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【ためし読み】思いどおりにならないとすぐかんしゃくを起こします…子育ての悩みを解決! 『子どもの脳がみるみる育つ新習慣』第1回


1万人以上の脳を見て、画期的な脳トレ法を考案してきた医師ならではの目から鱗の知恵が満載の1冊『脳と子どもの専門医が知っている 子どもの脳がみるみる育つ新習慣』をためし読み公開!(※「はじめに」からぜひご覧ください!)
「うちの子、発達障害かも?」と心配する親御さんに、お子さんの苦手や困難を解決するちょっとした習慣を提案します。

第1回のお悩みは…


Q.思いどおりにならないとすぐかんしゃくを起こします
Q.指示しないと自分で行動できません

に答えます。



Q.思いどおりにならないとすぐかんしゃくを起こします

子どものかんしゃくはたいてい「ゆっくり話して!」のサイン


子どもは「聞く」ことが苦手

 まず、思い返してみてください。あなたのお子さんにとっての「思いどおりにならない場面」とは、どのような場面だったのでしょう。
 例えば、あなたがお子さんに対してなにか小言を言ったり、お子さんのしたがっていたことを「ダメ!」と禁止したりしたときだったか。お子さんがなにかに取り組んでいて、それがうまくいかなかったときか。もしくは単純に、お子さんのわがままだったのか……。
 実は多くの場合、子どものかんしゃくは、状況をうまく理解できないイライラが爆発して、起こるものです。
 その中でも特に多いのは、脳の聞く力を司る「聴覚系脳番地」の未熟さが原因で、人から言われたことがスムーズに理解できず、かんしゃくを起こしているケース。目の前の人がなにを話しているのか理解できていれば、たいていのかんしゃくは起こりません(「子どものかんしゃくは~」と書き出してしまいましたが、もしかすると、多くの大人の場合も同様かもしれません)。
 特に男の子の聴覚系脳番地は、発達に時間がかかる傾向があります。

 もしも、あなたが話していることを理解できなくて、お子さんがかんしゃくを起こしているのなら、あなたがまずすべきは、話す速度を落としてあげること。聴覚系脳番地が未熟な子どもに対しては、どんなに正確で論理的な言葉を心がけても意味がありません。ゆっくりと静かな声でコミュニケーションをとるのは、お子さんと親御さん、双方の気持ちの高ぶりを抑えるのにも効果的です。
 子どものかんしゃくをなんとかしたいときには、落ち着いたコミュニケーションをとることに注力してみてください。その際に心に留めておくべきは、あなたのお子さんだけでなく多くの子どもは、「聞く」のが苦手だということです。


かんしゃくと睡眠は密接に関係している

 それからもうひとつ、実は、睡眠不足が子どものかんしゃくの引き金になっている場合も多いです。寝不足が原因で、状況への理解力が発揮できない。手元のことがうまくいかない。あるいは、理性が働かなくてわがままになる。そうしてかんしゃくを起こしてしまう……。私はよく「今起きていることの原因は、今にはありません」と言うのですが、今のかんしゃくの原因が、今ではなく昨夜にある可能性はじゅうぶんです。
 小学生までの子どもの、理想の睡眠時間は10時間。中学生以降であっても、10時間寝て、寝すぎということはありません。
人の脳は、寝不足で脳がボーッとしているとき、怒りのエネルギーで脳活性を促して、集中力を高めようとすることがあります。このタイプのかんしゃくならば、なにより試みるべきは、布団に入る時間を早めること。日中、外に出てしっかり体を動かすようにすると、よく眠れるようになります。また、体を動かして「運動系脳番地」を刺激してやるのも有効です。運動系脳番地から脳全体に刺激がいきわたれば、怒りは和らぎます。

 あまりにかんしゃくがひどく、お子さん本人が困っているようでしたら、一時的な投薬で落ち着かせてあげるのもひとつの選択肢です。しかしその前に、ゆっくり静かに話すことと、睡眠時間を長くすること。このふたつを試してみていただきたいです。

\\まとめ//

怒っている子どもに対して有効なのは
静かで落ち着いた声かけです

 


Q.指示しないと自分で行動できません

指示してあげてかまいませんよ


「自立した子に育てる」のはそんなに大事?

「指示しないと、自分で行動しないので心配です」「将来、自立した大人になってほしいのですが」「私が死んでも、ひとりで生きていけるようになってくれないと」―いつからか、このような言葉を多くの親御さんからお聞きするようになりました。
 その心配に対する私の答えは、「あなたのお子さんは今、何歳ですか。まだ、指示がないと行動できなくてもまったく問題ありませんよ」。なにも言われなくても自分の頭で考えて行動できるようになったら、子育ては終わり。子どもが大人になった合図です。そのタイミングは今ですか? 

 お子さんが30歳くらいになるまでは、あれこれ指示を出し、面倒をみてあげてください(と、そのようにお伝えすると、親御さんの反応はふたつに分かれます。「はぁ……」とため息をつかれるかたと、目を輝かせるかた。あなたはどちらの反応でしたか?)。
 多くの親御さんには、「子育てにおいて過保護はよくない」という認識があるようです。しかしお子さんが小さいうちは、いくら過保護にしても、過保護すぎることはありません。頼りないお子さんならなおさらです。

 指示がなくても自発的に行動するために必要な脳番地は、「理解系脳番地」と「思考系脳番地」。どの脳番地から発達するか、順番は人それぞれ違いますが、多くの人にとって、このあたりは特に発達に時間がかかる番地です。ですから、30歳くらいまでは積極的にお子さんをサポートしてあげてください。いずれ、サポートできない日は必ず来るのですから。


WHOも過保護をすすめている

 現代の子どもたちは、もう少し過保護に扱われてもいいのではないかと私は考えています。親御さんに余裕がないのか、「もっと気にかけてほしい……」と孤立を感じている子どもが少なくないように見受けられるのです。新型コロナウイルスが流行して以降、家の外での人との接触が極端に減ってしまっています。親御さんでなければ、誰がお子さんをこまやかに気にかけてあげられるでしょう。
 孤立は脳にもよくありません。WHO(世界保健機関)は、孤立は脳の認知機能を衰えさせ、認知症を進行させると発表し、非孤立化をすすめています。脳に影響があると言うならば、高齢者だけでなく、発達が著しい子どもの脳にとっても大きな影響があっておかしくありません。
 過保護上等!と開き直って、目をかけ、手をかけ、心をこめてお子さんをサポートしてあげてください。

 ところで、ひと口に「指示がないと行動できない」と言っても、その原因は多様です。例えば、注意欠陥障害(ADD)がある子どもは、目の前の物事に対して疑問を持つのが苦手なので、なにかしなければいけない状況だと気づきにくく、行動しません。自閉スペクトラム症(ASD)の場合は、なにをすればいいかわかっていても、自由で自発的な行動が起こせません。注意欠陥多動性障害(ADHD)ならば、なにかをしなければと思っても、ほかにもたくさんしたいことがあって、優先順位を正しく判断できません。
 それぞれの子どもの苦手を見極め、適切な指示を出してあげられると、お子さんの脳が発達して、徐々に苦手は克服されます。

\\まとめ//

お子さんが30歳になるまでは
どんどん指示してあげてOK!

 

第2回目のためし読みでは…

Q.なにか注意するとすぐ逆ギレします
Q.野菜が嫌いで、野菜以外にも食べられないものが多いです


の悩みに答えます。(8月9日(火)公開予定)


著者:加藤 俊徳

定価
1,650円(本体1,500円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046057112

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