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「なんでできないの!」「なんでちゃんとやらないの!」「〇〇ちゃんはできるのに!」自己肯定感を阻害する自分いじめをやめる


2023年私立・国立中学受験者数、受験率は過去最多となり、2024年の今年もそれを更新しそうな勢いで過熱化しています。
「中学受験は親の受験」とも言われるほど保護者の影響力が強いもの。親にも覚悟と準備が必要となります。
ただ、干渉するあまり、成績だけに目を向け、テストや受験の結果を責めたり、子ども自身を否定したり、比較したりする“子どもを壊す”受験になってしまっては、元も子もない。そうならないためには、どうすればいいか、そのポイントをお伝えしていきます。

連載第4回は、実践編として、これまでお伝えしてきた、中学受験に欠かせない「能力非認知能力」を育成する方法の一部をご紹介します。

※本連載は『子どもを壊さない中学受験 我が子を上手に導けるようになる3週間チャレンジ』から一部抜粋して構成された記事です。



 

どうしてこんな声かけをしてしまうのだろう

 私たちは本当に「ダメ」を見つける天才です。しかもほんのちょっとした「ダメ」を巨大化させるのが得意です。ネガティブなことに気を取られやすく、しかもネガティブなことは記憶に残りやすいので、ポジティブなことをほぼスルーしがちです。

 

質問 自分のダメなところばかりが気になる?

「あれができなかった」「自分はダメだ」「あの人よりも自分は劣っている」「どうせ無理」「失敗したくない」「なんか言われたら嫌だからやめよう」。今日、自分にそんな声かけをしませんでしたか? 自分のダメなところばかりに目が行っていると、子どもに対しても見えてくるのは子どものダメなところばかり。そうして「なんでできないの!」なんて声かけになってしまうのです。
 こんな自己否定は自己の存在と価値の対極。いわば心理的安全性を最も脅かす要素と言えます。だけど自分をいじめてしまうのは自分がダメな人間だからでしょうか?  いいえ、あなたは全然ダメなんかじゃない。実はダメにフォーカスしてしまうのは「自分」以外にいくつか原因があるのです。

 

自分いじめの原因① ネガティブ・バイアスのなせるわざ

 脳は悪いことをより長く覚えていたり、悪いことにより強く反応します。これをネガティブ・バイアスと言いますが、ネガティブなことに脳は反応しやすく、強烈に心に残るという脳の習性です。

 するとどうなるでしょう? 例えば子どもが塾のテストで算数は一番だったのに他のテストの点数がいまいちで一つレベルが下のクラスに落ちたとします。「クラスが落ちた」ことには「最悪だ!」と強く反応してしまうのに、「算数は一番だった」という事実はほぼスルー。似たような経験、ありませんか?

ネガティブ・バイアスの子どもへの影響
算数はNO.1  ➡  スルー  ➡  はあ?なんだっけ?
   クラスが落ちた  ➡  巨大化  ➡  最悪だ、もうおしまいだ!   

 

 

自分いじめの原因② 完璧主義

 ネガティブ・バイアスの次は完璧主義です。徹底してダメなところをなくすのですから一見ポジティブに見えますよね。でもそこが問題なのです。完璧を目指すとは「できていないところ」を見つけて「もっともっと」「まだまだ」と頑張ることとも言えるからです。例えば99点の解答用紙。「あと1点」が気になりませんか? ほかにも水泳大会で0・5秒の差で2位。あと少しで1位だったのに……など。ここでは99点も取れている。100人が参加した大会で2位ってすごい! というポジティブな面は完璧に見逃されています。そう考えると完璧主義ってそれほど素敵なものではないと思えてきませんか?
 

自分いじめの原因③ 謙遜・過小評価

「そんなことないです」「全然ダメです」と自分を一段低く落とすのが美とされてきた文化では、自分を過小評価するのが当たり前になっていきます。また「みんなと同じ」であることが重要な社会では生き残りをかけて「目立たない」存在になろうとします。そこで起こることは「自分は大した存在じゃない」「自分はこの程度」という自分の価値と可能性の否定です。
 謙遜を美とする文化では、ある程度控えめであることも必要な時があるでしょう。ですが、過度の謙遜はもうやめても良いのではないでしょうか?

 

インポスター症候群(過小評価)

 自分の力で何かを達成し、周囲から高く評価されても、「自分にはそのような能力はない」「評価されるに値しない」と自己を過小評価してしまう傾向のことをインポスター症候群(または詐欺師症候群)といいます。特に女性に多いと言われていて、『LEANIN』を書いたメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)の元COOシェリル・サンドバーグでさえインポスター症候群に悩まされたと言われています。

 非認知能力を育む環境作りの第一歩は自分いじめをやめることです。否定をやめる! でも、言うは易し行うは難し、と思いますよね。大丈夫。そのためにスキルがあるのです。



 

スキル 「Stop the Bully! 」「いいんだよ、そんなところがあって」

スキルの目的

「ダメ」なところもある自分を否定する代わりにありのままに受け入れる練習をします。そうすることで「ダメ」にフォーカスしたり、長居しないようにします。「ダメだなあ」と思うのは悪いことじゃないのです。問題はそこに留まること、どんどん自己肯定感が下がっていくことです。「ダメ」なところがあるのは人の常。そんなところがある自分も受けとめて肯定できるようにしていきましょう。
 

スキルの説明(自分いじめをやめるための自己受容について)

「自己受容」とは、「置かれている現実の状況を受け入れること」を意味します。自分の良いところはきちんと認め(これはDay2で行います)、ダメだと思うところは否定することなく自分の一部としてありのままに受け入れることです。私たちは人間だからできることとできないこと、得意なこと不得意なこと、好きなこと嫌いなことがあります。それでこそ人間なのです。

「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」の権威、アメリカの心理学者クリスティン・ネフ博士は「人間の共通性」という概念を挙げていますが、これは人間としてみんなが共感できることです。「ダメ」があるのは人間として普通のこと。人間なら当たり前にあることだからこそ「ダメ」の部分を否定・批判・非難・拒否・無視しないことです。そして、ただそこにある事実として受け止める。そうすることで自分を攻撃することをやめる自分になっていきましょう。自分だけはどんな時も自分に優しくしてあげたいですよね。
 

トライ! ワーク

 今日のあなたが「ダメ」と思ったことはなんですか? 書き出してみましょう。次に「そんな自分がいていいんだよ」と書いて肯定してあげます。最後はそんな自分の存在を大切に思う自分で締めくくります。これも同様に「そんな自分は唯一無二の大切な存在なんだよ」と書き出します。これはいわば心の筋トレです。やればやるほど筋力がつき、やらなければ衰えます。

 これだけ……? はい! でも最高にパワフルなスキルです。自分に対する許し、癒し、そして肯定。ぜひとも続けることで習慣化してくださいね。厳しさだけの厳寒の土地には何も育ちません。優しさがあるからこそ人は育つのです。生きられるのです。
 



 

 


 

 今日のひとこと 

 You are special the way you are
あなたのままで、あなたは特別

ありのままのあなた。
それだけで最高にスペシャルな存在。
その事実だけを見つめればいい。
他の誰かになることはない。
自分らしく、自分史上最高に幸せな人生を作っていく。
それができるのは自分だけ。
ありのままの、この世にたった1人しかいない自分だからこそ、
スペシャル。
存在する。ただそれだけで最高にスペシャル。

 


 

最高の中学受験を迎えるために

令和の中学受験と親世代の受験の決定的違い、それはその先の「未来」が見えるか、見えないか。
今の小学4年生が高校を卒業する2030年には、今ある仕事の49%がAIに取って代わられると言われます。それは一体どんな社会なのか? 予測もつかない社会に私たちは子どもたちを送り出そうとしているのです。
そこでは偏差値も大学名も一生の安泰を約束してはくれません。変化はますます加速していくでしょう。その危機感から学力以外の能力、「生きる力=非認知能力」も育成しようと教育が変わってきています。

中学受験は「非認知能力」を育成する絶好の機会です。本書を通して、まずは親が意識改革をし、子どもの「非認知能力」を育む土台を作りましょう。そして、最愛の我が子と最高のチームで中学受験を乗り切りましょう。頑張るあなたを応援しています。

 

【プロフィール】



ボーク重子(ぼーく しげこ)
英国で現代美術史の修士号を取得後、1998年渡米、結婚、出産。2004年に中国現代アートを中心としたアジア現代アート専門ギャラリー「Shigeko Bork mu project」をワシントンD.C.にて起業。
15年の社長業の後、セカンドキャリアとして非認知能力育成専門コーチングで再度起業。現在、非認知能力を育むことが証明されているSEL(社会情緒的教育)ベースの革新的BYBSメソッドを採用したコーチング会社2社(日米)の代表を務める。
非認知能力を育む学校教育、家庭環境で育った娘・スカイは、2017年「全米最優秀女子高生」大学奨学金コンクールで優勝。
その後、初の非認知能力育児本を出版、2018年に発売された『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)はベストセラーとなり、以来非認知能力育成のパイオニアとして知られる。
近年は、激変の時代に必須の生きる力「非認知能力」を理解するだけでなく、実践に落とし込み確実に身につけることで幸福度、学力、生産性を高めるプログラムを家庭、教育機関、企業、自治体に提供している。

 

【書籍情報】


子どもを壊さない中学受験 我が子を上手に導けるようになる3週間チャレンジ

  • 著者:ボーク 重子
  • 【定価】1,870円(本体1,700円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】四六判
  • 【ISBN】9784046066107

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