KADOKAWA Group

Children & Education

子育て・教育

私の授乳奮闘記 『ピジョンの子育て 育児用品ブランドの社員たちが本気で悩み、考え、奮闘した育児の話』第1回


すべての赤ちゃんやパパママたちが幸せになるよう働いている育児用品ブランド「ピジョン」の社員たち。
男性社員も女性社員も育休取得率100%で、子育て中のパパママからの信頼は絶大。けれど、そんなピジョンの社員だって、自らの出産・育児には当たり前に悩み、苦戦し、奮闘しています。
出産育児の悩みから、妊活や保活の苦労、夫婦関係のリアルまで、答えのない育児に奮闘するすべての人へ贈る一冊です!
 
※ためし読み連載では、おすすめのエピソードを厳選して紹介します。

本書をお読みいただく前に

◎本書は、2006~2021 年にピジョン社員が会社に提出した「育児レポート」を元に、新たに取材した内容も加え、構成しています。 本書内に記載の社員の年代や所属部署は、Chapter1~4はレポート執筆当時のもの、章末コラム・Chapter5は本書制作時のものです。

◎レポートには時代背景が反映されており、必ずしも現在の実情と合致するものではありません。

◎各家庭の事情等に伴い、子育てには多様な考え方や方法が生まれます。本書の内容は、あくまでそのような状況での社員個人の感想や考え方を掲載するものであり、必ずしもピジョン株式会社の公式見解と合致するものではありません。

◎疾患や症状、育児法については、社員が親として情報収集したものであり、その専門性・正確性を保証するものではありません。



ピジョン社員もびっくり⁉ 1人目育児は未知との遭遇

Pigeon's Report 2
私の授乳奮闘記
母乳&ミルクの悩みと歩み



10分しぼってたった10㎖ 哺乳びんでミルクを飲む姿に嫉妬

 1人目育児では何もかも初めての経験だが、「授乳」もその一つだ。私も自分のスタイルが確立するまでに紆余曲折があった。出産前は「出るなら母乳で、出ないならミルクで」と軽く考えていたのに、いざ長女が生まれてみると、何だかミルクを与えることにやや抵抗を感じるようになっていた。母乳にまつわる情報や言い伝え、周囲の人からのアドバイスもさまざまで、何を信じたらよいのか戸惑うことも多かった。
 出産数日後、まず、おっぱいと腋(わき)の下の腫れと痛みに悩んだ。私は帝王切開だったが、自然分娩でなくても体が反応して母乳を作り始めるものらしい。驚いた。
 さて、次なる悩みは、娘がうまく吸えないことだ。乳首をくわえさせてやっても、口をパクパクしているだけで吸われている感じがしない。
 そこで、やむなく哺乳びんにさく乳することに。だがこれも、不慣れなため、10分しぼってたった10㎖という具合。悪戦苦闘の末、哺乳びんの一番下の目盛りにすら達しなくて、絶望的な気持ちになった。初乳をたくさんあげたい一心で、決められた授乳時間を過ぎても、娘を待たせてせっせとさく乳していて、助産師さんに注意されたこともある。帝王切開ゆえ、出産直後にミルクを与えられたわが子。ミルクの入った哺乳びんでぐいぐいと上手に飲む姿を見て「あなたはやっぱり、哺乳びんのほうが飲みやすいのね」と軽く嫉妬したりもした。
 あの頃の私は、どこか意固地になっていたように思う。「しぼるくらいなら直接吸わせたほうがいいよ。そうしないと出るようにならないよ」という友人のアドバイスも、素直に聞けなかった。しぼることで量が見える。それにより、確実に母乳をあげられているということを実感し、安心したかったのかもしれない。


ミルクなしで頑張るも毎日寝不足でフラフラに

 完全母乳を実践した姉からも、「母乳は吸わせていれば出るようになるよ。出したぶんだけ作られるから、ミルクをあげると出なくなるよ」とアドバイスを受け、ミルクなしで頑張ることにした。が、1、2時間おきに授乳という日が続き、毎日寝不足でフラフラに。そのうえ、乳首の皮がむけ、切れてしまった。吸わせ始めの瞬間は特に痛く、体にビリッと電気が走るような感覚が。乳頭保護器を使うも、うまく吸えないことが多く、結局は直接授乳。ひたすら痛みに耐えるしかなかった。また、生後1~3週間頃は、毎回律儀に授乳時間を携帯で測っていた。今現在のいい加減具合と大違いである。


娘の体重が増えていない!落ち込み、すぐにミルクをプラス

 生後3週間頃の産後健診の結果、母体は順調に回復しているとのこと。だが、娘の体重がたった200gしか増えていなかった。普通は1日に30~40g、3週間で700gくらい増えるようなのに。「母乳が不足しているから、ミルクを足すように」と言われ、大ショック。娘はぐずることもなく、よく寝てくれていたので、母乳は足りているとばかり思っていた。娘に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、この日から、迷わずミルクを足すことにした。
 ミルクを作ったり哺乳びんを消毒したりする手間を減らすため、1日のうち1回分の授乳をミルクに置き換えた。が、授乳間隔が空き、おっぱいがカチカチに。そこで、毎回、母乳をあげたあとミルクを40㎖足すことにした。いつかまた母乳だけにできるようにと、足すミルクの量は極力少なくしたのだ。ミルクを足すべきなのか、足すべきでないのか、相談する相手によってアドバイスが異なり、正直迷うことばかりだった。だが結局私は、ミルクをあげ続けた。ミルクをやめて、また体重が増えなくなったらと思うと怖かったから。
 育児書に従い、合計30分かけていた授乳時間については、保健師からのアドバイスで、片方5分ずつ計10分に変えてみた。母乳は授乳中に一定量が出続けるわけではなく、最初の5分くらいで大半が出てしまうのだとか。授乳時間を短くしても娘の機嫌が悪くなることもなく、これでも大丈夫そうだと判断。時間が短くなった
ことで、だいぶ授乳がラクになった。
 1か月健診で体重を測ると、今度は1日に80g増! 医師も驚いていた。体重が増えたことに安心しつつ、こんなに急激に増えて体に負担がかからないのだろうかと不安に。体重が増えても増えなくても心配になる。親というのはなかなか大変だ。それでも生後1か月の体重としては少なめで、混合を続けることにした。


授乳には、産前は想像できなかったさまざまな悩みが山ほどあった

 生後3か月頃には、娘のほうもおっぱいの飲み方がずいぶん上手になった。吸う力も格段に強くなっている。だが、その後もミルクは、母乳の出が悪くなる午後から寝るまでの間に限り、継続した。ミルクを飲んだあとのほうが寝つきがよかったので、寝る前もミルクを足した。
 ミルクは、授乳で夫の協力を得られるという点もよかったと思う。夫も、自分の手でミルクをあげられるのがうれしい様子。一連の流れを覚えてもらい、私の外出時に「じゃあ、よろしく!」と夫に託すことができるのも大きなメリットだ。ただし、私のおっぱいが張ってしまうため、終日のお出かけは無理だったけれど。
 生後4~5か月頃には、助産師をしている友人に「各回40㎖足すだけなら、もうミルクやめても大丈夫だよ」と言われた。娘は順調に大きくなっていて健康そのもの。もう大丈夫かなと思い、思い切ってミルクをやめた。やがて、生後半年頃には、母子ともにすっかり完全母乳に慣れた。
 出産すると「母乳で育てているの?」と人からよく聞かれる。「そうです」と答えるとき、ちょっと誇らしい気持ちになるのはなぜだろう。別に、ミルクを否定する気持ちはないのに。
 授乳については、産前には想像できなかった悩みが山ほどあった。が、最近は子どもが元気で機嫌がよければ大丈夫と思えるようになった。あまり神経質になりすぎずに、ドーンと大きな気持ちで子どもの成長を見守っていきたい。


次回は、「初めての留守番」をお送りします。(1月31日公開予定)


好評発売中!!
『ピジョンの子育て 育児用品ブランドの社員たちが本気で悩み、考え、奮闘した育児の話』 もくじを公開






著者:ピジョン出版プロジェクトチーム 漫画:倉田 けい

定価
1,375円(本体1,250円+税)
発売日
サイズ
A5判
ISBN
9784046813039

紙の本を買う

電子書籍を買う


この記事をシェアする

特集

ページトップへ戻る