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子育て・教育

子どもの「あと伸びする学力」をはぐくむ


子どもの伸びようとする力を、知らず知らずのうちに妨げていませんか?
子どものすることには、すべて理由があります。
「ダメ!」と言う前に一呼吸おいて、「なぜこんなことをするのかな」と見守ってみませんか?
娘を有名小学校に合格させ、受験対応型保育園の園長としても実績を上げてきた「花まる子育てカレッジ」ディレクターが、子育て中の悩みや疑問100に答え、世界で生き抜く力をつける、具体的なメソッドを伝える『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』

連載第3回は、本誌の中から『あと伸びする学力をはぐくむ』をピックアップします!

※本連載は『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』から一部抜粋して構成された記事です。記事内で使用している写真は本誌には掲載されていません。
 




時間の感覚を身につけさせるには?

【アナログ時計とタイマーを活用しましょう】

 決めた時刻の前に予告、がポイント 
 子どものやりたいことは、とことんじゃまをしないでやらせてあげたい。けれど、ご飯の時間、お風呂の時間、寝る時間も大切。この折り合いをつけることが、とても難しいなと感じることはありませんか。

 年中さん以降で数字が読めるようになってきたら、アナログ時計やタイマーを使うことで、具体的な時間の感覚がわかるようになります。「長い針が6 のところまで、遊ぼうね」と約束をして、「長い針が5 に来ているから、もうすぐおしまいだよ」と声をかけると、子どもは終わらせる心の準備ができます。
 
 大人も子どもも、やっていることをやめるのは難しいですから、前もって予告をしてあげるのがコツ。子どもが嫌いなお片づけも、タイマーをセットして、「5 分で、どっちが多くおもちゃを箱に入れられるか競争だ!」という遊びにするのもおもしろがってくれます。「5 分で、こんなに片づけられた!」という達成感も感じられますから、おすすめです。




 時間のかかり方を実感させる声かけを 
 また、小学校に入学すると1 年生で、すぐに時計の読み方を習います。1 年生で「○時」と「○時30分」という30分刻み。2 年生で「○時○分」をマスターして、「午前11時35分から45分後は、何時何分ですか?」という内容も学びます。時計は60進法や12進法という、子どもにとっては新しい知識。普段から、「今何時?」「あと20分で4時だね」というような会話をしておくと、そんな算数の学びにもスムーズに入っていけるはずです。
 さらに、「お店に行くのに、車で行けば5 分だけど、歩いて行くと20分もかかったね」という移動の速さの感覚とかかった時間について、お出かけした時に話してみるのも、速さという見えないものについて実体験で感じる良い機会になります。電車好きな子どもには、「特急だとすぐに到着するね」という感じでしょうか。大人にとっては当たり前のことも、子どもは言葉で伝えないと感じとれないものです。時計を読むことから、時間の長さや速さまで、目には見えないものを、子どもの実体験とつなぐことができます。



 


 

料理のお手伝いはまだ早い?

【下ごしらえなら1歳から。食材は知的な刺激の宝庫】

 一生ものになる魚や野菜に触れる体験 
 野菜を洗う、レタスをちぎる、グリーンピースやそら豆をさやから出す、煮干しの頭をとる、あさりを洗う、卵を割る……。子どもが小さい頃からできるお手伝いは、料理の下ごしらえの中に意外とたくさんあるものです。娘は1 歳の頃から、これらのことを楽しんできました。

 お手伝いをすると、旬の野菜、魚に直接さわるので、ざらざらやツルツルの野菜の表面や香り、魚のぬるぬる、うろこがはがれてくる感じなどを味わえます。重さや香りを感じたり、大きくても軽いものや小さくても重いものから密度を体験したりすることもできます。幼い子どもにとっては刺激がたくさん。幼児期に五感で体験した感覚は鮮烈で、その「びっくり!」が、一生ものの記憶となります。

 子どもは、自然とふれあいながら育てるのが良いとよく言われます。屋外で体験する自然もすばらしいですが、野菜、果物、魚介もまた大いなる自然だとわたしは思います。
 「飛び魚はなぜ飛べるのか?」。飛び魚の胸びれを広げてみればその大きさで、一目瞭然。塩焼きにして食べれば、そのおいしさにも驚くはずです。「いかの口はどこにあるの?」。いかをさばいてみると、くちばし状の「カラストンビ」と言われる場所があり、その硬さを知るとえさを噛みちぎっていることがイメージできると思います。




 料理は「食」や「命」の学びにつながる 
 お料理は指先を器用にする効果だけでなく、食材に興味を持ち、手ざわりを感じ、色や形を知り……、と能動的で知的な刺激を得ることができます。調理の過程で変化していく食材の様子にも驚きがたくさんあります。そして、自らが手をかけたものだからこそ、よりいっそうおいしく、大事に食べられるに違いありません。

 子どもとの料理は、そのための準備や後片づけなどを考えると、時間も手間もかかる、とても非効率的なことのように思われます。ですが、その時の子どもの脳内では、とても豊かで、大人の想像を超えるような経験が記憶されています。その記憶は、自然を敬い、自分を育てる食に対する姿勢を作り、命を感じることにつながります。




 家庭でできることがあります 
連載第3回は、本誌の中から『「あと伸びする学力」をはぐくむ』をピックアップしました。

小学校入学後、学習や友だちとの活動に意欲的に取り組めるようになるために、家庭でできることをご紹介します。幼児期の成長は、驚くほどめざましいもの。子どもが興味を持っていることから、働きかけをしていきましょう。



【著者プロフィール】

●「花まる子育てカレッジ」ディレクター。
慶應義塾大学文学部卒業。雑誌「オレンジページ」編集部を経て、公式サイト初代編集長。出版社勤務のかたわら、長女を難関私立小学校に合格させる。その後、受験対応型保育園で初代園長を務め、生活の中で学ぶカリキュラムを立案する。認可保育園保育統括や企業主導型保育園の立ち上げにも従事。小学校受験の個人指導でも、慶應義塾横浜初等部、早稲田実業学校初等部、立教女学院小学校、
桐朋小学校などの合格実績を上げ、現職に。子育てに悩む親が、自らの価値観に沿って子どもに向き合う手助けをすることを信条としている。


書籍情報


著者:井坂 敦子

定価
1,595円(本体1,450円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784048976275

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