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メコン川やアマゾン川も再現!? アクア・トトぎふ編  「角川の集める図鑑GET!とめぐる日本の水族館」第4回


日本は世界で一番水族館が多い国ともいわれています。みんながよく行く水族館だけでなく、 日本全国にはたくさんの魅力的な水族館があります!水族館で実際にはたらく人から、 水族館の魅力や楽しさを教えてもらって、 魚や水の生きものの面白さを発見しよう!そして水族館へ行ってみよう! (毎月2回更新予定)

 

世界最大級の淡水魚水族館
アクア・トト ぎふ【岐阜県】

連載第4回は岐阜県各務原(かかみがはら)市にある「アクア・トト ぎふ」をご紹介します。アクア・トト ぎふは、川や湖などの海ではない場所にすむ「淡水魚」が約200種以上集められた、世界有数の飼育種数を誇る淡水魚の水族館です。特徴は、日本三大清流のひとつでもある長良川(ながらがわ)の生き物をはじめ、日本だけでなく世界の淡水魚が見られること。水族館は水辺の自然共生型テーマパーク「河川環境楽園」の中にあり、木曽川の自然環境を再現した水園や自然発見館など親子で環境を学ぶことができます。

アクア・トト ぎふの魅力

 アクア・トト ぎふは濃尾(のうび)平野を流れる木曽川のほとりにあります。清流長良川をモデルに岐阜の豊かな自然を水族館の中に作りこみ、続いてアマゾン川やメコン川など、世界の代表的な川や水辺を再現して、多種多様な生き物を比較して見られるように展示しています。訪れた皆さんが、館内を見ることで命あふれる生き物のつながりを感じ、地球というスケールで生物多様性を思いえがくことができる水族館を私たちは目指しています。また水族館をご覧になった皆さんに各種イベントや企画展を通じて、自然や生き物のおもしろさ、不思議さを正しく伝えていくようにしています。


夜のパンタナール水槽

世界最大のナマズやコイなど、1300種の魚がすんでいると言われる東南アジア最長のメコン川の水槽。


サカサナマズやハイギョなど、変わった形や特徴を持った魚が多いアフリカ大陸を流れるコンゴ川の水槽。


世界最多の3000種以上もの淡水魚が生息すると言われるアマゾン川の水槽。


生物多様性って何?

 私たち人間などの動物から、植物、細菌などの微生物まで、地球上に生息するすべての「生き物」たちがバランスを保っているつながりのことです。地球上には、さまざまな環境に適応して進化した3,000万種ともいわれるいろんな「生き物」が生息しています。私たちの食事や医療、産業、文化に至るまで、自然の恵みがなければ成り立ちません。生物多様性のたくさんの恵みによって、私たち人間の暮らしが支えられています。
 アクア・トト ぎふでは飼育スタッフがフィールドを訪れ、自分の目で見て、肌で感じた森や川、湖沼の生物多様性を少しでも水槽内に表現できるよう努めています。


多種多様なシクリッドとよばれるカワスズメ科魚類が生息するタンガニーカ湖水槽。
シクリッドの食性は多様で、藻類食、プランクトン食,魚食、魚のウロコ食など実にさまざまです。


自然へのとびら

 水族館の水槽で生物多様性を表現するのは、言うのは簡単ですが実はとても難しいことです。自然では「食う―食われる」の関係にある生き物を一緒に飼育したら、「食われる」生き物はいなくなります。陸の植物や水草、コケや藻を手入れもせずに自由に生やすと、魚やカエルは隠れてしまい水槽の中で見つけることができません。種(生き物)の組み合わせや水槽内レイアウト、エサの工夫などによって、やっと生物多様性を“ほんのちょっとだけ”表現しています。絶妙なバランスの上で成り立っている自然の再現などできないのです。私たちがどんなに頑張っても皆さんにお見せできるのは、本当の自然とはほど遠い、自然への入り口「とびら」までです。あとは訪れた皆さんが私たちの水槽をきっかけに「とびら」をあけて本当の自然に足を運んでくれることを期待しています。


植物やコケをレイアウトし自然の川を再現している長良川の「瀬と淵の生き物」水槽。


科学へのとびら

 もう一つ私たちが力を入れているのが「科学へのとびら」です。地球の自然を大切にしていくのに科学の力はこれからますます必要となります。水族館では、いろんな生き物をたくさん飼育していますが、飼育スタッフは“なんでだろう?”と思うことがたくさんあります。この“なんでだろう”を調べていくことこそがまさしく「科学」です。私たちが生き物についてわくわくしながら調べていることを皆さんにお伝えし、その“わくわく”をいっしょに感じてもらうこと、すなわち「科学へのとびら」の役割も私たちの仕事です。


科学へのとびら①メコンオオナマズはメコン川にしか生息しない世界最大級のナマズ。
毎日食べるエサの量を調べたところ、1年以上も絶食できることがわかりました。


科学へのとびら②アフリカ・タンガニーカ湖に生息するペリソダス・ミクロレピスは他の魚のウロコを食べます。
他の魚の右側からウロコをはぎ取る右利き、左側からはぎ取る左利きがいて、その「利き」が発達するのは稚魚や幼魚のときであり、ウロコをはぎ取るという経験学習が重要であることが、富山大学・名古屋大学との共同研究でわかりました。


科学へのとびら③なんと約90年ぶりに見つかった幼形成熟(※)したエゾサンショウウオ。
アクア・トト ぎふでは、このエゾサンショウウオの共同研究を北海道大学と進めています。

※両生類の多くの種は、幼生期を水中で過ごし、変態後、陸上生活に移行してから成熟しますが、
一部の種ではエラや発達した尾ビレなど幼生の形態を保持したまま変態せずに成熟する現象(幼形成熟)が知られています。


 

自然との繋がりが希薄になってしまった今だからこそ、アクア・トト ぎふは生き物やそれらが暮らす環境について、みなさまにわくわくしながら学んでいただく「自然へのとびら」として、さらには生物多様性を少しでも理解するための「科学へのとびら」としての役割をこれからも果たしていきます。


アフリカ・タンガニーカ湖を潜水調査した時のようす。日本人が珍しいのか現地の子どもたちに囲まれました。


(文=館長・池谷幸樹)



世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ
魚類だけでなく、は虫類・両生類・鳥類などの水辺の生きものも多数見ることができます。メコン川、コンゴ川、タンガニーカ湖、アマゾン川など世界の有名な淡水環境を観賞できるため、淡水魚好きは是非訪れたい水族館です。
〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453 河川環境楽園内
Tel:0586-89-8200


世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふHPはこちら↓
HP https://aquatotto.com/
※ご来館の際は、営業時間やイベント開催時間等をご確認ください。
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