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子育て・教育

【貧すれば鈍する。貧乏は脳を劣化させる】祝♪書籍化記念!追加連載 第5回


⇧この連載が本になりました⇧



タイトルは『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』(久保田競、原田妙子/著)です。連載時から大幅に改稿し、新規書き下ろしコラムを追加した特別版です。

本の発売を記念して、全5回に渡って追加連載を行います。内容は、その新規コラムの一部抜粋で、主に発達障害や育脳、脳科学について語っています。
面白くてためになるお話が満載なので、みなさんぜひご一読ください!

※これまでの連載を読む


コラム:貧すれば鈍する。貧乏は脳を劣化させる

 子育てにはなにかとお金がかかります。塾や習い事をさせるには、それなりの経済的余裕が必要です。アメリカの研究で、親の学歴、家庭の収入と子どもの脳の表面積の関係を調べたものがあります。1099人の3〜20歳の子ども、青少年を調べた大規模な研究(※38)です。それによると、


①親の教育期間(年)が長くなるほど、子どもの大脳皮質表面積と海馬の容量が大きくなった。
②家庭の年収が増えるほど、指数関数的に(つまり急激に)子どもの大脳皮質表面積が大きくなった。



ということがわかりました。家庭の年収が増えると、自然環境や教育環境のよいところに住むことができ、よいものを食べられます。健康で快適な生活ができるので、子どもの脳がよく働くようになるのでしょう。


 また、貧困が脳に与える影響について調べた研究(※39)では、富裕層と比較して貧困層は認知機能テストの成績が大幅に低く、貧困は認知能力を低下させることがわかりました。認知機能が低いと、正しい判断を下すことが難しくなるなど日常生活のさまざまな面で大きな影響を及ぼす可能性があります。

 もちろん、貧しい家で育っても親の関わり方や周囲の協力、本人の努力などで高い能力を獲得することはありますが、やはり、個人差が大きいのです。親の年収の低さが子どもの将来になるべく影響しないように、国レベルの制度ができてほしいと思います。


続きは、本書でご覧ください♪

※38:参考文献 Noble, K. G. et al. Family income, parental education and brain structure in children and adolescents. Nat Neurosci 18, 773-778, doi:10.1038/nn.3983 (2015).
※39:参考文献 Wicherts, J. M. & Scholten, A. Z. Comment on “Poverty impedes cognitive function”. Science 342, 1169, doi:10.1126/science.1246680 (2013).


コラムに関連した「子どもの発達お悩み相談室」連載の記事は…



書誌情報

『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』
著者:久保田競 原田妙子

最新研究で最高の子育てを!

・家計が子どもの脳に与える影響
・グルーミングで脳がストレスに強くなる
・急激に大きくなるASD児の脳
・3年後にIQを100以上にする療育

ヨメルバ人気WEB連載を書籍化(「うちの子ちょっと変わってる?」子どもの発達お悩み相談室)

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・暴言などの虐待で発達障害と似た症状が
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著者:久保田 競著者:原田 妙子

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784041095317

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