
すべての赤ちゃんやパパママたちが幸せになるよう働いている育児用品ブランド「ピジョン」の社員たち。
男性社員も女性社員も育休取得率100%で、子育て中のパパママからの信頼は絶大。けれど、そんなピジョンの社員だって、自らの出産・育児には当たり前に悩み、苦戦し、奮闘しています。
出産育児の悩みから、妊活や保活の苦労、夫婦関係のリアルまで、答えのない育児に奮闘するすべての人へ贈る一冊です!
※ためし読み連載では、おすすめのエピソードを厳選して紹介します。
※これまでの連載はこちらから
ピジョン社員もびっくり⁉ 1人目育児は未知との遭遇
Pigeon's Report 3
初めての留守番
娘と二人きり、試練の7時間

「任せて!」とは言ったけど内心ドキドキでひたすらイメトレ
さく乳した母乳をあげるならいつでも誰でもできるから、ママにもゆとりが生まれる――ピジョンではこれを「にっこりサイクル※1」と呼び、私自身も仕事で何度も口にしてきた。けれど、積極的に実践できているかと聞かれると自信がない。授乳やオムツ替えはやってきたが、娘と二人きりになったことは一度もない。そんななか、最大の試練が訪れた。
その日、妻は友人と大好きなアイドルグループのファンミーティングに行く約束をしていた。半年間育児一色の毎日。気分転換に絶好の機会だ。「娘のことなら任せて!」と大見得を切った。
だが本当はドキドキで、半休を取って帰った私は、電車の中で妻のいない7時間をどう乗り切るか、ひたすらイメトレを重ねるのだった。
※1 ピジョンとして、この考え方については現在も訴求していますが、この名称は、現在は使用していません。
全身全霊で立ち向かうもムダ!これまでにない虚無感が……
ついに、妻が出かけるときがきた。ガチャン―― 玄関のドアが閉まった途端、家の中は耳が痛いほどの静寂に包まれた。そうか、妻の一日はいつもこうして始まるのか。
とりあえず、お気に入りのウサギのぬいぐるみを渡してみた。何事もなく30分が過ぎた頃、異臭が鼻をついた。娘に近づき嗅いでみる。ウンチだ。しょうがないなとオムツを開くと、太ももまでべったりだった。「え? 泣いてくれたら、ここまでなる前に替えられたのに」。娘のせいにしようとする自分がいた。と、次の瞬間、耳が張り裂けんばかりの大声で泣きだした。
きれいに拭いてあげるしかない。そうすればきっと泣きやむ。1枚、2枚……おしり拭きを取り出すが、なかなかきれいにならない。焦りと不安がこみ上げる。ウンチは肌着やズボンにまで広がっていた。背中まで丁寧に拭き、服も替えた。全身全霊を使った15分間だった。
だが泣きやまない。お腹が空いたのかと慌てて冷凍母乳を温め、哺乳びんで与えようとするも無情に拒否。無理もない。産後すぐは混合だったが、最近は直接授乳一筋だったのだ。娘の泣き声が震え、枯れてきた。その声に私の心臓も震え上がる。大好物の桃と白ぶどうのジュレを与える作戦も、見事空振りに。もう寝かせるしかない。さすがに30分間大暴れで疲れたのか、抱っこ紐を使ったらものの5分で眠りに落ちた。
……何をやってもダメな自分。ふと、これまで感じたことのない虚無感に襲われた。「にっこりサイクル」を正々堂々と語れるまで、道は長そうだ。今年は絶対「ひとつきいっしょ※2」を取得して自分を磨き、もっと積極的に育児に取り組もう、と心に誓ったのだった。
※2 子どもが生まれたピジョン社員が、男女を問わず取ることのできる1か月間の育休制度
次回は、「ずりばいハンターがゆく」をお送りします。(2月3日公開予定)
好評発売中!!
『ピジョンの子育て 育児用品ブランドの社員たちが本気で悩み、考え、奮闘した育児の話』 もくじを公開
著者:ピジョン出版プロジェクトチーム 漫画:倉田 けい
- 【定価】
- 1,375円(本体1,250円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- A5判
- 【ISBN】
- 9784046813039