冬は、みずみずしい“りんご”がおいしい季節。赤くてまあるいりんごは、子どもたちも大好きです。今回は今が旬の身近なくだもの、りんごが登場する絵本をご紹介します。いろいろな形で現れるりんごに、おいしそう~と思ったり「ええっ」と驚かされたり、いつもと見方が変わって気持ちがしゃきっとなること間違いなしです!
パンどろぼうとりんごかめん
3歳~
「パンどろぼうとりんごかめん」
作/柴田ケイコ
KADOKAWA 1,540円
にわとり一家がいとなむコッコ農園へ、パンをとどけにやってきたパンどろぼう。 なにものかに農園があらされていることを知り、みまわりにでかけます。 「あ! のうえんを あらしているのは おまえたちだな!」 「うまそうなパンが あらわれたブヒ』『たべてやるブホ」 ピンチにおちいったパンどろぼう。そこに登場したのは―――?
大人気の「パンどろぼう」シリーズ最新刊! 新キャラクター"りんごかめん"は、いさましく犯人に飛びかかる姿が頼もしくてとってもかわいいニューヒロイン。"最強にして最弱"とうわさの戦いぶりは、愛らしくて思わず吹き出してしまうこと間違いなし!
毎度おなじみ、パンを作るシーンでは、おなかがぐーっとすいてきます。ハラハラドキドキ、楽しさてんこもりの絵本です。
りんごかもしれない
3歳~
「りんごかもしれない」
作/ヨシタケシンスケ
ブロンズ新社 1,540円
あるひ、学校から帰ってきたらテーブルの上においてあったりんご。ぼくはそれを見て、「もしかしたら これは りんごじゃないのかもしれない」と思い始めます。もしかしたら、大きなサクランボのいちぶかもしれない、なにかのタマゴかもしれない、育てると大きな家になるのかもしれない、ぼくの想像は、はてしなくめぐっていきます……。
わたしたちが、よく知っていると思っているりんご。でも、そのテーブルの上のりんご、本当にりんごですか? 「りんご」だと思い込んでいませんか?
ふだん、「当たり前でしょ」と思って通り過ぎてしまいがちな私たちの思考を立ち止まらせてくれるこの絵本。“普通”からちょっと外した世界を見せてくれる、ヨシタケシンスケさん流の発想絵本で、わたしたちも目の前のりんごから発想を広げてみませんか?
おばけリンゴ
4歳~
「おばけリンゴ」
作・絵/ヤーノシュ 訳/やがわすみこ
福音館書店 1,320円
ワルターはリンゴの木を一本持っていましたが、実が一つもなったことがありません。「ひとつで いいから、うちのきにも リンゴが なりますように」と、心をこめていのると、リンゴの木に白い花が一つさきました。花は小さな実になり実は日ましに大きくなり、ついには巨大な“おばけリンゴ”となりますが、あまりに大きすぎて気味悪がられだれも買ってくれません。そんなとき王様から、おそろしい竜への贈り物におばけリンゴを差し出せと言われ……。
最初、リンゴが実るまではワルターを幸せにしてくれたリンゴは、最後にはワルターに心配と苦労をかける原因となってしまいました。そして、おばけリンゴとののしっていた周囲の人々は、結局リンゴに助けを求めることになりました。
一つのリンゴの実に振り回される人々のこっけいな姿をドイツの国民的絵本作家・ヤーノシュが描いた味わい深い物語です。
おおきな木
小学校低学年~
「おおきな木」
作・絵/シェル・シルヴァスタイン 訳/村上春樹
あすなろ書房 1,320円
あるところに一本の木がありました。木と少年は、おたがいのことが大すきでいつも一緒でした。ですが、時が流れ少年は大きくなっていきます。少年がお金をほしがると、木は自分のりんごの実を渡して売るように言います。少年はさらに、家をほしがり船をほしがり、木は自分の身をけずって与え続けます。
この絵本は原題が“The Giving Tree”、「与える木」という意味ですが、木は自分をぎせいにして、少年に与えられるすべてのものを与えていきます。
1964年に出版されて以降、世界中で読みつがれ、作家・村上春樹が訳をつけた、この無償の愛の絵本から、あなたは何を感じるでしょうか?
りんごだんだん
小学校中学年~
「りんごだんだん」
写真・文/小川忠博
あすなろ書房 1,430円
まっかなりんご、食べずにずっと置いておいたらいったいどうなると思いますか? 最初の日は『りんご つるつる』。しかし、時が経つにつれてだんだん「りんご しわしわ」→「りんご ぱんぱん」→「りんご しなしな」と移り変わっていきます。そしてとうとう346日目、りんごは姿をとどめず……。
こちらは、置きっぱなしのりんごの過程346日を写真で追っていった絵本。
ふだん、私たちはりんごが食べられない状態になってしまったら捨ててしまいますよね。ですので、悪くなってしまったりんごのその先の姿は見たことがないと思います。腐ってカビが生え丸くも赤くもなくなってしまった、私たちがしらなかったりんごの最後。そのありのままの姿から、頭と心が刺激されていく絵本です。
今回はりんごをテーマにした絵本を紹介しました。
次回は、「雪だるま」がテーマの絵本を紹介予定です。(1月公開予定)
お楽しみに。
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