マスターが誕生した日
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2歳半からコーヒーを淹れていたふうちゃん(通称・マスター)。お母さん(通称・アシスタント)の目線で、コーヒーを淹れ始めたきっかけから、小学1年生になった現在までをご紹介します。器用な手つきとおちょけ(お調子者という意味の方言)な表情にご注目!
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2歳のマスター(左)とアシスタント。マスターの緑のチュニックは表紙で着ているものと同じ
「マスター(ふうちゃん)はいつからコーヒーを淹れているんですか?」。私のSNSを見た方からもっともよく寄せられるのがこの質問です。答えは2歳半。コーヒーを淹れ始める年齢としてはとても早いですよね。まずはそのきっかけからお話しします。
私は、喫茶店で働いていたこともあり、子どもが生まれる前から毎日ハンドドリップコーヒーを淹れていました。ドリッパーにフィルターと豆をセット。お湯が沸騰したら80℃くらいまで冷まし、豆の上に細く注ぐ。少し蒸らしてからお湯をもう一度注ぐと、ポコポコという微かすかな音とともに、ふわっと香りが漂ってくる……マスターは小さな頃から、そうやってコーヒーを淹れる姿を見ていました。コーヒーのいい香りに鼻をくんくんとさせながら、ドリッパーからぽたぽたとコーヒーの滴が落ちてくる様子を飽きずにじいっと見ているものでした。
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あれはちょうど2歳半になる頃、いつもの通りおやつの時間にコーヒーを淹れようと、ふたりで台所に入った時、マスターがなんだかもじもじ……お湯を注ぐのをやりたそうな素ぶりを見せました。それを見て「コーヒー淹れてみる?」と声をかけたのが、まさに「マスターが誕生」したきっかけです。
その頃のマスターは物を握る力も随分とついていたので、ポットを安定して持つことはできると思っていました。しかし、そこは2歳。やけどをしたら大変です。お湯はコーヒーが蒸らせるギリギリの温度に冷ましたものを使い、1〜2湯目は私と一緒に淹れました。そして3湯目、最後に残ったちょっとだけのお湯をマスターがひとりで注ぎ入れました。
マスターが淹れてくれた最初の1杯。かなりの低温で抽出されたので、酸味のあるものになってしまいましたが、それでも私にとっては忘れられない1杯で、それはそれはおいしいものでした。そして、これはマスターにとっても「はじめて全部自分でできた!」という達成感を覚えられたものだったのでしょう。その日からたびたびコーヒーを淹れてくれるようになり、3歳を過ぎた頃からは毎朝の日課のようになっていきました。
それに伴い、アシスタントとしてもマスターがより安全にコーヒーを淹れられるように配慮をしなくては! と万が一ポットに身体が触れた際に熱くないように本人に腹巻きをつけたり、厚手の服を着せたりと、改良を重ね、「手ぬぐいのほっかむり」&「エプロン」、そして、ポットに「ポットカバー」をつける今のスタイルに落ち着きました。ちなみに「手ぬぐいのほっかむり」は安全のためというよりは、寒い日の防寒用として始めたもの。でも気がつけば、この手ぬぐいこそがマスターらしさになり、多くの人に「マスター=手ぬぐいのほっかむり」として認識してもらえるようなトレードマークになりました。
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コーヒーを淹れ始めた頃は手ぬぐいのほっかむりなどはなし。試行錯誤して現在のかわいいスタイルに
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日本一かわいいマスター、初のフォトエッセイ
本書ではマスターがコーヒー&レーコー(アイスコーヒー)を淹れる際のレシピや道具も詳しく紹介。さらにSNSで募集した100の質問や撮りおろしの写真もたっぷりで見応え抜群です。ぜひお手に取って読んでみてくださいね。
※ 本書及び本連載では幼児がコーヒーを淹れる様子や包丁等を使う様子を紹介していますが、やけどやケガのリスクには最大限の配慮をしております。お子様によってできることやリスクは異なりますので、同じように行う場合は必ず保護者あるいは大人の方が見守り、安全に配慮して行ってください。
【プロフィール】
おきぬ
北海道在住。2歳半からコーヒーを淹れ始めた娘のふうちゃんをマスター、自身をアシスタ
ントと称してSNSに投稿。ほっかむり姿のマスターがコーヒーを淹れる様子や大人顔負けの料理をする姿が人気を集めている。
● Instagram:@___okinu
● Threads:@___okinu
● YouTube:@master_and_assistant
● koyamame roastery
https://www.koyamameroastery.com/
(2024年1月現在)
【書籍情報】