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『新装版 うちゅうずし』はここから生まれた! 鈴木のりたけさんのアトリエ訪問<前編>

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「大ピンチずかん」シリーズなどでおなじみの人気絵本作家・鈴木のりたけさんの最新作『新装版 うちゅうずし』が出版されました。193枚のシールでオリジナルのお寿司を作る、読者参加型の絵本です。今回は鈴木のりたけさんのアトリエを訪問して、アトリエでの過ごし方や愛用している道具についてお話を聞きました。前後編にわたってお届けします。





自宅にほど近いアトリエでのメリハリのある毎日

鈴木のりたけさんの仕事場は、ガラス張りで開放感のあるアトリエ。広々とした空間には、机やパソコンなどのほか、卓球台や巨大モニターまであります。

以前は自宅の2階の部屋をアトリエにしていたのですが、2025年からこのアトリエを使うようになりました。家から遠いと通わなくなってしまうと思ったので、近くでいいところはないかなと探していたら、徒歩数分程度のところでいい物件を見つけたんです。仕事は基本、机回りだけで済むので、ここまで広い空間は必要ないのですが、取材などで何人もの人が出入りすることもあるので、重宝していますね。



毎日だいたい10時頃にアトリエに来て、18時近くまで仕事をしています。自宅で仕事をしていた頃も、パフォーマンスが落ちるので夜遅くまで描くことはなかったのですが、メールチェックなどは夜になってからもしていたんです。でもこのアトリエを使うようになってからは、アトリエまで歩いて行く、自宅まで歩いて帰る、という時間が入ることで、プライベートと仕事がより明確に線引きされて、メリハリが出たなと感じています。



もちろん、何か面白そうなことがあればスマホにメモることはありますけどね。夕食の時間とその後の時間は、家族とたっぷり時間をとるようにしています。

アトリエは広いので、仕事の気晴らしに遊ぶにもちょうどいいんですよね。卓球は球出しマシンもあるので一人でもできますし、アトリエの中を自転車でぐるぐる回ったり、大きいモニターでバスケ観戦したりすることもあります。フットサルをやっていたのでサッカーボールもありますし。いい気分転換になりますね。



 

ワークショップの素材作りが『うちゅうずし』の原点に

壁面に飾られているのは、のりたけさん愛用のギターや、大学時代の思い出の楽器シタールなど。中でもひときわ目立っているのが、大きな「10」の数字です。



壁面の大きな「10」は、「ひょうげんのじゅう」というワークショップの会場用の飾りとして作ったものです。絵の具をぐちゃぐちゃに塗った色紙を参加者に配り、「1」と「0」の形のパーツを何組か切り抜いてもらったら、切り抜いたパーツを自由に組み合わせて見立て遊びをしよう、というワークショップです。素材となる紙は家族総出で色塗りをしました。実はそのときに子どもが塗ったものを見て「うわ、ここの部分、すごくおいしそう!」と気づいたことが、『うちゅうずし』の発想につながっています。




僕はアートスクールなどに通わず我流で絵を描いてきたので、「絵を描く=写生」みたいなイメージがずっとあったんですね。この「10」の素材を作るときの抽象的で偶然性に任せた描き方は、以前はまったくやったことがなかったのですが、やってみたら思いのほか楽しいなと感じました。写生と違って正解も何もないから、色を自由に塗りたくるという行為そのものを楽しめるんです。

できあがった色紙は、絵の具の量や組み合わせ、塗り方など、そのときどきの感覚で偶然に生まれるものなので、同じものを再現しようと思っても難しいのですが、それだけ唯一無二の表現ということでもあるんですよね。これを機に僕自身の表現の幅も広がりました。

『新装版 うちゅうずし』には、色紙から切り出した独特な風合いの寿司ネタのシールが盛りだくさん。形を自由に切り出せるシートもあって、子どものクリエイティビティを刺激してくれます。

絵本との向き合い方って、いろいろとあると思うんですよね。僕は、絵本を読んだ上で、それをどう自分の中に組み込んで、人生の中で有益に起動させるかが大事だと考えていて。読者の皆さんにはもっと主体的に絵本にかかわってほしいなと思っています。『うちゅうずし』はその手助けになるような絵本として作りました。思い思いの自由な発想で、自分なりのお寿司を作ってみてほしいですね。




取材・文:加治佐志津
撮影:後藤利江

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