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NEW ものがたり

【期間限定】『呪ワレタ少年』1巻無料スペシャル連載 第4回

「も~、言っちゃだめなら書かないでよ」

 亜美花は戸惑うが、掲示板の下に、この噂を見た人たちのコメントが書かれていた。


 こんなの嘘に決まってるじゃん

 ちょっと怖かったけど、あるわけないよね

 ないない。こんな噂知らないし


「よかった~。そうだよね、こんなのあり得ないよね」

 誰かが、みんなを怖がらせようと思って嘘の噂を流したようだ。

「そんなことより、失恋する方法を探さないと」

 亜美花は少年の話を気にするのをやめ、再び画面をタップした。

 画面に、『失恋』という文字が見えた。

「これって」

 亜美花は凝視する。

 どうやら、必ず失恋させられるようだ。

 その感想が、先ほどと同じようにコメントで書かれている。


 すごく効果あったよ!

 好きだった人が、彼女と別れて、私と付き合うようになりました!

 これ以上の失恋系の方法ってないかも!


 みな、高い評価を書いている。

「これだ!」

 亜美花は、改めておまじないの内容を確認する。

「……金曜日にやればいいんだね」

 亜美花は、ニヤリと笑うと大きく頷いた。



   ●


「わあ、亜美花ちゃんの家で遊ぶの久しぶりだねえ」

 金曜日の放課後。

 亜美花は、利佳を家に誘った。

「それで、お部屋でやりたいことって何なの?」

「うん、利佳ちゃんもきっと喜ぶと思うよ」

 亜美花は、机の上を見る。

 そこには、爪切りが置かれていた。


「これを使って、今からおまじないをしようよ」


 亜美花は爪切りを手に取ると、利佳に見せた。

「利佳ちゃんが、おまじないあんまり信じないのは知ってるよ。だけど、これはほんとにすごいんだ。何でも夢が叶うんだ」

 もちろん、嘘だ。

 金曜日に、爪切りで爪を切ると、失恋をする。

 それが、亜美花が見つけた『失恋する方法』だった。

「へえ、なんか面白いかも。やってみよっか」

 利佳は信じていないようだが、こういうのをやって盛り上がるのは好きなようだ。

「うんうん、やってみて!」

「分かった。何でも夢が叶うかあ。あ、じゃああれにしよ」

「何にするの?」


「私の願いはね、亜美花ちゃんと、『これからもずっと一緒にいられますように』だよ」


「えっ」

「なんか、言うの恥ずかしいけどね」

「利佳ちゃん……」

 悟志の片想いの相手が利佳だと分かり、ずっと苛立っていた。

 騙して、恋が上手くいかないようにした。

 だが、利佳は何も悪くない。

 片想いをしてるのは、悟志で、利佳はそのことすら知らないのだ。

(それなのに、私)

 亜美花は、笑顔を浮かべる利佳をじっと見つめた。


「ごめん、利佳ちゃん、私ひどいことしちゃった」


 亜美花は、わざと恋が上手くいかないようにしていたことを話した。

「悟志くんが、利佳ちゃんのことを好きみたいなの。それで私……」

 悟志のことを聞き、利佳は驚く。

 しかし、すぐに笑顔になった。

「私は悟志くんのこと、ただのクラスメイトとしか思ってないよ」

「えっ、そうなの?」

「うん、だって私、となりのクラスの本郷くんが好きだもん」

「そうだったんだ」

 本郷は、悟志とはまるで違う、真面目で物静かな男の子だ。

「利佳ちゃん、ああいう感じがタイプだったんだね」

「言わないでよ。今まで誰にも言ってなかったんだから」

 亜美花と利佳は、同時に笑った。

「そうだ、せっかくだから、今まで以上に仲良くなれる方法とか探して一緒にやってみようよ」

 利佳がほほ笑みながら提案する。

「利佳ちゃん、そういうの信じてないんでしょ?」

「信じてはないけど、亜美花ちゃんと一緒にやってみたいよ」

「利佳ちゃん……」

 利佳が親友でよかった。

「うん、やってみよう!」

 亜美花は満面の笑みを浮かべて、利佳と検索し始めるのだった。


(はあ~、私、とんでもないことをするところだったよ)

 夕方。

 利佳は家へと帰り、亜美花はひとりリビングにいた。

 危うく親友を失うところだった。

(おまじないとか、もうあんまりしないほうがいいよね)

 もしやるとしても、いい効果のあるものだけにしたほうがいいだろう。

 亜美花はそう反省しながら、ジュースでも飲もうと、冷蔵庫に向かった。


 ガタ ガタ


 突然、廊下のほうから音がした。

「えっ?」

 何かが動く音だ。

 亜美花は、廊下に出た。

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