夏の青空の下、子どもたちと一緒に綺麗なお花を見に行きたい! でも、どこに行ったらよいかわからない……という親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本の美しい花風景を紹介するサイト「はなまっぷ」の後藤有紀さんに、関東近郊にあるおすすめの夏の花スポットをピックアップしてもらいました!
間近でスズランが見られる珍しい場所
八王子から約90分で行ける、入笠山の上のお花畑。ゴンドラに10~15分乗って、標高1780mまで景色を楽しみながら上がれます。大自然の中で自然観察をしながら、他ではなかなか見ることができないスズランが群生するお花畑に出合えます。
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後藤有紀さん:ゴンドラを降りると、入笠すずらん山野草公園に到着。まず目の前に現れるのは壮大な八ヶ岳を背景に一面に咲き誇る20万本のドイツスズランです! 周囲はスズランの甘い香りに包まれ心が癒されます。10分ほど歩くと湿原があり、そこにはドイツスズランより小ぶりで控えめですが、自然の中で咲く100万本の日本スズランを見ることができるので、ぜひチェックしてみましょう。入笠山は日本有数のスズランの群生地として有名です。ドイツスズランは5月下旬から6月上旬、日本スズランは6月上旬から下旬までが見頃です。スズランの季節が終わっても、山野草公園や湿原では8月末ころまで、標高の高いところにしか咲かない高山植物など、身近では見られないさまざまな山野草に触れることができるのも魅力的。花の種類が多いので宝探しをしているように楽しめますよ。
施設情報
住所:長野県諏訪郡富士見町富士見6666-703
公式サイト:https://www.fujimipanorama.com/summer/
山の中を埋め尽くす一面のアジサイ
地元では「花咲かじいさんのちゅういっちゃん」として親しまれている(故)南澤忠一さんが、半世紀の時をかけて自分一人で造ったアジサイの名所で、花咲かじいさんが造ったあじさい山と呼ばれています。清流が流れる秋川渓谷にあるので、ハイキングや川遊びなど自然のアクティビティを楽しむことができます。
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後藤有紀さん:約1万株ものアジサイが山間を埋め尽くすように、咲き乱れています。木立の中をしっとりとアジサイに染まる幻想的な風景、これを一人で造られたとは感動ものです! 整備された山道を歩きながら観賞するので、ちょっとした山登りの雰囲気も味わえますよ。歩きやすいスニーカーでお出かけくださいね! 山間部にあるため、アジサイの見頃時期が6月下旬から7月上旬までと、平地に比べて少し遅くまで見られるので、見頃時期を逃した方や、まだまだアジサイを楽しみたい方も、ゆっくりと計画を立てられます。
施設情報
住所:東京都あきる野市深沢368
公式サイト:https://ajisai-yama.com/
花を愛でるだけでなく展示も見られる
白やピンク、一重咲きや八重咲きなど、約42種類のさまざまな花蓮(ハス)が一面に咲く公園。園内にある古代蓮会館ではハスにまつわる展示もあり、花を愛でるだけでなく、ハスについてもじっくりと学べる場所です。古代蓮会館では、展示を鑑賞しながらハスの種類や特徴について学べます。公園のシンボルであるタワーに上がると、高さ50mの展望室から関東平野を一望できます。
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後藤有紀さん:ここで見られるハスの中でも特に見てほしいのが、「行田蓮(ぎょうだはす)」です。行田市の天然記念物にも指定されている品種です。見た目は普通のハスように見えますが、なんとこのハスは、1400年~3000年前のものだといわれています! 公園の近くにある公共施設の建設工事の際に、土の中から出てきた種子が自然に発芽して、再び咲いたそうです。土の中でずっと眠っていたハスが、数千年の時を越えて花を咲かせるなんて、ロマンがありますよね。そんな古代蓮に思いを馳せながら、早朝のお花散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか? 見頃は6月下旬から8月上旬、夏休みの自由研究の課題として、ハスについて学ぶのもよいですね!
施設情報
住所:埼玉県行田市大字小針2375-1
公式サイト:https://www.ikiiki-zaidan.or.jp/kodaihasu/
二度楽しめる真っ赤なお花畑
緑のある環境づくりのために整備されたお花畑。約11haの苑内にはビオトープが設けられ、水面を泳ぐカルガモたちの姿が。親水広場もあるので、お子さんたちは水遊びを楽しめます。
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後藤有紀さん:ここでおすすめなのは、サルビアのお花畑。夏から秋の季節には、身近な公園の花壇などでよく見かけるお花ですが、一面のお花畑として植えられているのは珍しく、目が覚めるような鮮やかな赤が苑内に広がる光景は、印象に残ります。見頃は年に2回、7月中旬から8月上旬と9月中旬から10月上旬です。8月の中ごろに一度剪定されるので、サルビアを見にお出かけの際は公式HP等で開花状況を確認してから行かれることをおすすめします。サルビアが見られない時期でも、ヒマワリやアメリカフヨウ、マリーゴールドなど、夏の花々はいろいろと咲いていますよ! 秋には、サルビアとコスモスとの競演も見られるので、お好きな時期に訪れてみてくださいね。
施設情報
住所:埼玉県さいたま市西区大字西新井124
公式サイト:https://www.city.saitama.lg.jp/004/001/003/001/p005662.html
高原で北海道のような景色が見られる
たんばらスキーパークとして、冬はスキーやスノーボードが楽しめる標高1300mの高原が、夏のグリーンシーズンには関東最大級のラベンダー畑に。早咲き、中咲き、遅咲きなど、品種により咲く時期も異なるため、長い期間、深い紫色に染まるラベンダーの花を楽しむことができます。周辺には宿泊施設もあるので、夏休みの旅行先としてもおすすめです。
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後藤有紀さん:ラベンダー畑といえば、北海道の富良野の景色を思い浮かべる方が多いですよね。なんと、東京から約2時間ほどの日帰り圏内でも、7月上旬から8月下旬までの夏休みの間、一面のラベンダー畑が見られるんです! 高原にあるラベンダー畑なので、気温も東京と比べて10度ほど低く快適に過ごせます。自然豊かな緑に囲まれた中で、高原の真っ青な空と、ラベンダーの深い紫色のコントラストは、まさに絶景! 歩くのが苦手な方は、リフトに乗って花畑を見下ろしてみてもよいですね。自分の足で移動しながら見るより、乗り物に揺られながら眺める花畑の方がより素敵に見えたりもします(笑)。新鮮な空気の中で漂うラベンダーの爽やかな香りは格別ですよ。
施設情報
住所:群馬県沼田市玉原高原
公式サイト:https://www.tambara.co.jp/lavenderpark/
ピンク色のメルヘンなお花畑
味覚狩りや乗馬体験、羊やウサギ、ヤギなど動物との触れ合いが楽しめる牧場。トラクタートレインに乗って専用エリアをガイドと一緒に1時間かけて巡るツアーや、巨大迷路やメリーゴーランド、観覧車などがそろう遊園地などアトラクションも充実しているので、小さなお子さんがいるファミリーも楽しめます。グランピングやオートキャンプ(7・8月限定)など、泊りがけでも過ごせるので、家族での夏の思い出づくりにもぴったりです。
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後藤有紀さん:牧場内には「あじさい園」もあり、6月中旬になると約2000株のアジサイが見られます。アジサイが終わる7月上旬ころからは、「花の谷」には真夏とは思えないピンクの色の花畑が広がります! 咲き誇るのは総数2万株のペチュニアの一種、「桃色吐息(ももいろといき)」の花です。鮮やかで美しい桃色が魅力の品種で、千葉県で品種改良されて生まれたそうです。地域で生まれた花が一面に咲き乱れているなんて、素敵ですよね。花期も長く7月上旬から9月下旬まで楽しめます。高台からは房総半島の山並みも眺められます。動物の鳴き声が聞こえるのどかな牧場で、花畑や壮大な景色を眺めながら、ロマンチックなひと時を過ごしてくださいね!
施設情報
住所:千葉県富津市田倉940-3
公式サイト:https://www.motherfarm.co.jp/
無料でユリを楽しめる数少ない場所
約1150㎡の大花壇に、チューリップ、ユリ、コスモスなど季節ごとの花が植えられています。また、流れるプールやウォータースライダーなどが楽しめる北関東最大級の屋内プールであるアクアパラダイスパティオが併設されているので、家族でのレジャーにもぴったり。
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後藤有紀さん:深谷市は花や野菜の生産が盛んで「農業王国」とも呼ばれる地域で、ユリをはじめとする花の出荷量は全国トップクラスなんだそうです! 2万本ものたっぷりのユリの花が楽しめるのは、ユリの生産地ならでは。7月中旬から下旬にかけて、ピンクや白や赤や黄色など、カラフルなユリが所狭しと咲き並ぶ贅沢な景色を楽しめます。近年、ユリ園は全国的に数が少なくなりつつあるなかで、これだけの規模のユリが無料で楽しめる場所はとても貴重です。南欧風のオレンジ色の屋根の建物も絵になるので、ユリと一緒に撮影してみましょう。大輪の花と優雅な香りを思う存分楽しんでくださいね。
施設情報
住所:埼玉県深谷市樫合763
公式サイト:https://patio.or.jp/
広大なヒマワリ畑が都心の近くで楽しめる人気スポット
都心からほど近く気軽に立ち寄れるヒマワリ畑。ヒマワリは座間市の市の花に制定されています。遊休農地を有効利用するために、地域の方々の活動によって毎年「ひまわりまつり」が開催されています。「ひまわりまつり」の期間中、会場では屋台等の出店もあるので、ゆっくりと楽しむことができます。
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後藤有紀さん:関東を代表する夏の風物詩といえばここ! 約55万本ものヒマワリが咲き誇り、多くの人が訪れる大人気のヒマワリ畑です。可愛いベンチやSNS映えするように工夫された写真スポットも用意されているので、お子様やペットとの思い出の写真も素敵に残すことができますよ。会場に用意されている展望台に上がると、まるで黄色の海が広がるのような光景が。一面に咲くヒマワリに心が奪われます。ヒマワリを少し見下ろした視点でスケール感のある一枚を撮影してみましょう!
施設情報
住所:神奈川県座間市座間、新田宿、四ツ谷
公式サイト:https://www.zama-kankou.jp/
夏の緑色のコキアも見てほしい
太平洋を間近に望む、見晴らし抜群の国営公園。アスレチックを体験したり、全長約11kmもあるサイクリングコースをレンタサイクルで走ったり、松林に囲まれた場所でバーベキューも楽しんだりと、広大な園内の自然に触れながらさまざまな体験ができます。園内のプレジャーガーデンには、大観覧車や林間ジェットコースターもあり、家族で一日中過ごせます。
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後藤有紀さん:「みはらしの丘」一面が爽やかなネモフィラブルーに染まる春の景色は、世界的にも有名になりましたが、真夏の景色もおすすめです。緑が広がる丘を背景に、ジニアやヒマワリが鮮やかな夏色を添えます。また、8月中旬ころになると、まだ育ち始めのコキアの姿が丘一面で見られます。コキアといえば、真っ赤に染まる秋の時期が一番の見頃ですが、小さく青々としている夏のコキアも、マリモのように可愛らしくて癒やされます。隠れた夏の人気者のコキア、ぜひ一度会いに行ってみてくださいね!
施設情報
住所:茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4
公式サイト:https://hitachikaihin.jp/
都会のビル群を背景に楽しめる花畑
国の特別名勝及び特別史跡にも指定されている庭園です。立派な門構えの入口や、復元された当時の茶屋などの建物、「三百年の松」と呼ばれる黒松などが見られ、格式高いお庭の景色が広がります。
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後藤有紀さん:コスモスといえば秋ですが、ここではひと足先に7月下旬から9月上旬ころまでキバナコスモスが楽しめます。お花の少ない季節にありがたいスポット。アクセスの良さから、夏に東京に訪れる方には必ずおすすめする場所です。元気に咲き誇るビタミンカラーの花々は、真夏の暑さも吹き飛ばしてくれるほどの可愛らしさがあります! 立ち並ぶビル群を背景に、無機質な都会とメルヘンなお花畑という対象的な一枚を、ぜひ写真に収めてみてくださいね。園内には「潮入の池」という東京湾から海水を引き込んでいる池もあり、海水魚も棲んでいるそう。花畑と水辺を楽しめるまさに都会の中のオアシスです。江戸時代の大名庭園の趣を感じながらのんびりとした時間を過ごせます。
施設情報
住所:東京都中央区浜離宮庭園1-1
公式サイト:https://www.tokyo-park.or.jp/park/hama-rikyu/index.html
「はなまっぷ」後藤さんおすすめの夏の花スポットを紹介してきました。次のお休みは子どもと一緒に夏のお花スポットに足を運んでみてはいかがでしょうか!
【プロフィール】
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後藤有紀
1980年三重県生まれ。日本の美しい花風景と、花の写真を撮ることの楽しさを広めたいという想いから、2015年に「はなまっぷ」を創設。新刊「にっぽんの花地図 神社・お寺の花と桜の絶景」をはじめ、「四季の花々を訪ねていきたい にっぽんの花地図」、「100年後まで残したい!日本の美しい花風景」など日本の花風景に関する書籍や、著書「もっと自分を好きになる 花まるインスタライフ」など、これまでに6冊の出版に携わる。
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