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毎年楽しみにされている方も多い、大昆虫展in東京スカイツリータウン(R)が今年も大好評開催中! 開催初日には、『角川の集める図鑑GET!昆虫』を監修した、昆虫学者の丸山宗利先生が特別講演が行われました。普段は聞くことができない海外調査のお話やどうして昆虫学者になったのかなど、その一部をこちらでご紹介していきます!
第一部はグアテマラでの最新調査のお話!
これまで約30か国の外国に調査に行かれているという丸山先生。コロナの影響で出かけられない日々も続いていましたが、徐々に再開されて最近だと5月に、中央アメリカに位置するグアテマラへ行ってきたそうです。『角川の集める図鑑GET!』シリーズ編集長の小荒井が司会進行役を務め、お話を伺って行きます。
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丸山先生(以下、丸):「グアテマラはとてもおもしろい国で、標高の低い場所は熱帯のジャングルが広がり、高い場所にはとても寒い森があります。その環境ごとに違う虫がいます」
小荒井(以下、小):「GET!の182ページからが中央・南アメリカの昆虫を紹介しているので、よかったら見てみてくださいね」
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丸:「GET!にも載っていますが、エメラルドグリーンの羽をもつセミやちょっと小さなヘラクレスオオカブトのようなカブトムシ、目玉模様のあるメダマヤママユなどを見てきました。あとは、巨大なゴキブリ。7~8cmほどあります」
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小:「大きい!大昆虫展でもいろいろなゴキブリが展示されていますが、世界中にいるんですね。いろいろな虫たちに出会われたようですが、どうやって見つけるんですか?」
丸:「ライトトラップという装置を使います。虫が光に集まることはみなさんご存知ですよね?その虫の習性を利用して、大きな布をはって光をつけるといっぱい虫が採れます」
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小:「日本でも、ふつうの人でも、できますか?」
丸:「できますよ、ただ光をつけるのは水銀灯でなければいけません。LEDの光だと虫が集まらないんですよ」
ほかにもツノゼミの新種を見つけたお話やグアテマラの食事についてなど、貴重なお話をたっぷりと伺ったところで、参加者の方からの質問タイムへ!
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Q:「虫って、いつどこで生まれたんですか?」
丸:「昆虫は、4億年前くらい前の恐竜もいなかった時代に、昆虫の祖先が生まれたと言われていて、いろんな環境でたくさんの虫が進化してきました。進化って分かるかな? 今は知られているだけで100万種、実際には500万種、2000万種いるだろうと言われています」
Q:「グアテマラでとった虫は、生きたまま持って帰っちゃダメなんですか?」
丸:「そう、生きたままはダメなんです。日本の法律で決まっています。その虫が日本に来て、間違って逃げてしまった場合、害虫になる可能性などがあるからです。ただ、一部持って帰ってもいいという虫もいて、ヘラクレスオオカブトもそうなんですよ」
Q:「初めて行く外国で、ここに昆虫がいるというポイントはどうやって知るんですか?」
丸:「それは、事前に行ったことがある人、その地域に詳しい人に聞いて情報を仕入れるんです。世界中に昆虫採集をする仲間たちのネットワークがあります」
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Q:「丸山先生は今まで新種を見つけたことがありますか?」
丸:「あるよ!これまで、200くらいの新種を見つけました」
Q:「カマキリは何を食べるんですか?」
丸:「カマキリは卵を産んで、ちっちゃい赤ちゃんが出てくるでしょう?その時に一番いいのはアブラムシ。だんだんカマキリが大きくなってきたらバッタの子どもとか、カマキリの成長に合わせてえさになる虫をあげるのがいいです。カマキリは共食いをするので、一匹ずつ飼うといいですよ」
Q:「カブトムシはどうやって捕まえるんですか?」
丸:「カブトムシが好むのはクヌギの木。一番いい方法は、樹液が出ている木を探すことなんだけど、これがけっこう難しい。昼間に樹液の出ているクヌギを見つけておいて、夜に行くと見つけられるかもしれません。あとは、バナナトラップといって、バナナを腐らせてストッキングなどに入れてつるしておくと、集まることもあります。東京でも緑の多いところは、けっこういるのでやってみてね」
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Q:「どうやったら虫博士になれますか?」
丸:「どうやったらなれるというよりも、虫が好きだったら虫博士だよ。正式な虫博士になるには、大学や大学院に行かないとね」
Q:「虫博士をめざすのにおすすめの学校はありますか?」
丸:「日本で、昆虫の研究者がたくさんいるのは北海道大学と九州大学です。昔は各大学に昆虫学の研究室があったんですけど、だんだん少なくなってきました」
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Q:「宮古島にカブトムシはいますか?」
丸:「宮古島ってね、大きな昆虫が全然いないんだ。ほとんどが畑で、林がちょっとしかないから。夏休みに宮古島に行くの?小さくて珍しい虫はいるよ」
Q:「丸山先生は苦手な虫はいますか?」
丸:「毛虫が苦手! 子どものころから毛虫だけは触れなくて、今でも苦手です。毒がないってことが分かっててもダメだったんけど、最近はちょっとずつ好きになってきたかな」
さまざまな質問にも即座に回答していく丸山先生。虫に関して知らないことはない…?さすが、日本を代表する昆虫学者! 最後は『角川の集める図鑑GET!昆虫』『驚異の標本箱-昆虫-』のサイン会を行い、みなさん満足した表情で会場を後にしました。
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大昆虫展では、大人気のカブトムシやクワガタムシと直接触れ合えるコーナーのほか、貴重な海外の種や標本も多数。9月3日まで開催されているので、足を運んでみてくださいね。
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大昆虫展in東京スカイツリータウン(R)
開催期間:~9月3日(日)
会場:東京スカイツリータウン・ソラマチ5階 「スペース634」
(東京都墨田区押上1-1-2)
開催時間:10:00〜18:00(毎週金・土曜は20:00まで)
※会期中無休、最終入場は閉館15分前まで
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