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楽しみ方がわかる! はじめての、親子えほん 第3回<とにかく「3」がちょうどいい!>


こんにちは!《聞かせ屋。けいたろう》です。
今回のテーマは“「3」の絵本”です。
タイトルに「3」のつく絵本、多いと思いませんか?「3匹の……」と言ったら、あなたは何と続けますか? 「3匹のこぶた」でしょうか? なんで4匹じゃないのでしょう? 今回は一緒に考えてみましょう!


まず紹介するのは……。


『さんまいのおふだ』(小学館)


このお話は様々な地域で伝承されてきた昔話なので、違いはありますが、大きな流れはこんな具合です。
小僧が何らかの理由で山に入って老婆に遭遇。夜ふけになって、老婆がやまんばだった事に気付き、逃げ出します。ところが、やまんばが追いかけてきます! 小僧は、3枚のお札の力を使って逃げるのですが……。
お札は、物語の最初に和尚さんに渡される話がほとんどですが、なぜ3枚なのでしょう? 小僧の身を心配するなら、5枚くらいあげても良いのに(笑)。
お札の使われ方は、絵本によって様々なのですが、小学館版のお話を見てみます。
やまんばに捕まった小僧は、逃げられないように縄で縛られてしまいます。しかし、小僧はなんとか縄を抜け出し、自分の身代わりとして柱に縄を結び、やまんばに返事をするように1枚目のお札の力を使います。小僧はそのすきに逃げるのですが、それがやまんばにバレてしまうのです。2枚目のお札の力では、小僧が走りながらお札の力で大きな砂山を出し、やまんばの足を止めているすきに逃げる! もし、これだけで逃げ切れたらなんだか物足りないですよね(笑)。そこで、すかさず3枚目! 今度はお札の力で大きな川を出し、逃げます。「あぁ、もうお札が無い。次に追い付かれたらもう終わりだ!」というところで、ようやく和尚さんの元にたどり着くわけです。
これ……4枚目があったらどうでしょう? 余裕で逃げ切れる感じがしませんか? ギリギリ感が足りない(笑)。緊迫感が薄れますよね。
『さんまいのおふだ』というタイトルからしても良いなぁと思います。
これが『4まいのおふだ』だと、なんだか緊張感が足りないし、『5まいのお札』だったら工夫次第で退治出来そうな気がします(笑)。

「3」は多くも少なくもなく、必要最低限な感じがおもしろい。
子どもたちに読み終えた時のひと言はというと……。
「こわかったけど、おもしろかった!」(5歳児)
このひと言に尽きます。


次に紹介するのは。


『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)


小さいヤギ、中くらいのヤギ、大きいヤギが、山へいくために谷川にかかる橋を渡ろうとします。しかし、橋の下にはおそろしいトロルが住んでいて、橋を渡るヤギをおそおうとするのです。しかし、小さいヤギは「中くらいのヤギがもうすぐ来る」と言ってトロルの前を通り過ぎました。中くらいのヤギは、「大きいヤギがもうすぐ来る」と言ってトロルの前を通り過ぎます。そして大きなヤギがやって来るのですが……。

では早速、想像してみましょう! もし、タイトルが『4匹のやぎのがらがらどん』だったらどうでしょうか? 小、中、大で「3」。仮に「4」だったときには、そのやぎはどんな大きさなのでしょう?
「大」にも増して「特大」だったら、現実的ではないですね。絵本とはいえ現実感も欲しいと思っている僕は、現実離れしたヤギに、興ざめしてしまいます。
逆に「小」より小さかったら、幼な過ぎて親同伴になってしまうかもしれない。それはそれで話が変わってきます(笑)。「中」と「大」の間に4匹目を入れても……微妙です! 「大きいヤギ」とか、「中くらいのヤギ」とか呼ぶ際に、何と呼べば良いのか(笑)。
やっぱり、「小」「中」「大」3匹なのです。「S」「M」「L」。でも、大きさだけの単純な話でもないと思います。一匹目が二匹目の登場を予告して、二匹目は三匹目の登場を予告します。体の大きさと共に、子どもの期待感も膨らんでいくのがその魅力です。そして期待に応えて登場した3匹目のヤギの強いこと!
「1、2の、3!」というタイミングで力を合わせるように、「1、2の、3!」でやっつける。
期待通りの爽快な展開なのかもしれませんね。
子どもに読み聞かせをすると、トロルの不気味な姿に「こわ〜い」と声があがることもあります。でも、3匹目の登場で目が輝きます。子どもにとって大きいヤギは「ヒーロー登場」といった所でしょうか。そして、「もういっかいよんで!」と言われて読む時は、もう「こわい」という声はあがらずに、「小」「中」「大」の展開を余裕で楽しんでくれることが多いです。こうなると、トロルはもはや引き立て役ですよね(笑)。

緊迫感の「3」期待の「3」、多くも少なくもない「3」の魅力。
親子で「3」の絵本を楽しんでみませんか?


『さんまいのおふだ』(小学館)

  • 文/千葉幹夫 絵/早川純子
  • 【定価】1,100円(本体1,000円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】AB判
  • 【ISBN】9784097268895

『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)

  • 絵/マーシャ・ブラウン 訳/せた ていじ
  • 【定価】1,320円(本体1,200円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】26cm×21cm
  • 【ISBN】978-4-8340-0043-6

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