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将棋の藤井聡太さんやGoogleの共同創業者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジなど、数々の著名人が幼少期にその教育に影響を受けたことでも知られているモンテッソーリ教育。
そもそも、モンテッソーリ教育とはどのようなものなのでしょうか?
幼稚園教諭や保育士などの資格を持ち、プライベートでは2児の母でもあるモンテッソーリ教師あきえ先生に、モンテッソーリの基本について教えていただきました。
早期教育でも英才教育でもない。「子どもを尊重して信じる」教育
モンテッソーリ教育は、イタリア初の女性医師マリア・モンテッソーリによって110年ほど前に築き上げられた教育法です。
モンテッソーリ教育と聞いて、「天才を育てる」「子どもの知能を伸ばす」というイメージを持っている方もいるかと思いますが、決してそうではありません。
「子どもを尊重して信じる」ことを基盤として、子どもの“自立”と“自律”を助けるための教育法なのです。
モンテッソーリには主な特徴が3つあります。
モンテッソーリ教育の3つの特徴
① 子どもが主役、大人はガイド役
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一般的な教育では、子どもは「育てられる存在」であり、主導権は大人にあります。それは幼稚園などの教育現場だけでなく、家庭でもそうですよね。
しかし、モンテッソーリ教育では、子どもがやることを自己選択し、興味・関心のある活動を満足いくまで経験できる環境があります。
「自由」が保障された環境の中で、子ども達は自らを成長させるのですが、その「自由」には、必ず「制限」がセットになっています。
■ 今は自分のやりたいことをする時間だけど、11時になったら片づけをしましょう。
■ 高いところに登りたいんだよね。でもここは登っていいところじゃないから、あちらで登ろうね。
行動の善悪などを子どもが理解できるように説明し、「自由」と「制限」をセットにします。そうすることで、子どもは制限の中で主体的に行動するようになります。
モンテッソーリ教育の主役は子どもです。「こういう人生を生きて欲しい」「こんな人になって欲しい」と思うあまり、子どもをコントロールするのではなく、子どもの育ちを導くガイド役に徹して、子どもの育ちを助けていきましょう。
② しつけなくていい。環境を整えてあげることが大事!
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モンテッソーリ教育では「環境」をとても大切にしています。
自ら育つ力のある子どもに、適切な環境を用意することで、子どもはその環境に触れ、力を発揮して自ら育つことができると考えられているからです。
■ 「何度言っても片づけができない」→その子の年齢に合わせておもちゃの数を厳選し、片づけやすい環境を作る。
■ 「ダラダラしていて朝の身支度が進まない」→身支度は洋服を選ぶところからスタート。自分で洋服を選べる環境を作って、身支度を自分事にする。
■ 「ごはんを食べるのに時間がかかる」→テレビやおもちゃが視界に入っていると食事に集中できません。そもそもおなかはすいているのか、量は適量なのか。
このように、環境を整えることで、解決できる悩みもたくさんあります。大人が子どもに一方的に教え込む「大人と子どもの関係性」ではなく、環境を通して育ちを助ける「大人と子どもと環境」の三角関係を意識していきましょう。
子どもはまるで球根のような存在。大人がその球根に水をあげ、土や太陽や適切な温度などの環境を整える。そうすることで、自ら育つ力を持った球根は、ぐんぐん育っていくのです。
どんな環境に身を置くかによって、感じることや価値観は大きく変化するだけに、環境は大切にしていきたいですね。
③ 先入観を持たずに子どもを観察する
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子どもが今、どんなことに興味を持っていて、何を楽しいと思っているか。苦手なことや得意なこと。
子どもを観察していると、いろいろなことが見えてきます。その時にやってしまいがちなのがバイアスをかけることです。
■ この子は人に話しかけたり、挨拶をしたりしない。絶対に人見知りなんだ。
■ 走るのが速くないから、運動神経が悪いんだな。
■ いつも動き回っている。落ち着きがないに違いない。
観察することで、「どうせこうなはず」「やっぱりそう」と、決めつけて見てしまうことはありますよね。私もそういう思いが湧き出てくることがあります。
しかし、「この子はこういう子」と決めつけずに、「人見知りをすることもある」「今は速く走るのが苦手に見える」などと、判断を曖昧かつ保留にしてみましょう。
観察する際に大切なことは、先入観を持って決めつけることではなく、「この子は今、何に興味があるんだろう」と、子どもをただ見つめることです。
そして「今、この子にどんなサポートをしてあげられるかな?」とポジティブなまなざしを持つようにしたいですね。
“自立”と“自律”を目指しているモンテッソーリ教育
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現在の日本の教育は、先生に言われたことを一斉にする集団の輪が大切とされていて、子ども達は言われたことをやっているだけになってしまいがちです。そうすると、自分の意見を持つことや、自分のやりたいことを言語化することが難しくなってきてしまいます。そのため、人格形成をしている幼少期の頃に、それぞれの「個」を育んでおくことはとても大切なことなんです。
モンテッソーリ教育とは、「個」を大切にしながら、“自立”と“自律”を助けていくことを目標とした教育なのです。
そして、そんな子ども達の育ちを助ける私たち大人も、自分を大切にすることを忘れてはいけません。子どもを尊重することは、自己犠牲ではありません。
子どもとかかわる中で「いつもは気にならないことが気になる」「気づくとイライラしている」。そんな時は、自分の内なる声を聞いて、体を休めたり、ストレス発散をしたりしましょう。
子どもとかかわることは1日で終わることではなく、10年20年と続いていくことです。毎日が100点満点のベストを目指すのではなく、30点の日も60点の日もある自分なりのベターを継続していくことが何より大切です。
次回は、あきえ先生に「子どもの自立を育むためのかかわり方」について、具体的な質問をもとにお話を聞いていきます。
9月8日(金)公開予定です!
監修:モンテッソーリ教師あきえ
国際モンテッソーリ教師ディプロマ(AMI)、保育士、幼稚園教諭。
公立の幼稚園教諭をしていた頃、日本の一斉教育に疑問を抱きモンテッソーリ教師に。現在は「子どもが尊重される社会」を目指して、モンテッソーリ教育に沿った子どもや子育てについての発信、オンラインスクール「Montessori Parents」の運営、ベビーブランド「mu ne me(ムネメ)」ファウンダー、オンラインコミュニティ「Park」を主宰。
◆「Montessori Parents」
◆「mu ne me(ムネメ)」
◆「Park」
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