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『ダンサー!!! キセキのダンスチーム【ヨルマチ】始動!』特別対談 第2回

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ダンスが義務教育に組み込まれたり、オリンピックの種目にブレイキンが追加されたり、TikTokを中心にダンス動画が盛り上がったり。ダンス人口は年々増えて、ダンスに関わる仕事も増えてきています。
今回は、児童書『ダンサー!!! キセキのダンスチーム【ヨルマチ】始動!』の著者・さちはら一紗さんと、日本発世界初のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」で活躍するダンスチーム「KADOKAWA DREAMS」のKISAさん、HINATA.Mさん、颯希(SATSUKI)さんによる特別対談をお届けします。(全3回)


第2回は、小説『ダンサー!!! キセキのダンスチーム【ヨルマチ】始動!』について。KADOKAWA DREAMS(以降KD)の皆さんの感想などお聞きしました。


――今回、KISAさん、HINATAさん、颯希さんには、小説の監修にもご協力いただきましたが、まずは一紗さんから、あらためて小説の紹介をお願いします。

一紗さん:人見知りで引っ込み思案な女の子のヤコが主人公です。ヤコは、実はひとりでダンス動画を撮ってSNSに投稿するという秘密の趣味を持っていたのですが、ある日ストリートダンサーのリヒトという少年に出会い、ダンスコンテストの世界に誘われます。ひとりでダンスをしてきたヤコが、仲間と一緒にダンス作品をつくってみんなに見せていくことの楽しさを知っていく……、というお話です。


――KISAさん、HINATAさん、颯希さんから、ひと言ずつ感想をいただけますでしょうか。

KISAさん:登場人物のヒオちゃんが小柄な自分の体に悩みを持っているのですが、同じ悩みを私も持っていました。私は小柄であることをむしろ武器にして伸ばしていきたいと思っているので、ヒオを自分に照らし合わせながら読んでいました。
あと、自分はヤコと一緒で、もともとソロで踊っていて、KDというチームに加入したので、「ヨルマチ」のみんなが3人で優勝を目指して一致団結してがんばっていく姿が、自分たちと一緒だなと感じました。信頼感とリスペクトがヨルマチからも感じられました。
コンテストの準決勝で、ひとりひとりが壁を乗り越えているシーンに感動しました。私、読みながら涙出たんですよ、嘘なしで! 自分と照らし合わせて共感した部分が多かったのかなって。
あと、個人的にライバルのライジくんはツンデレだなと思ったんですけど、試合後にグーのこぶしをぶつけ合うシーンですこしキュンってしました(笑)

一紗さん:Dリーグを見ていても、対戦後にハグをしてお互いにリスペクトを伝えあいますよね。対戦後のノーサイドというか、勝ち負け関係なく楽しかったと伝えあっている雰囲気がすごい好きで、それを書いてみたかったというのがあります。

HINATAさん:ダンスって言葉で表すのが難しいなと自分は思っていたのですが、読んでいる内に情景が思い浮かぶような表現ですごいなと思いました。読んでいて楽しかったです。作品に没頭していると、ヨルマチのみんなが自分たちのようでした。言葉にするのが難しいんですけど、自分を外から見ているというか、自分が今までやってきたことを、本で振り返っているみたいな、そういう感覚になりました。この本を読んで、人間いろいろ性格が違ったり言葉の壁があったりしますが、ダンスと音楽があれば、みんな一つになれるんだって、自分のダンスに対する思いを再確認できました。

一紗さん:言葉でダンスを伝えるのは本当に難しかったです。悩みながら手探りで書きました。情景が浮かぶと言っていただけて安心しました。児童書というジャンルでもありますし、読者がダンスに詳しいとは限らないし、逆にダンスが好きでも本をふだん読み慣れていない読者がいるかもしれない。そういうことを考えながら、言葉選びに気をつけて書きました。

颯希さん:HINATAの話の続きみたいになるんですが、舞台袖で自分の最大限を発揮しようとする本番直前の空気感って、映像では記録していても、なかなか言葉で言い表せなくて、みんなに発信することができないんですよ。でも、この本はそれをやってくれていて、ダンサーじゃない人でもダンサーの気持ちを味わわせてくれるんじゃないかなと思いました。
TikTokでみんなに楽しんでもらいたいというヤコの気持ちは、自分とそっくりでした。自分はロサンゼルスに留学している時にコロナが広まって、当時通っていた学校やダンススタジオ、モール、公園、ビーチなどが全部ロックダウンしちゃって。することがなくなって、TikTokでもやるかと始めました。当時は簡単な手振りの動画が流行っていて、僕たちみたいなダンスをやっている人がTikTokに出ていくことはなかったんです。そんななかでケータイひとつで撮影から投稿まで、シンプルにできるTikTokをはじめて、それからKDのチームに入って人と踊っていく楽しさを知っていったので、本当に自分とヤコを重ね合わせるように読みました。
「くるみ割り人形」を踊るヤコのシーンは実際に曲を流しながら、どんなダンスをしていたんだろうなあと想像しながら読んでいました。

一紗さん:KDの作品にも、ピアノ曲だったり、しっとりした曲調だったりのダンスがあると思うのですが、「くるみ割り人形」のシーンはああいうHIP HOPとはすこし違った雰囲気のダンスをイメージしていました。私自身がダンスの振りを通しで作ることはできないので、読者の想像にお任せする部分もありますね。
いろんな読者が想定されるなかで、ヤコたちの気持ちがちゃんと伝わればと思って書きました。お三方とも、自分を重ねながら読んでいただいたとのことで、すごくすごくうれしいです。推薦文をいただいた時も、とてもうれしい気持ちになりました。


――小説への熱い感想をありがとうございました。

(続く)

対談はまだまだ続きますが、今回はここまで。
ここでKISAさん、HINATAさん、颯希さんの推薦文全文を公開します。

・KISAさん

 とってもリアルな感情の連発で面白かったです!

 登場人物のダンスに対する想いやストイックさがとても深かったです。その中で葛藤や、嫉妬心、ライバル心、悔しさ、などは抱えるけど最終的には全員〝ダンス愛〟で物事が進んでいる感じが、共感と感動で涙が出ました。

 また、チームとして活動している私も背中をグイッと押してもらえるような素敵な物語でした。

 ありがとうございました!

 

・HINATAさん

 こんなにもダンスの面白さ、楽しさを文章だけで表現されているのが本当に凄いなと思いました。

 自分の苦労した部分と似ている場面や、感情が共感できる場面が多くて色々と考えさせられる部分がたくさんありました。

 この本を機に、ダンスは誰にでもできて人々を一つにしてくれるということを知ってもらい、日本のダンスシーンがもっと明るくなったらいいなと思いました!

 

・颯希さん

 この本を読んで……

 自分自身がTiktokで毎日投稿をしているというのもあって、その初心に改めて触れられました。

 僕がTikTokを初めた当初の踊っている方々は、誰でもできる簡単な振り付けがメインで特に上半身だけで踊れるものが当たり前でありましたが、僕自身は体全身が映るようにただ楽しんでいる姿を投稿するようになったこともあって、世間に求められる姿と自分の本心のギャップがあるヤコと自分を重ね合わせるようにこの本を読みました。

 型にハマったダンスはもちろん人々に受け入れられるけども、それ以外のフリースタイルの踊りも楽しいんだよと根本的なところも気付かされ何度か心がざわつきました。

 この本を通して、踊りを踊っている時は、音と自分、そして一緒に踊る人たちやその場に居合わせる人たちの時間になるという事を、この本を読むだけで体感できた。ある意味ダンスをしたことがない人、舞台に立ったことがない人でもその繊細で大切な時間を一緒に共有できるんだと僕は感じました。

 そしてKDとして生活する今はチームとして存在する自分が普通だけども、昔は1人でずっと踊るのが当たり前であったなと……

 初めてチームメイトができた時の、あの練習後の夜風に吹かれながらアイスを食べてから帰宅するあの青春、皆で何かに真っ直ぐ打ち込んだからこそ生まれる、あの大切でかけがえのない時間も、瞼の裏で蘇りました。

「心の中で何十回も再生される作品作りという事」 自分たちKDも意識して作品を作りますが、自身ではうまく言葉にできない、リハーサルやマインドコントロールや経験の積み重ね、本番で発揮するために演者が舞台裏で思い巡らす事や、踊っている最中に思う一瞬の感情をも作中に表現されており読んでいて自分も手に汗握りました。

 激戦の果て、優勝をしても次の日にはそれらが夢の時間のように感じるぐらいダンスって楽しいんだよね。と同時に世間はあまりダンスに対して強い関心がない……。

 だからこそ結果はどうであれ、戦いあった人たちとも試合が終われば皆リスペクトしあっている。ノーサイド。力を合わせてダンス界を皆で紡いでゆく。そんな人々にスポットが当たるこの本はいろんな方に手をとって読んでいただけたらなと感じます。



KADOKAWA DREAMS推薦『ダンサー!!! キセキのダンスチーム【ヨルマチ】始動!』は2025年4月23日発売!


著者: さちはら 一紗 イラスト: tanakamtam

定価
1,375円(本体1,250円+税)
発売日
サイズ
B6判
ISBN
9784046844606

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プロフィール

さちはら一紗
関西出身。「5分で読書 昼休みの事件簿」(KADOKAWA)収録短編で児童書デビュー。ライトノベル作家・シナリオライターとしても活動中。

KISA
「KADOKAWA DREAMS」#2
23-24シーズンよりKADOKAWA DREAMS リーダーに就任。CHAMPION SHIP優勝に導いた。
4歳からダンスを始め、様々なジャンルを習得し小さな身長を武器にしながらGirls hiphopとpoppingを兼ね備え唯一無二の存在になる。
数々のソロコンテスト、ソロバトル、チームコンテストでの優勝、入賞。
他にもアーティストのバックダンサーや国内外問わず""KISAO""とゆうダンサー名でソロ活動で活躍。
世界大会でのソロバトルでも優勝を果たす。
今ではKADOKAWA DREAMSのメンバーKISAとして国内外にもチャレンジをし続け、より多くの人々に夢と希望を与え自分たちも更なる高みを目指す。
周りにリスペクトを持ちつつ、今年も3連覇に向かってチーム一丸となって再び頂点を目指す。

HINATA.M
「KADOKAWA DREAMS」#10
2002年生まれ兵庫県出身。
7歳の頃から映画『THIS IS IT』の影響でストリートダンスを本格的に始める。
小学生の頃は6歳から始めたドラムで舞台に立ったり、ダンサーとしてはコンテストで全国大会優勝や海外アーティストなどのダンサー、PV出演などを経験する。
中学生の頃はサッカー部の副キャプテンで、高校から上京、日本留学プロジェクトにて日本代表としてLAに二ヶ月弱留学。
そこで、自身のアパレルブランド『DAF』のオーナーになる。
現在はD.LEAGUE 22-23 23-24 SEASONのチャンピオンであり、ラッパー""FASM""としてアーティスト活動も行っている。

颯希(SATSUKI)
「KADOKAWA DREAMS」#4
2000年8月生まれ愛知県名古屋市出身。
スポークラブのサッカーのコーチにボールを蹴るリズムを指摘され、母の提案により6歳からダンスを始める。
13歳の時に当時組んでいたチームでオーストラリアでのジュニアクラスの世界大会で優勝、しかし世界中のダンサーを生で見て、改めて世界のダンスの広さを知ると同時に自分もその人たちみたいになりたいと憧れる。
その後、機々なオーディションを受けAIや湘南乃風、BTSなどの名だたるアーティストのバックダンサーを経験。
19歳の時、自分の夢に近づく為にLos Angesに一年以上単身でダンス留学。
本場の情熱やスキル、ダンスに対する愛を生で感じダンスだけではなく考え方などの心境の変化もあった。
留学中にはSteve AokiやLay(EXO)などの海外アーティストのMVに出演。
2020年4月に始めたTiktokは毎日投稿を今も尚続け、100万人ものフォロワーを獲得している。
21-22 SEASON ROUND.12, 22-23 SEASON CHAMPIONSHIP, 23-24 SEASON ROUND.2, 23-24 SEASON CHAMPIONSHIP にてMVDを獲得。
D.LEAGUEに参戦し5年目、 前人未到のD.LEAGUE 2連覇を超えたD.LEAGUE 24-25 SEASONも持ち前の創造力と遊び心、
そして圧倒的な世界観で世界中の皆さんを魅了し必ずKADOKAWA DREAMSを何としても総合優勝へと導きDリーグ3連覇を果す。

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