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今回は特別編として、けいたろうさんの担当編集が、けいたろうさんに「オノマトペ絵本」の楽しさについてインタビュー!
けいたろうさんが“宇宙的な絵本”という、その楽しさとは一体なんでしょう。
―――『がちゃがちゃ どんどん』は、けいたろうさんがお気に入りのオノマトペ絵本だそうですが、どういったところがおすすめなのでしょうか?
オノマトペの文章と絵のピッタリ感がすごいんです。絵の配置で読み方が想像できる絵もあって、それが楽しさの一つでもあります。
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―――なるほど。
ここの「どさん」という部分は、完全に落ちてきていますよね。
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―――たしかにそうですね(笑)。「どさん」以外のなにものでもない。
音の波動のような絵もあります。実際のモノの動きを表している絵もありますし、音波を絵で表しているようなものもある。
―――このページはどう読みますか?
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ここのページは、どの順番で読んでもいいと思います。
横書きなので、大人は左からとか、上から読むんですが、子どもたちの中にそのルールはない。いきなり「どかん」から始めてもいいですし。
1枚の絵をパッと見るということでは、どこから始めてもいいと思うんです。
―――絵を指さしながら読むんですか?
指さしながら読みますね。
ぼくは「ちん どかん ぱんぱん じゃらじゃら とぽん ぴちゃ ぱちん」の順番で読みます。たたみかけるように早く読むんです。
子どもにとって特におもしろいのは「とぽん ぴちゃ ぱちん」だと思います。「ぱぴぷぺぽ」は、上下両方のくちびるがくっついて音が出る、両唇音<りょうしんおん>。“おいしい音”、“たのしい音”だと思います。『がちゃがちゃ どんどん』には、この両唇音もたくさん入っている。
こういう“宇宙的な絵本”は、唖然とされることもあるので、表紙を見せた時点で「がちゃがちゃがちゃがちゃ〜どん!どん!」みたいにおもしろく読んで、表紙で一度笑ってもらうと、入りやすいです。「これが“がちゃがちゃ”、これが“どんどん”だよ。おもしろいでしょ?」という提案を表紙でしておく。それと、おとなもおもしろがるのがポイントです。
―――心構えができるということでしょうか?
はい。「楽しんでいいんだな」と、笑う準備ができる。
そして、1回しか読んではいけないというルールもないから、何度同じページを読んでもいいし。楽しくなるまで読んで進まなくてもいいし(笑)。
楽しみ方は無限大で宇宙のように広がるんです。
―――この絵本は子どもたちが大好きな不思議な絵本として有名です。 正直、私はおもしろさがわからないんです。けれどもうちの子どもたちは大好きで、本が破れるほど読みました。
ぼくはおもしろいと思いますよ。
おとなでも「わかる」人と「わからない」人がいるのかも(笑)。
―――どのあたりがおもしろさのポイントなんですか?
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ぼくは、最初の「もこ」と、最後の「もこ」がすごく気持ちいいです。「出てきた!」というかんじがする。音と絵がぴったり。
うちの娘は、「もこ」と出てきたときに、絵を手でかくしていました(笑)
―――おもしろい反応ですね!
保育現場で子どもたちがすごく喜ぶという話が広まって、『もこ もこもこ』の人気が出たと聞いたことがあります。おとなよりも子どものほうがそのおもしろさがわかった。
こんなに「理解不能」な絵本もあまりないですよね。「捉え方は自由です」という絵本はあるけれど、「捉え方がわからない」という絵本はない(笑)。
そう考えると、非常におもしろい。
対象年齢も未知ですよね。赤ちゃんからおとなまで。
よく絵本は「生まれてから死ぬまで」と言われたりするのですが、実際は対象年齢があったりするので、なかなか難しい。けれども、こういう宇宙的な絵本は本当に“生きていれば対象年齢”なのかもしれませんね。
オノマトペ絵本は、親も「おもしろがる」ということがポイントです。よくわからない、宇宙的なおもしろさを親子でたのしんでほしいです。
―――どうもありがとうございました。
オノマトペではないけれど、宇宙的な絵本『おおきい ちいさい』。 「おおきい」と「ちいさい」だけの絵本だけど、ぼくはすごく好きなんです。こどもたちが「おおきい ちいさい」って繰り返すようになるんですよね。大きいのと小さいのがわかりやすいのと、絵にものすごくエネルギーがあるんです。絵も、文字の書体も全部ちがうから、読み方が勝手にかわっていくのもおもしろいです。
読めば子どもたちが繰り返してくれます。「もういっかい」とリクエストがくる絵本。0,1,2歳の赤ちゃんも、3、4,5歳の幼児に読んでも楽しんでくれる。年齢に関係なく楽しめます。
―――おとなになると、「この大きいが好き」「おしゃれ」みたいな見方もでてきますね。
ぼくは、この物体が一番好きです。
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―――子どももおとなも、どの「おおきい」と「ちいさい」が好きか話し合っても盛り上がりそうですね!