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Children & Education

子育て・教育

子どもは甘やかしていい? 厳しくするべき? モンテッソーリ流の解決法をお答えします!


子どもを信じて尊重することを大切にしているモンテッソーリ教育。前回の記事では、モンテッソーリ教育の基本についてお伝えしました。
今回は、モンテッソーリ教師あきえ先生に「子どもの自立を育むためのかかわり方」について、具体的な質問をもとにお話を聞いていきましょう。


Q 子どもに頼られた時、どのくらい助けてもいいですか? 甘やかしとの境界線がわかりません。



A 頼られたら助けてあげてOK!

子どもがやって欲しいと言っている範囲を助けてあげて大丈夫です。
モンテッソーリ教育は自立を目指していますが、すべてのことを自分でやることが自立ではありません。助けて欲しい時に「助けて」と声をあげられることや、頼りたい時に頼ることも自立に含まれています。
子どもが「助けて」と言った時に、ママやパパが助けてくれた。その経験こそが自立を後押しするのです
求められている時にしっかり満たしてあげれば、子どもは自立に向かっていくため、長期的に見たら短い期間になることもあります。逆に、子どもが求めているのに「あとでね」「自分でやって」などと、手助けをしないでいると、満たされない気持ちが蓄積し、「できない」「やって」が長引く原因になります。

しかし、召使のようになんでもかんでもやってあげるのはNG。あくまでも、「あなたのやることをお手伝いするね」というスタンスでいるようにしましょう。子どもができない部分のお手伝いはしてあげた上で、最終的には自分でできるように、「できた!」と感じられるようにしてあげたいですね。
そして、手助けをする時は、子どものコンディションも見てあげるようにしましょう。おなかがすいていたり、疲れていたり、コンディションが整っていなくて、頼っている場合もあるので、その場合は根本を解決してあげる必要もあります

【具体的なかかわり方】
●「靴下がはけない。ママ、やって!」と言われた場合
「靴下をはくのをお手伝いするね。ママは右と左、どっちをはかせればいいかな?」と、ママが全部をするのではなく、あくまでもお手伝いをするスタンスで。
「両方!」と言われた場合は、「今日はママが両方やるけど、明日またやってみようね」と声をかけ、「靴下をはくことは自分でやること」ということをくり返し伝えましょう。

●「パパ、これ開けて!」と言われた場合
「じゃあ、パパが袋を持っているから、〇〇ちゃんはここを切ってみようか?」
できない部分が目で見て見える場合、できるようなアシストをしてあげるのもいいですね。




Q 子どもの間違いを見つけた時、指摘してもいいですか?

A 助けを求められるまでは見守る

間違えている時や、できなくて見ていてもどかしい時、つい「こうだよ」「ママに貸して。やってあげる」と、言ってしまうことがありますよね。もしかしたら、そのまま見守っていればできることもあるかもしれません。
しかし、時間がなかったり、「教えなきゃ!」と思ったりして、指摘をしてしまいますよね。それは、子どもが今、習得しようとしている学びを奪うことになります
モンテッソーリ教育では、「子どもの集中を邪魔しない」ことを大切にしています。今、自分でやろうと必死になって向き合っている子どものことは、それが出来るまで、もしくは、助けを求められるまでは見守ってあげるようにしましょう。

【具体的なかかわり方】
●助けを求められていないが、終わりにして欲しい時
「〇〇くん、頑張っている時にごめんね。家を出なくてはいけない時間だから、ママがお手伝いしてもいい?」
例えば、私たち大人が何かを成し遂げようと集中している時、断りもなく誰かが入って来たらびっくりしてしまいますよね。それは子どもにとっても一緒です。
そのため、手助けをする時は断りをいれることを忘れないようにしましょう。





Q 子どもが約束を守れない時、どのようにかかわればいいですか?


A 約束は守れなくても大丈夫!

「これが終わったら片付けよう」「今日はおもちゃを買わない日」などと、事前に約束をしたにもかかわらず、その約束を守らないことがありますよね。
0〜6歳の乳幼児期、その中でも特に0〜3歳は、わざと約束を破っているわけではありません。約束を守れないのは、「現在(いま)」を生きているため、未来や過去のことを考えることができないのです
「この子は約束が守れない子」というレッテルを貼るのではなく、「今はそういう時期」という見方をしたり、かかわりかたを工夫したりしてみてください。

【具体的なかかわり方】
① 行動する前に伝える
例えば、買い物に行った先でお菓子を買わないことを伝えたい場合。まず家を出る前に、「なんのために買い物に行くか」を伝えます。そして、「今日はお菓子を買わない」ことを子どもの目を見て伝えます。

② 直前で再確認
家で一度説明していますが、子どもにとっては過去の話。実際にお菓子を見る直前に再度確認することで、今の話として思い出すことができます。

③ ぐずっても約束を一貫する
どんなにしっかり約束をしていてもぐずることがあります。その場合も一貫して、約束を貫き通すようにしましょう。

④ 守れたら「行動」を認める
お菓子を買わないでいられたとしても「いい子ね」「約束を守れてえらいよ」などと、子どもの人格を褒めちぎる必要はありません。
「約束を守れる=えらい子」ではなく「大人にとって都合の良い子」なのです。「約束を守ってくれたね」と、子どもの行動をシンプルに認めるだけでOK。

⑤ 大人が約束を守る姿を見せる
「あとでね」「ちょっと待って」など、子どもに軽い返事をしてその場をやり過ごすことがありますよね。
例え、子どもは覚えていなそうだったとしても「あとでねって言っていたことやろうか?」と、声をかけるようにしましょう。そうすることで、「ママは約束を守ってくれる」と親子の間に信頼関係が生まれ、“約束は守るもの”ということが浸透します。




Q 子どもが朝の身支度を自分でやろうとしません。




A 子ども自身が身支度をしやすい環境かを見直しましょう

朝はバタバタしていることが多いので、身支度はスムーズに行って欲しいですよね。そのために「環境」と「ルーティーン」を意識して欲しいと思います。
まず「環境」ですが、着替えは洋服を選ぶところからスタートしています。ママやパパが用意した洋服を着ることは、子どもにとって「他人事」になっている可能性があります。
そのため、子ども自身が洋服を選びやすいような環境を準備し、自分で着たい洋服を選んだり、自分で着替えたり、身支度を自分事として捉えられるようにすることが大切です。

【具体的なかかわり方】
●クローゼットの中の洋服を3点ほどに絞る
洋服をたくさん詰め込んでしまうと、子どもが自分で選びづらかったり、選んだとしても「その組み合わせはおかしい」と、つい口出しをしたくなったりしますよね。
そのため、洋服や靴下は3点ずつくらいに数を絞り、引き出しなどに入れておくようにしましょう。その時、子どもが自分自身で着替えることができる洋服や靴下を選ぶことも大切です。

●着替える場所に小さいいすを置く
3歳くらいまでの年齢の子どもは、ズボンを自分ではくことが難しく、バランスを崩してしまいがち。せっかくやる気になっても、転んでしまったらやる気も低下してしまいますよね。
なので、身支度をする場所に17㎝くらいの高さの小さいいすを置いて、座って着替えができるようにしてあげましょう。


次に「ルーティーン」についてです。
子どもは毎日同じ行動をくり返すことが大好き。その子に合わせたルーティーンを決め、毎日同じことをこなすことで安心することができます。
また、そのルーティーンは、「朝食の時はまずヨーグルトを食べ、その次はおにぎり」などと、細かいことではなく、シンプルで覚えやすいほうがいいですね。

【具体的なかかわり方】
●「朝起きる→朝食→歯みがき→着替え→登園」
このくらいシンプルなルーティーンでOKです。毎朝何度も一緒に経験する中で少しずつルーティンを覚え、学んでいくことができます。
手伝う範囲を減らすしながら手伝っていきましょう。

●年齢に合わせた声かけ
ルーティーン通りに行動するために「すぐにごはん食べなさい」「早く歯みがきして!」と一方的な声かけではなく、「ごはん食べようね」「次は歯みがきしない?」と、お願いや提案の声かけを意識。
4歳くらいで言葉が理解できるようになったら、「次は何をするんだっけ」と、問いかけることをしていきましょう。




子どもを観察しながら「自立」への育ちを助けていきましょう



育児にはお悩みがつきものですよね。「どうすればいいんだろう?」と悩んだ時こそ、子どもをじっくり観察してみるのがおすすめです。
「なんでできないんだろう?」「こうなってしまう理由は?」と、客観的に子どもの言動を観察することで、解決の糸口が見つかることがあります。
私たち親は、何よりも「子どもに幸せになって欲しい」という気持ちでいますよね。しかし、その結果が出るのは20年、30年、もっと先かもしれません。
できないことを数えるのではなく、できるところを見つけて、今できるサポートをしていきましょう。

次回は、10月13日(金)公開予定です!


監修:モンテッソーリ教師あきえ

国際モンテッソーリ教師ディプロマ(AMI)、保育士、幼稚園教諭。
公立の幼稚園教諭をしていた頃、日本の一斉教育に疑問を抱きモンテッソーリ教師に。現在は「子どもが尊重される社会」を目指して、モンテッソーリ教育に沿った子どもや子育てについての発信、オンラインスクール「Montessori Parents」の運営、ベビーブランド「mu ne me(ムネメ)」ファウンダー、オンラインコミュニティ「Park」を主宰。


◆「Montessori Parents
◆「mu ne me(ムネメ)
◆「Park

 


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