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楽しみ方がわかる! はじめての、親子えほん 第6回<虫……好きですか? 虫の絵本>


こんにちは! 《聞かせ屋。けいたろう》です。
皆さん、虫は好きですか? 「子どもの頃は好きだったけれど、今そう言われると……」という感じでしょうか(笑)。僕は幼少期、としまえん遊園地の近くに住んでいたので、園内にあった「昆虫館」が大好きでした。印象に残っているのは鈴虫。暗い部屋に展示されていたのですが、スイッチを押すと小さな電気がついて、鳴いている姿が見られるのです。
5才の頃に小さな昆虫図鑑を買ってもらい、虫かごを持って、蝶やバッタ、セミやトンボを捕まえました。小学生になると、ジャムの瓶にアリを飼って巣を観察したり、カタツムリを捕まえすぎて飼育しきれなくなったり……(笑)。こうして振り返ると、あの頃にしか出来ない体験だったなぁと思います。

小学校の図書館で読んで、今も心に残っている虫の絵本があります。


『とべバッタ』(偕成社)


バッタに対する印象って、どうでしょう?「飛ぶ」「逃げる」「草を食べる」というところでしょうか? バッタってどちらかと言えば、強くはないイメージですよね。実際、多くの捕食者に狙われていると思います。絵本の中のバッタは、毎日びくびく怯えていました。でも、ある日、怯えながら生きていくのが嫌になり、大きな石の上でひなたぼっこをします。案の定、バッタはカマキリ達に襲われるのですが、飛び跳ねたバッタの体はすごい勢いで空へと向かい、カマキリの体をバラバラにするのです!
小学生の僕は、襲いかかってくるカマキリ達をすごく怖く感じました。でも、それらに負けなかったバッタに衝撃を受けました。心が揺れた絵本です。

先日、僕は保育士として勤務している保育園でこの絵本を子どもたちに読み聞かせをしましたが、息を飲むような緊迫感が子ども達にも伝わったのでしょう、誰一人として言葉を発さず、絵本に入っていました。現代の子ども達もあの日の僕のように、何かを感じていました。


次に紹介するのは、こちら!


『すごい虫ずかん くさむらの むこうには』(KADOKAWA)


タイトルに「ずかん」とありますが、図鑑と絵本の間くらいの本かなぁ。
まさに僕がそうでしたが、虫好きの多くは図鑑好きです。虫のことをもっと知りたくてページをめくり、色々な種類の虫に目を輝かせている。この絵本は、お話の中で出会った虫たちを、図鑑のように解説してくれるのが魅力。主人公の少年が走って、転んで、目の前にいたのはオオカマキリ。その絵がまたリアルですごい迫力!



虫好きには、このリアル画風がたまらない。僕は小学生の頃、カマキリも捕まえて飼育したことがありますが、捕まえる瞬間ってこの本のように威嚇されるので、結構勇気が要るのです。つかむ場所を間違えると、前足のカマで攻撃されますし…。団地裏の茂みを思い出すなぁ。今やオジさんの僕に、あの日を思い出させてくれる良作ですね。虫たちとこれから出会う現代の子ども達にとっても、世界を広げる絵本になりそうです。


私、リアルな虫の絵がちょっと……というママさんに、一冊紹介しておきますね。


『むしさん なんの ぎょうれつ?』(ポプラ社)


ちょっと可愛らしい虫達が、なんと50匹! 列になって並んでいます。その先にあるものは一体!? 親子で数を数えながら、虫の名前を覚えるのも良いコミュニケーションですね。お気に入りの虫は、見つかるでしょうか?


今回は、虫の絵本を紹介しました。虫好きな子もそうでない子も、虫達の容姿や物語、バラエティ豊かな生態を、のぞきこんでもらえたら嬉しいです。そして是非、夏の思い出には虫捕りを!


『とべバッタ』(偕成社)

  • 作:田島征三
  • 【定価】1,540円(本体1,400円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】25cm×30cm
  • 【ISBN】9784033311401

『すごい虫ずかん くさむらの むこうには』(KADOKAWA)

  • 作/じゅえき太郎 監修/須田 研司
  • 【定価】1,540円(本体1,400円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】A4変型判
  • 【ISBN】9784041093214

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『むしさん なんの ぎょうれつ?』(ポプラ社)

  • 作/オームラ トモコ 絵/オームラ トモコ
  • 【定価】1,430円(本体1,300円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】22.7cm×22.6cm
  • 【ISBN】978-4-591-15472-4

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