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1万人以上の脳を見て、画期的な脳トレ法を考案してきた医師ならではの目から鱗の知恵が満載の1冊『脳と子どもの専門医が知っている 子どもの脳がみるみる育つ新習慣』をためし読み公開!(※「はじめに」からぜひご覧ください!)
「うちの子、発達障害かも?」と心配する親御さんに、お子さんの苦手や困難を解決するちょっとした習慣を提案します。
第2回のお悩みは…
Q.なにか注意するとすぐ逆ギレします
Q.野菜が嫌いで、野菜以外にも食べられないものが多いです
に答えます。
子どもの苦手を軽々しく指摘しないことです
逆ギレする子どもは全然悪くない
これは、私自身の子育てへの反省をしつつお話しすることなのですが、子どもの逆ギレのほとんどは、親御さんの言葉がけの失敗が原因です。
以前は私も、キレる子どもの方になんらかの問題があるのではないかと考えていました。しかし、長年の臨床経験と、自分の子育てを振り返ってみたとき、「大人が逆ギレさせている」と確信したのです。
あなたのお子さんは、どんなときに逆ギレしていますか。実は、子どもが逆ギレする場面の大部分は、大人が、子どもの欠点や苦手なこと、できないことを指摘したときなのです。「じゃあ、どうすればいいんですか?」「子どもの欠点を指摘してはいけないのですか?」という声が聞こえてきそうですね(笑)。
今日から、お子さんの苦手を指摘する際には、まず先にお子さんを肯定してあげてください。「あなたはこれをここまでできていた。あれもよかったね。それもすごくいいよ」と、お子さんのよくできていることを9個教えてあげてください。そのうえで「でも、ここはちょっとうまくいかなかったんだね」と、できていないことを1個だけ指摘するのです。
自分のできていることを9個聞かされるうちに、お子さんの脳は、人の話を理解し、受け入れやすい状態になっていくものです。脳は、ハッピーで安心した状態であってこそ、自分ができていないことについても、スムーズに理解し受け入れられるのです。
昔の私も、ほとんどの親御さんも、この順番を間違えています。これは私が子育てを20年以上やってきてようやく見つけた、子どもの脳が逆ギレしない法則です。あなたのお子さんが何歳でも、けっして遅くありません。今日からぜひ試していただきたいです。
できていることを伝えてもらえると、大人でも子どもでも、誰でもうれしい気持ちになります。9個できていて、できていないことが1個だけなら、この1個をどうにかしようと考えられるでしょう。でも、できていないこと1個だけを指摘されると、「できないんだからしょうがないでしょ!」と、嫌な気持ちになるのは当然です。
脳はハッピーな体験からしか成長しない
そもそも脳は、ハッピーなとき、うれしいときしか能力を発揮できないし、成長できないものです。お子さんの脳の成長のためにも、ぜひ親子の楽しくうれしくなるような会話をたいせつにし、意識的に増やすようにしてください。
とはいえ、子育てではときに、迅速かつ強く注意しなければならないこともあります。危険な行為があったときは、9個も別の話をする余裕はなく、すぐにやめさせなければなりません。そのような状況で、「これだけはダメ」と子どもの脳にインプットするには、まず厳しく伝える項目はひとつかふたつに絞ること。子どもの脳は基本的に、3つ以上のことは一度に覚えられません。低年齢であれば、目の前のひとつのことを覚えるだけで脳は精一杯です。
また、なんでもかんでも厳しく伝える必要はありません。厳しくするのは、子どもの命にかかわる重大な問題だけ。例えば、交通ルール、暴力、門限などでしょうか。ご家庭の判断で、厳しくすべき最重要の決まりはなにか決めたら、親子で共有し、もし守れなかったときは厳しく指摘する。でも、それ以外のことは厳しく言わない。そんなメリハリがたいせつです。
\\まとめ//
「できている」を認識できると、
「できていない」も受け入れられます
無理に食べさせるのは逆に危険です
小学校の給食のトラウマがある
無理に食べさせなくて、まったく問題ありません。私自身も、食べられないものばかりです。幼稚園や小学校のときは、給食を残さず食べるのが苦手でした。すっかり冷たくなったお皿が目の前に置かれ、いつまでも座らされていた記憶は今も鮮明です。このときの経験から、大人になっても苦手が克服できず、においだけでも気分が悪くなってしまう食べ物があるくらいです(苦笑)。
苦手なものを無理やり食べさせようとするのは、逆効果です。どうしても食べられるようになってほしいのであれば、細かく刻んだり、味や食感に工夫をしたりして、自然に食べ慣れさせていくほうが近道です。
足りない栄養素をサプリメントで補充することもできる時代です。「食べないと大きくなれませんよ」とお子さんを脅す必要はありません。
誰しも好きな色と嫌いな色があるように、好きな味、嫌いな味があるのは当然のことです。すべての食べ物を好き嫌いなく食べなければいけないという考え方は前近代的だと、私は考えます。
嫌いな理由を探してあげて
とはいえ、自分が心を込めて作った料理は、どんなものでもおいしく食べてほしいと願うのは、あたりまえの親心だとも思います。
お子さんがあなたの料理を食べてくれないときは、悲しんだり不機嫌になって見せたりするよりも、お子さんの苦手の原因を、お子さんの話を聞いたり、食事の様子を観察したりして探してみてはいかがでしょうか。
味なのか、においなのか、食感なのか、見た目なのか、かんだときの音なのか……。お子さんがどの部分に過敏になっているのか、ていねいに探ってみてください。子どもによっては、食べ物に問題があるのではなく「この場所では食べられない」「周囲に知らない人がいると食べられない」「このお皿は苦手」など、食べる環境が原因で箸が進まないという場合もあります。
無理やり食べさせようとするよりも、お子さんがなぜ困っているのか原因を探すほうが、平和な解決が叶います。
お子さんの成長とともに、味覚が変わるというのもよくあることです。今、食べられないからといって、永久に食べられないとは限りません。
\\まとめ//
なんでも食べなければいけないと考えるのは
もう古いかもしれませんよ
第3回目のためし読みでは…
Q.思いやりに欠けています
Q.人と同じものをすぐ欲しがります
Q.人間関係を築くのが苦手みたいです
の悩みに答えます。(8月16日(火)公開予定)
著者:加藤 俊徳
- 【定価】
- 1,650円(本体1,500円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046057112