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Children & Education

子育て・教育

子どもの「世界で生き抜く力」をはぐくむ


子どもの伸びようとする力を、知らず知らずのうちに妨げていませんか?
子どものすることには、すべて理由があります。
「ダメ!」と言う前に一呼吸おいて、「なぜこんなことをするのかな」と見守ってみませんか?
娘を有名小学校に合格させ、受験対応型保育園の園長としても実績を上げてきた「花まる子育てカレッジ」ディレクターが、子育て中の悩みや疑問100に答え、世界で生き抜く力をつける、具体的なメソッドを伝える『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』

連載第4回は、本誌の中から『「世界で生き抜く力」をはぐくむ』をピックアップします!

※本連載は『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』から一部抜粋して構成された記事です。記事内で使用している写真は本誌には掲載されていません。
 




自立した人になってほしい

【買いものの袋詰めでスキルは身につく】

 袋詰めの課題が小学校の入試に 

 「スーパーマーケットのカゴに、じゃがいも3 つ、牛乳500ml、ロールパン、きのこの山が入っています。これらをレジ袋に入れてください」。これは、ある小学校の入試問題です。幼児に課されたものですが、中学生の家庭科で出題しても、よさそうな課題ですよね。
 じゃがいもは、ビニール袋に入れて結ぶ。最初に重い牛乳を底に寝かせる。その横にじゃがいも。冷たい牛乳の上に、冷やしたほうがよいきのこの山。最後に、つぶれないようにロールパン。正解は、こんな感じでしょうか。冷たい牛乳は、結露予防にビニール袋に入れたほうがよいかもしれません。最近では宅配のサービスも多くありますし、スーパーによっては、袋詰めを店員さんがしてくれるところもあります。子どもに詰めてもらうお手伝いをしてもらったことはありますか?

 大人は当たり前にやっていることでも、生まれて数年の幼児には、わからないルールがあります。どんどん手当たりしだいに入れてしまうとパンがつぶれたり、入れ方によっては持ちにくい状態になってしまったりします。スーパーで詰める時に、重いものは下へ、つぶれそうなものは上に、といったやり方を説明してあげること、子どもに詰めてもらうこと、そんな日常のちょっとしたことの中に自立への種があります。




 入試の答えに普段の生活が出る 
 「ハイキングに行く時に、あなたはリュックサックに何を入れますか?」という質問を入試の面接の時にした小学校もありました。お弁当や水筒、ハンカチや虫よけ、敷物や折りたたみ傘など、普段の生活で使っているものから子どもたちは答えます。「植物図鑑」という答えもありました。その子の生活を感じることができて素敵です。小学生になれば、遠足のリュックに荷物を詰めたり、宿泊学習やスキーキャンプなど、自分の荷物を自分でまとめたりする機会もふえます。そんな時に必要なものがわかって、合理的に詰められるスキルが身についているといいですね。



 


 

日本文化を早くから学ばせたい

【季節の行事が日本文化を知るきっかけに】

 ひな祭りのいわれを知っていますか? 
 娘さんがいても、ひな祭りに桃の花を飾る家庭はあまり多くはないかもしれません。ですが、桃の花を買いもとめて、ちらしずしや、はまぐりのお吸い物の祝膳を囲むのは、家族の楽しい時間になります。さて「なぜ桃の花を飾るの?」と考えてみたことはありますか。

 そもそもひなまつりは、五節句(季節の変わり目の厄払い。1 月7 日の人日<七草がゆ>、3 月3 日の上巳<ひな祭り>、5 月5 日の端午、7 月7 日の七夕、9 月9 日の重陽があります)の2番目の行事。上巳の節句で、草や紙で作った人形に厄を移して川に流す「流しびな」という行事と、平安時代に宮中で行われていた紙人形遊び「ひいな遊び」が合わさって生まれたと言われています。そのため、旧暦の3 月3 日にひな人形を飾っていましたが、現在の暦に切り替わり、明治時代には4 月3 日にひな祭りを行っていました。4 月上旬は、桃の花が咲く時期なので飾るようになったと言われています。また桃の花は、古くから邪気を払う、縁起のよいものとして神事にも用いられてきました。昔話の桃太郎も、このいわれがルーツです。現在でも長野など4 月3 日をひなまつりとする地域があります。




 行事を通して子どもに伝えたいことを振り返って 
 わが家には、娘が2 歳の時に植えた桃の木があり、今では高さ4 メートル。小学校の理科の先生は「新暦の3月3 日のひな祭りで、桃の花はナンセンス。人工的な桃の枝は買いたくない」とおっしゃっていました。4 月に咲いた桃の花を持参すると「これが本物だ!」と喜ばれていました。

 また、ひな人形と一緒に飾る「ぼんぼり」って何? と絵本などから知ることも、日本文化を知ることの始まりになります。「うれしいひなまつり」などの日本の童謡に使われる「和の音階」が「ペンタトニック」というファとシの音が抜けた音階であり、それは世界各地の民謡も同様であることなどは、幼いうちは知らなくてよい知識ですが、童謡には親しんでおくとよいと思います。「何を子どもに伝えたいのか」を振り返る機会として、季節の行事をとらえてみるのはいかがでしょう。




 一生幸せに過ごすために 
連載第4回は、本誌の中から『「グローバル力」をはぐくむ』をピックアップしました。

一人娘は中3から単身イギリスに留学していますが、気の合う友人を得て、生き生きと学んでいます。 自分を信じる気持ちと相手をリスペクトする気持ちのバランスがとれていれば、世界のどこにいてもハッピーでいられるはずです。



【著者プロフィール】

●「花まる子育てカレッジ」ディレクター。
慶應義塾大学文学部卒業。雑誌「オレンジページ」編集部を経て、公式サイト初代編集長。出版社勤務のかたわら、長女を難関私立小学校に合格させる。その後、受験対応型保育園で初代園長を務め、生活の中で学ぶカリキュラムを立案する。認可保育園保育統括や企業主導型保育園の立ち上げにも従事。小学校受験の個人指導でも、慶應義塾横浜初等部、早稲田実業学校初等部、立教女学院小学校、
桐朋小学校などの合格実績を上げ、現職に。子育てに悩む親が、自らの価値観に沿って子どもに向き合う手助けをすることを信条としている。


書籍情報


著者:井坂 敦子

定価
1,595円(本体1,450円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784048976275

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