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「2歳イヤイヤ期の長男が、リトミック教室でみんなと同じようにやってくれず憂鬱です。野菜嫌いなせい?」子どもの発達お悩み相談室 第23回 


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

 

Q23:2歳イヤイヤ期の長男が、リトミック教室でみんなと同じようにやってくれず憂鬱です。野菜嫌いなせい?

■家族構成
まー(相談したい子の母、20代後半)、夫(30代前半)、長男(相談したい子、2歳)

■ご相談
 
今年の1月から月2回、リトミック教室に通っています。しかし、息子はみんなと同じようにやってくれません。本人は行くことに対して、嫌がってなく、むしろ楽しみにしてます。
 始まって早々、教室の周りを走り回り、倉庫の中に入ったり、廊下に出ようとしたりと落ち着きがありません。自分が好きなこと、得意なことはやってくれるのですが、特に座って動いたりするのはほとんどやってくれません。捕まえに行くとわざと逃げ、抱っこして捕まえると大泣きします。先生も捕まえて一緒にやろうとしてくれるのですが、嫌だと泣きます。
 自分の好きなようにさせてあげたり、みんなより大袈裟にやってあげたり、家でも教室でやってることを一緒にやったりと色々試しもしましたが、やはりやってくれません。本人も楽しそうだし、続けたい気持ちもあるのですが、毎回こんな感じだと憂鬱です。
 リトミックの先生から「息子くん、野菜食べないでしょ? 野菜嫌いな子は結構こういう子多いよー。野菜食べないと脳の発達に影響するよー」なことも言われました。もちろん野菜は全然食べないです。やはり影響するのでしょうか??

A. 専門家の回答

一緒にできなくても、楽しんでいるならよしとしましょう。

「食べることって楽しい!」が大事
 もちろんバランスよく食べたほうが体には良いですし、幼児期から野菜を含めていろんな種類のものを食べることが望ましいことは言うまでもありません。でも、喜んで野菜をたくさん食べる子ども、というのは少ないのもまた事実でしょう。
 
食べられる野菜を組み合わせて工夫したり、野菜ジュースを飲ませるなど、できる範囲でバランスを意識していればいいと思います。
何より、「これも食べなさい」「あれも食べなさい」と嫌がる野菜を無理に食べさせようとして、食べること自体が嫌いになってしまわないようにしましょう。「食べることって楽しい!」と幼児期に思わせることが大切です。
 
リトミックの先生に言われても「そうなんですー、野菜食べないんですー」と涼しげに笑っていればいいでしょう。

イヤイヤが始まる2歳。社会性はこれから
 
2歳というのは、言葉が話せるようになり自己主張が出始め、イヤイヤ期と呼ばれて親を手こずらせる時期でもあります。社会性が育ってくるのは4歳くらいなので、「みんなと一緒に」やることができないお子さんもいます。
 
 もちろん、2歳児といってもいろんなお子さんがいるので、先生のマネをしてみんなと同じようにできるお子さんもいます。リトミック教室でそんなお子さんたちと比べて、逃げ出したり落ち着きのないわが子に「なんでうちの息子だけこんなに手がかかるの?」とまーさんが憂鬱になる気持ちもよくわかります。でも、まだ2歳です。

無理に一緒にやらせなくていい
 「まだみんなとやるのは無理なんだな。ちょっとそういうのは苦手なタイプなのかも。でも一緒にやってるのもあるし、いっか」とおおらかに見てあげましょう。
走り回る息子さんを連れ戻して無理にやらせようとしても、反発するか、怯えてビクビクしてしまうかのどちらかです。この時期に、ぎゅうぎゅうとお子さんを締めつけてしまうのはよくありません。

 そもそも息子さんはなぜ一緒にやるのかわかってないでしょうし、その理由をわからせるのも年齢的に厳しいものがあります。理解できていないことを無理強いすると、大人への不信感が芽生え、みんなと体を動かすことは苦しい、という誤学習にもつながりかねません。なるべく同調圧力をかけないように。

 もちろん、リトミック教室の先生の理解も必要です。教室を飛び出したり、他の子に危ないようなことをしそうになったら止めますので、とお願いしておくのも大事です。

「楽しんでいる」のが一番
 
何より息子さん自身が嫌がらずに、楽しみにしているというのが素晴らしいと思います。今は、他のお子さんと同じことを一緒にやるということに、あまり意識は向いてないのかもしれませんが、人といることが苦ではなく、楽しいと感じているというのは、自分なりに楽しむ方法を知っているということです。
楽しいと感じている時、子どもの脳は刺激を受けて成長しています。どうかまーさんも「他の子と同じにできない」ことを悲観せず、息子さんなりに楽しんでいる様子を微笑ましく見守ってあげてください。

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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