために必要な、わが子の「伝える力」を育てる“最高のチャンス”でもあったのです!
マジック・ツリーハウス オフィシャルアンバサダー
にしむら先生 プロフィール
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings等で指導歴30年以上。 新卒入社の早稲田アカデミーでは入社初年度に生徒授業満足度1位。 駿台ではシンガポール校講師を経て、香港校校長を務める。 河合塾Wingsでは講師、エリアマネジャー、教室長、講師研修等を10年以上。 現在は、講演、出版、YouTube(「にしむら先生 受験指導専門家」チャンネル登録者13万人超)などでの情報発信を中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など15冊以上。
① 読書感想文はとにかく大変!つまずきの正体ってどこにある?
──夏休みになると、多くのご家庭から「読書感想文が終わらない!」という悲鳴が聞こえてきます。現状をどう見ていますか?
にしむら先生:本当に、今の親御さんもお子さんも、とにかく時間がないんですよね。夏休みの宿題は読書感想文だけじゃない。算数ドリル、漢字、自由研究、受験を考えているご家庭なら塾の宿題や夏期講習……スケジュールはパンパンです。
そんな中で取り組むには、かける時間がない割に負担感がものすごく大きい。親御さんが「できるだけ速やかに終わらせたい!」と思うのは当然ですし、本音中の本音なんですよね。まずは「大変なのは当たり前、手っ取り早く終わらせたいと思うのは悪いことじゃない」と、自分を責めないであげてください。
──そこまで負担感が大きい理由は、どこにあると思われますか?
にしむら先生:最初のハードルは「本選び」にあります。学校から課題図書のリストが配られることもありますが、そうじゃなかったり、課題図書に興味がもてなかったりした場合、「どの本がいいのかな」と探すところからつまずいてしまう。
さらに、いざ本が決まって読んだとしても、最大の難関である「書く」というプロセスが待っています。一文字も書けずにずっと固まってしまう子もいれば、なんとか書き上げても中身はあらすじのまとめだけで、自分の感想がどこにもない……という子もいる。学校でも具体的な書き方をじっくり教わる機会は少ないですから、親子で頭を抱えてしまうのは当然です。
② 読書感想文が、子どもの「伝える力」を育てる“最高のチャンス”になる?
──それほど嫌われがちな宿題ですが、なぜ昔からずっと残り続けているのでしょうか。
にしむら先生:私は、社会に出てから求められる能力の中でも、トップクラスに重要なのが「自分の考えていることを言葉にする力(言語化能力)」だと思っています。仕事でも人間関係でも、私たちは言葉を使ってコミュニケーションをとりますよね。この力が高い人は、自分の希望を摩擦なく相手に伝えやすくなりますし、誤解されてよけいな敵を作ることもありません。プレゼンや顧客への説明など、あらゆるシーンで得をします。
読書感想文という機会は、まさに「自分の考えていること」を、まだ見ぬ相手に向けて分かりやすく伝えるという、言語化能力を鍛えるトレーニングになっているんです。
昨今の中学入試を見ても記述問題が非常に多くなっていますし、今の時代はAIが普及していますよね。私も仕事でかなりの時間にAIを使っていますが、AIが出してくる文章って、どうしても80点止まりなんです。論理的には正しくても、人間の感性に響く突拍子もない面白さや温度感、120点のクオリティは出しづらい。
AI時代のいまだからこそ、人間ならではの感性で言葉を紡ぐ「読解力」と「言語化能力」の価値が暴落するどころか、ますます高まっています。読書感想文をただの苦行として終わらせるのではなく、たとえば「将来の自分に役立つチカラの練習なんだ」と捉え直すと、取り組み方がガラリと変わるはずです。
③ 本選びのお手本は「教科書」!? 親子のストレスをゼロにする3つのポイント
──子どものやる気に火をつけ、するする書かせるための「ズルい選書術」の極意を教えてください。
にしむら先生:親御さんはつい「名作」や「課題図書」を薦めたくなりますが、背伸びしすぎた本は挫折の元です。大人だって、いきなり難解な哲学書を渡されたら最初の数ページで挫折しますよね(笑)。子どもにストレスなく読書をさせるための条件は、次の3つです。
1. 子どもが「大好きな分野」から選ぶ
子どもがすでに好きなこと、興味を持っている分野から本を選びます。本を読むぞ!と身構えるのではなく、生活の延長線上にポンと興味を置くイメージです。スポーツが好きならスポーツ。恐竜、動物、料理、ダンスなど、何でもいい。興味のタネが最初からある本なら、圧倒的に入りやすいです。
2. 学校の国語の教科書を基準に「背伸びをしない」
分かりやすい基準は「文字の大きさや漢字のレベルが、今学校で使っている国語の教科書と近いかどうか」です。教科書の文字って意外と大きいのですが、親御さんが選ぶ本はたいてい小さな文字でびっしり書かれていたりします。まずは文字のサイズをお子さんのレベルに合わせましょう。
また、各学年の教科書のレベルに合わせた漢字の難易度になっていることが望ましいですが、「何年生で習う漢字か」なんてパッと分からないことが多いですよね。なので、すべての漢字にフリガナがあるものを選ぶのが、一番ストレスがありません。
3. 迷ったら、基準はコレ!
もし何を選べばいいか全くピンとこない場合は、児童書『マジック・ツリーハウス』シリーズから選んでみてください。私自身、親御さんから相談を受けるたび、実際にこのシリーズをお薦めしています。間口が広い内容で読みやすく、54巻もあって、各巻のバリエーションが本当に豊かですからね。14巻までは1冊に2話入っていて、低学年でも無理なく読める。15巻からは少しレベルが上がって、中学年以上に。さらに39巻からはテーマも高学年向け、という感じです。なので、小学生なら、ほぼこのシリーズの中から選べると思いますし、もしも「うちの子には簡単すぎたな」と思えば少し上の小説へ、「これでもハードルが高いな」と思えばもっと絵本に近い本へ、とこのシリーズを基準にすることを強く薦めます。
④ ライトな冒険から入試の頻出テーマまで!『マジック・ツリーハウス』で書く読書感想文
──具体的には、シリーズのどの巻から選んでいくのが良いでしょうか?
にしむら先生:まずはあまり難しく考えず、お子さんがパッと飛びつくテーマの巻を選ばせてあげるのが一番です。例えば、いまサッカーのワールドカップが開催されていますよね? サッカーが好きなお子さんには、1970年のワールドカップが舞台の38巻『サッカーの神様』はいかがでしょうか。今大会でも使われるスタジアムが登場しますよ。あるいはかっこいい恐竜が好きなら1巻『恐竜の谷の大冒険』や、ミステリアスな表紙で人気の2巻『女王フュテピのなぞ』も鉄板です。ハワイ旅行に行く前に14巻『ハワイ、伝説の大津波』を読んだというご家庭もあります。
……と、このように、夏休みはいろいろな体験をする家庭が多いと思いますので、アクティビティと絡めて選んでみるのも会話が弾みそうです。
伝記マンガが好きなお子さんには、歴史上の偉人が出てくる巻もおすすめです。ダヴィンチ、モーツァルト、ナイチンゲール、松尾芭蕉が出てくる巻があります。
ほかにも40巻『カリブの巨大ザメ』はいいですね。強い危険生物に興味があるお子さんにはぴったりだと思います。
ちなみに『マジック・ツリーハウス』シリーズには動物がテーマの巻が多く存在していますが、その中には「生物多様性」や「環境保全」「絶滅危惧種」を扱うものも。これらは、実は中学入試や高校入試の国語の論説文で、圧倒的トップに出題される超頻出トピックなんです。
子ども自身の「動物が好き!」「面白そう!」という純粋な好奇心を起点に選んだ本が、結果的に入試頻出テーマの先取りにもつながるかもしれません。
どれを見ても迷ってしまうなら、まずはシンプルに第1巻『恐竜の谷の大冒険』から読んでみる、ということをお薦めします!
⑤ 親ががんばる必要ナシ、ひとりで書ける方法って⁉
──いざ本が決まった後、具体的にどう寄り添えばスムーズに書き進められますか?
にしむら先生:読む本を手にしたら、親御さんはお子さんに、付箋を3枚だけ渡してあげてください。そして「読んでいて『おっ』と思ったセリフや、びっくりしたこと、心に残ったところにこの3枚を貼ってみて」と伝える。これだけです!
やるべきことがこれくらいシンプルで具体的になると、子どもは迷わず動き始めます。
読書感想文が書けない最大の原因は、本の最初から最後まで、すべてのあらすじを原稿用紙に盛り込もうとするからです。一冊の内容を原稿数枚にぎゅうぎゅうにまとめようとすると、ただのあらすじの要約になってしまう。そうではなくて、物語の中の「ここ!」というシーンだけにフォーカスして書くのが、攻略のカギになります。
書き方の基本パターンもすごくシンプルです。
● ステップ1:「読む前の自分」(例:普段の私は、こんなことを考えて生活していました)
● ステップ2:「本の中での出会い」(例:だけど、この本の登場人物のこの言葉に出会って驚きました)
● ステップ3:「これからの自分」(例:だから、これからはこんな行動をしてみたいと思います)
この3つのステップに沿って書くだけで、本との出会いによって一歩成長した姿が読み手に伝わり、おまけに学校の先生からも高く評価される感想文がバッチリ完成します。
忙しい親御さんがいっしょに本を読み込んだりする時間なんて、なくて当然ですから、そこは無理しなくていいです。私のYouTube動画でもこのステップを分かりやすく解説しているので、ぜひこの動画をお子さんにそのまま見せてみてください。ありがたいことに「親の言うことは聞かないけれど、にしむら先生が言ってたからやる!」って、付箋を貼り始めるお子さんは本当にたくさんいるんですよ(笑)。
◆これを見せて! にしむら先生の「読書感想文の書き方」YouTube動画はこちら
⑥ にしむら先生の原点も、子ども時代の読書にあり!?
──ちなみに、にしむら先生ご自身の子ども時代は、どんな本を読んでいたのでしょうか。
にしむら先生:私は子どもの頃、偉人の伝記を好んでよく読んでいました。伝記に出てくる人たちって、子どもの頃はだいぶぶっ飛んでいて、学校に馴染めなかったり、びっくりすることをやらかしたりしているエピソードが多いんですよね(笑)。でも親は「それでもいいよ」と見守っていて、そこから才能が伸びていく。
学校という閉鎖空間の中にいると、どうしても「先生の価値観が絶対」という同調圧力に縛られがちになります。だけど、本を通じていろんな偉人の生き方に触れることで、「あ、こんな自由に発想していいんだ」「いろんな価値観があっていいんだな」と、すごく視野が広がったのを覚えています。
──当時の読書体験が、今の人生の土台になっているのですね! ちなみに、子ども時代の読書感想文はどうだったのですか?
にしむら先生:実は、めちゃくちゃ得意だったんです(笑)。書くたびに先生に褒められて、何かの冊子に載るような子どもでした。
なぜ書けたかというと、当時から完全に「逆算」して考えていたからなんですよ。「どういうふうに書いたら、読んでくれる先生に上手く感想が伝わるか」という点を意識していました。
たとえば、あえて最初に「自分のちょっと弱い部分、ダメな自分」を正直に出しておく。そして本を読んだことで「こう変わった」というビフォー・アフターを組み立てる。そうすると、課題を出した先生側も「この本を読ませた意味があったな」と実感することができるわけです(笑)。読み手を意識して、どうすれば気持ちよく「伝わる」かを考えて言葉を組み立てる。私のいまの仕事の原点は、この子ども時代の読書感想文にあったといえますね。
⑦ 読書感想文で子どもの未来の扉を開く
にしむら先生:『マジック・ツリーハウス』を54巻読んでいる私の教え子のうちの一人が、モンゴルが舞台の53巻を読んだ後、「モンゴルに行ってみたい!」って言い出しました(笑)。
普通に生活してたら、なかなかモンゴルに行ってみたいって思う機会がないですよね。普段はそもそも知らなかったり、何の選択肢にもあがらないような場所や物事でも、本を通じて出会うことで、子どもの視野や価値観がぐわっと広がる。それって本当に素晴らしい読書体験だと思うんです。
時間がない夏休みだからこそ、せっかく本を1冊読む機会が発生しているなら、それを「本が好きになるきっかけ」に変えられたら最高だと思っています。
ぜひ肩の力を抜いて、親子ともにストレスのない最高の1冊に出会って、パパッと楽しく課題をクリアして有意義な夏休みを過ごしてください。応援しています!
インタビューに出てきた本
- マジック・ツリーハウス 第1巻 恐竜の谷の大冒険
- マジック・ツリーハウス 第2巻 女王フュテピのなぞ
- マジック・ツリーハウス 第14巻 ハワイ、伝説の大津波
- マジック・ツリーハウス 第23巻 江戸の大火と伝説の龍
- マジック・ツリーハウス 第24巻 ダ・ヴィンチ空を飛ぶ
- マジック・ツリーハウス 第27巻 モーツァルトの魔法の笛
- マジック・ツリーハウス 第33巻 大統領の秘密
- マジック・ツリーハウス 第37巻 砂漠のナイチンゲール
- マジック・ツリーハウス 第38巻 サッカーの神様
- マジック・ツリーハウス 第40巻 カリブの巨大ザメ
- マジック・ツリーハウス 第50巻 ヒマラヤ白銀のゴースト
にしむら先生が『マジック・ツリーハウス』オフィシャルアンバサダーに就任!
7/8発売の最新刊『[カラー新装版]マジック・ツリーハウス マンモスとなぞの原始人』の帯にもさっそく登場! シリーズの魅力をいたるところであますところなく伝える「伝道師」として、これからもご活躍いただきます!