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受験指導専門家・にしむら先生が考える「中学受験すると決めたら、真っ先にやるべきこと」

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「国語の壁」は多読で解決。勉強の基礎体力を作るため、まずこれからはじめて



画像提供:PIXTA

中学受験を考えはじめて、多くの人がぶつかるのが「国語」の壁ではないでしょうか。国語は全教科の土台となるものですが、算数のように解き方のパターンを理解すればいいわけでなく、知識を暗記するものでもない。点数を伸ばすための対策が立てにくい教科です。

「どうすれば国語が得意になるの?」そんな疑問に、書籍やYouTube、SNSでもおなじみの受験指導専門家・にしむら先生は、とてもシンプルな答えをくれました。

「じつは国語の力って、問題を解くトレーニングに入る前に、まず『日本語の基礎体力』をしっかり作ってあげるだけで、驚くほど伸びていくんです。さらに、国語だけでなく、社会や理科、算数の点数まで伸びていく。その『日本語力』を作るために、私は『マジック・ツリーハウス』というシリーズを読むことを、全力でおすすめしています」

なぜ、このシリーズなのか。そして『日本語力』がつくと、なぜ算数や理科・社会の成績まで上がっていくのか。にしむら先生に、保護者の目線に添ったアドバイスをじっくりうかがいました。



にしむら先生 プロフィール

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings等で指導歴30年以上。

新卒入社の早稲田アカデミーでは入社初年度に生徒授業満足度1位。

駿台ではシンガポール校講師を経て、香港校校長を務める。

河合塾Wingsでは講師、エリアマネジャー、教室長、講師研修等を10年以上。

現在は、講演、出版、YouTube(「にしむら先生 受験指導専門家」チャンネル登録者13万人超)などでの情報発信を中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など15冊以上。

 


中学受験における「国語」とは

——にしむら先生、早速ですが、中学受験において「国語が苦手」というお子さんは、具体的にどのようなポイントでつまずいているのでしょうか。

にしむら先生(以下、にしむら)現場でお子さんを見ていて感じるのは、じつは「受験国語の解法」でつまずくより、もっと手前の「日本語にふれている絶対量」の不足で苦しんでいる子が非常に多い、ということです。

最近の入試問題は、中学入試に限らず、高校や大学入試でも「文章の長文化」が共通のトレンドになっています。国語だけではなく、算数、理科、社会のすべての教科において、問題文が非常に長くなっているんですね。

ここで保護者の方に知っておいていただきたいのは、中学受験の国語では、大人が読むような哲学書の文章や抽象的な論説文が普通に出題される、ということです。これは、一般の人が20年ほどかけて身につける日本語力を、中学入試の11~12歳時点で求められていることを意味します。



——20年分の成長を、10年ちょっとで身につけなければならないと。

にしむらはい。中学受験する子は、単純計算で「ほかの人の2倍の日本語にふれておく必要がある」と言ってもいいでしょう。大人はつい忘れてしまうのですが、小学生は日本語を習いはじめてまだ数年。だから長文読解などは、半分「外国語」を読むようなものです。だからこそ、まずは圧倒的な量の日本語をストレスなく読めるようになっておくことが、全教科の成績を支える土台となるんです。

テクニックはあくまで「サプリメント」

—塾では「解法のテクニック」を教わりますが、それでは不十分なのでしょうか。

にしむらもちろん、テクニックは大切です。物語文ならこう読む、説明文なら正解をここで探す、といった戦略は、じつは算数に比べればバリエーションは多くありません。5つほどパターンを覚えれば、ある程度の対応は可能です。

でも、それはあくまで「サプリメント」で、効果は限定的です。アスリートを想像してみてください。プロのフォームをどれだけ動画で研究しても、実際にプロ選手のように競技することはできませんよね。体を動かす練習をしたり、そもそもそのための体格や筋力をつけていなくてはいけません。

国語において、それにあたるのが「読む力」。つまり、長い文章への耐性と語彙力です。この筋力がそなわっていない状態で、上に何を積みあげようとしてものせられません。だからこそ実戦に入る前に「多読」を通じて、しっかりと筋力と心肺機能を高めておく必要があるんです。

入試問題の多くは、小学校5年生の学習内容から出題されます。なので「多読」は、その前にあたる3~4年生の時期までに準備しておきたいですね。

国語力を伸ばすのに「マジック・ツリーハウス」が最適である理由

——にしむら先生が「これこそが最強の『多読』教材だ」と熱心に推奨されているのが、「マジック・ツリーハウス」シリーズですね。

にしむらじつは私、自慢じゃないですけど、これまで「マジック・ツリーハウス」を日本で一番多くの人にすすめてきた人間だと思っているんです(笑)。それくらい、このシリーズの「伝道師」になろうという思いが強くて。

いまも、成績のことで相談に来られる保護者の方や、新しく受け持つことになったお子さんには、まずこう聞くようにしています。「マジック・ツリーハウス54冊を、もう読みましたか?」って。もし「まだです」という答えだったら、私は迷わず伝えます。「じゃあ、まずはそれを読みましょう。話はそれからですよ」と。



——「話はそれから」、非常にインパクトのある言葉です。そこまで言い切るのには、どのような確信があるのでしょうか。

にしむら実際、私が家庭教師としてご家庭にうかがうと、本棚にマジック・ツリーハウスが全巻ずらっとそろっていることが珍しくありません。それを見ると、やっぱりうれしいですね。なぜなら、事前に私の動画を見て、実践してくださっている証拠ですから。

最初は「本はいやだよー」と言っていた子が、シリーズを1冊読んだらハマってしまい、あっというまに二巡目に入った、という話もよく聞きます。

なぜ、そこまでこの本を推すのか。このシリーズが、お子さんの国語力を伸ばすためにこれほどフィットするのには、明確な理由があります。

1. 絵本と小説のあいだの「絶妙な難易度」 

世の中には、低学年向けの絵本や読みもの、もう少し対象年齢が上の小説などは数多くありますが、じつはそのあいだをつなぐ「3〜4年生にぴったりな本」がなかなかありません。 たとえば児童文庫などは、すでに読書が大好きな子であれば4年生ぐらいから読めますが、3年生にあの文字の小ささはハードルが高い。一方で、中学受験を目指す3〜4年生に大きな文字の本は、ちょっと物足りないですよね。その点このシリーズは、文字の大きさが本当に絶妙です。文章も短くてテンポがよく、とにかく読みやすい。読書習慣がまだこれからという子にとっても、背伸びしすぎずに「1冊読み切れた!」という達成感を得やすい設計になっているんです。

2. 「選ぶストレス」をなくすシリーズの力 

読書習慣がない子や、忙しい保護者の皆さんが、毎回書店に行って「次に読む1冊」を自力で選ぶのは至難の業です。塾の先生はよく「好きな本を選ばせてあげて」と言いますが、それが一番大変でむずかしい。 でも「マジック・ツリーハウス」は、シリーズですでに54冊も出ているので、一度ハマれば「次は2巻、次は3巻」と、50冊以上も探す手間なく読み進められます。

さらにこのシリーズは、性格が対照的なお兄ちゃんのジャックと妹のアニーというダブル主人公なので、性別や年齢、性格を問わず、どんなお子さんにも共感の入り口が開かれている。これもおすすめしやすい大きな理由です。

だからこそ私は一貫して、「まずは、この54冊を読み遂げることから始めましょう。話はそれからですよ」と、伝えつづけているんです。

理科・社会の「背景知識」が、暗記を「興味」に変える

——国語力以外にも、このシリーズが受験に役立つ側面があるそうですね。

にしむらそこがこのシリーズの本当にすごいところです。この物語は、ジャックとアニーが本を開いて、恐竜時代や古代エジプト、さらには第二次世界大戦下のヨーロッパや宇宙まで、ありとあらゆる時代と場所へ冒険に出かけます。これがそのまま、中学受験の社会や理科の「前知識」になるんです。

中学受験の勉強においては、学習の前に「関心の種が植えられているかどうか」が、決定的な差になります。まったく知らない土地や時代について、いきなり「これ覚えて」と言われても、子どもにとっては苦痛でしかない。いわば「苦行としての暗記」になってしまい、記憶にも残りません。



——たしかに、イメージが湧かないことを覚えるのは、大人でも大変です。

にしむらところが、マジック・ツリーハウスで一度「疑似体験」していれば話は別です。歴史や地理でエジプトが出てくれば「ああ、2巻目のピラミッドが出てきたところだ」と情景が思いうかぶ。あるいは「第二次世界大戦」の話が出てきても、39巻『第二次世界大戦の夜』を読んだ子は、当時の世界情勢がわかっています。

勉強って、「先に関心がある」ことがすごく大事なんです。自分の好きなアイドルのこと、好きなタイプのアイドルのことなら、自分から知りたくなりますよね? それと同じで、多方面に「なんか知ってる!」というアンテナを、できるだけ広げておきたい。

どの塾の先生も同様のことは言いますが、じゃあ具体的にどうすればいいかという「具体」のアクションプランはなかなか出てきません。私は「マジック・ツリーハウス」をおすすめします。このシリーズを読めば、自然科学や歴史、地理の関心の種がいっぱい与えられる。この「前知識」が身につくことが、私がこの本をすすめる大きな理由の1つでもあるのです。

私はもともと国語と社会の講師をしていますが、このシリーズは文章読解力を鍛えながら、同時に理科や社会の知識も身につく。まさに一石二鳥、三鳥なんですよね。

じつは、このマジック・ツリーハウスをはじめて知ったとき、私自身も「こういう本を作りたかった」と思ったくらいなんです。世界中を旅するのが大好きな私から見ても、子どもたちがこのシリーズの主人公たちと一緒に世界を冒険しながら、いつのまにか未知の分野への関心を広げていけるこの設計は、教育教材として本当に理想的だと思うのです。

単に入試の点数を取るためだけでなく、その奥にある「世界への関心」を広げるための入り口として、これほど優れたシリーズはなかなかありません。だからこそ、私は自信を持って、この本をすべてのご家庭におすすめしているんです。



中学受験の「土俵」に立てるかを見極める「ひとつの基準」

——先ほど「まずは54巻読んでみて」とおっしゃっていましたが、やはり4年生の終わりまでに全巻読み切ることを、ひとつの指標として提唱されているのでしょうか。

にしむらそうですね。もちろん、お子さんごとにペースはありますが、目安として「4年生の終わりまでにこれらをストレスなく読めるようになっているか」というのは、中学受験を考えるうえで非常にわかりやすい判断基準になります。

誤解を恐れずに本音を言えば、このシリーズくらいのレベルの読書を自ら楽しんで読めないようであれば、そもそも中学受験をする「土俵」に立てていない、と思うんです。

——「土俵に立てていない」。かなり踏み込んだ表現ですが、それは受験に向けた「適性」の問題でしょうか?

にしむらはい。入試を行うような中学校は、日常的にこういう読書を楽しめるような子になってほしいと考えて入試内容を組み立てています。ですので、もしこのシリーズくらいのレベルの読書で「もう無理、苦痛だ」と感じてしまうのであれば、無理にその道(中学受験)に進む必要はないかもしれません。ほかの道…たとえば地元の公立中学に進んで、ゆっくり高校受験に向けて準備するほうが、その子にとって幸せな場合も多いですから。

だからこそ、4年生の終わりまでにこの54巻を読み切れるかどうかは、中学受験というきびしいレースをそのまま走りつづけるか、あるいは一度「進路変更」を考えるべきかを判断する、非常に有効な指標にもなります。



——54巻というボリュームを前に、親子で尻込みしてしまうこともあるかと思います。どうすれば、お子さんをその「土俵」にのせてあげられるのでしょうか。

にしむら一気に全部(54巻)を目の前に置くと、子どもも圧倒されてしまうので、まずは1巻と2巻をすすめてみましょう。まずはその2冊をなんとか読んでもらう。1巻・2巻を読んで「おもしろい!」となってくれれば、どの子もお話にのめりこんでいきます。そうしたら、あとは「3巻も4巻も読みたい」と自分から言ってくれるようになるんです。

——まずは「1冊、2冊」を自力で読み切る。そのハードルを越えさせることが大切なのですね。

にしむらそうです。保護者の声がけとしては、まずはこの2冊を読んでもらう。そこさえクリアできれば、もう結構その先が見えてきます。

それに、このシリーズのすごいところは、これだけ巻数があるのに「当たり外れがない」ことなんです。普通、これだけ巻数が増えれば、突出して人気のある巻や「外れ」の巻が出てくるものですが、子どもたちに「おもしろいベスト5を選んで」と聞いても、みんなあれもいい、これもおもしろい、と悩んでしまって選べない。54冊あるどの巻も、平均してクオリティが高く、どれを読んでもおもしろいのも、このシリーズの魅力です。

プロの経験則が導きだした、具体的なアドバイス

——お話をうかがって、国語の「基礎体力」を作るために、なぜここまでこのシリーズが推奨されるのかが、本当によくわかりました。

にしむらそう言っていただけるとうれしいです。先ほども、塾の先生は「どんな本を読ませたらいいか?」と聞かれると「好きな本を選ばせてあげてください」と答えるという話をしました。

多くの塾講師のアドバイスは、どうしても抽象的になりがちです。でも、いままさに悩んでいる保護者の方や、何から手をつけていいかわからないお子さんが求めているのは、もっとストレートに、信頼できるプロからの「これですよ」という具体的な提示ですよね。

——そこで、にしむら先生が具体的に提示されるのが、このシリーズなのですね。

にしむらそうです。もし私が「1冊だけおすすめを挙げてください」と言われたら、間違いなくこの「マジック・ツリーハウス」を選びます。

世の中には人気ゲームや漫画のノベライズなど、一見お子さんが食いつきそうな本はたくさんあります。でも、それらは、そのキャラクターを知っていることが前提の「読み手を選ぶ本」なんです。世界観も独特で、あまり普遍性がなかったりする。その点、「マジック・ツリーハウス」は良くも悪くも「変なクセがない」。事前知識を必要とせず、性別や好みを問わず、どんなお子さんにも入り口が開かれているという意味でも、このシリーズはすべてのお子さんにすすめられます。



——「何でもいい」という抽象的な助言ではなく、プロとして「これだ」という具体を示す。それがにしむら先生の指導のこだわりなのですね。

にしむらはい。保護者の方は本当に忙しいですし、お子さんも余裕がないなかで頑張っています。だからこそ、あれこれ探して迷わせるのではなく「具体」を提示してあげたい。

私は「まず54巻読みましたか?」と伝えますが、それはこのことが理由です。まずはこの確かな本を手渡してあげること。そこからすべてが始まると考えています。



編集後記:

にしむら先生のお話をうかがって、強く感じたことは、「国語の成績アップに『近道』はないが、『王道』はある」ということでした。

中学受験は、普通なら20年ほどかけて身につけるべき日本語力を、わずか10年ちょっとで凝縮して習得しなければならない非常に大変なチャレンジ。だからこそ、小手先のテクニックではなく、まずは読書体験を重ねて「基礎体力」をしっかり身につけたい。その王道のアプローチこそが、結果として算数や理科・社会を含む全教科の伸びを支え、未来につながる世界観を形作ってくれるのかもしれません。

もし「国語が苦手で、何から手をつければいいかわからない」と迷われていたら、まずは「マジック・ツリーハウス」を1冊手に取ってみることから始めてください。最近、本を読みなれていないお子さんでも手に取りやすい、フルカラー版の1巻~3巻も発売されました。それが、お子さんの「読解力」という一生ものの「筋力」を育てる、確実な第一歩になるはずです。

写真/吉澤 広哉



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