
2025年2月に刊行された『驚異の標本箱―鉱物―』から鉱物好きの子にぜひ見てもらいたい鉱物を紹介します!自主学習や自由研究にもおすすめのテーマです!
※本連載は『驚異の標本箱―鉱物―』から一部抜粋して構成された記事です。
結晶面は平らじゃない

結晶は平らな面で囲まれた多面体で、その鉱物の種類によって形態が異なる。この結晶面をよく観察してみると、意外と理想的な平面でないことに気づく。でっぱりもあればへっこみもある。これは、結晶が成長する際に、原子の並びの乱れ(格子欠陥)を足がかりに原子が並びやすいためで、わずかに盛り上がった部分を成長丘(せいちょうきゅう)という。逆に、鉱物結晶が地下で溶解する際には、この部分から溶けていく(蝕像(しょくぞう))。結晶面が段々に成長すると、結晶面のジグザグによる筋ができる。これを条線(じょうせん)という。平らに見える結晶面にも、結晶成長のドラマが刻まれている。
鉱物データ
満礬柘榴石
学名 Spessartine(スペサルティン)
和名 満礬柘榴石(まんばんざくろいし)
化学式 Mn₃Al₂(SiO₄)₃
結晶系 立方晶系
モース硬度 6 ½ ~ 7 ½
分類 ケイ酸塩鉱物
満礬柘榴石の結晶表面。溶解再成長により、多数の条線が刻まれている。
撮影幅:1.1 cm/産地:ブラジル Navegadora claim, Penha do Norte, Conselheiro Pena, Minas Gerais, Brazil/所蔵:個人蔵
クレジット
写真・文=田中陵二(科学者)
書籍情報
- 【定価】
- 5,500円(本体5,000円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- A4変形判
- 【ISBN】
- 9784041156124