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【レビュー】絵本芸人の本領発揮! 親も子も夢中で指さす絵本『むれ』

吉本興業の絵本芸人・ひろたあきらさんのデビュー作として一躍有名になった絵本『むれ』。子どものツボをよくおさえたストーリーで、外で読み始めると子どもがわーっと集まってくる本です。子どもと会話しながら話が進むので、何人かの子どもを集めて読み聞かせをするときには最高ですね。きっと人気者になってしまうと思います。

まず表紙がすごく明るくて、まぶしいぐらいのイエローの中に、アリのむれが集まって「むれ」と文字が書いてあります。「この文字、アリでできてるよ!」と気づいた子どものテンションも上がります。その後ページをめくるたびに、いろんなむれが出てくるんですが、むれの中の一匹だけが他と違うんです。魚の群れの一匹だけが、骨の魚とか。飛んでいる鳥の群れの中で、一匹だけ走っているとか。そういう違いを見つけて、「ここにあったよ!」と探していくストーリーなので、ページを進めるたびに大盛り上がり。でもだんだん難しくなってきて、大人でも「どこ?どこ?」と言っている間に、先に子どもが見つけたりするのもおもしろい。ひろたさんが読み聞かせをするときは、どうしても自分で見つけたい子どもたちが、肩の上まで載ってきてしまって大変なことになると言っていました。



この本が「MOE絵本屋さん大賞2019」の新人賞第1位を獲ったときに、ひろたさんとお話する機会があって、この本ができたきっかけを伺ったことがあります。実は書店で読み聞かせをしていたのだけれど、ストーリーのある絵本を読んでもあまり反応がないことがあって、「ウケない」状況に不安を感じたそう。それならみんなが反応してくれる本を自分で作ろうと、スケッチブックに描いた『むれ』の自作絵本を読んだら、これが大人気になったと聞きました。子どもの反応ってすごく素直なので、実際にやり取りを感じながら作った本は、強いですね。本気で喜んでくれるし、絵のすみずみまで真剣に見つめてくれる。私にとっては、読み聞かせの定番のひとつにしたいぐらい、掘り出し物の本でした。

他にも、子どもと触れ合う時間がなかなかないお父さんとか、たまに孫と遊ぶおじいちゃん、おばあちゃんにも、ぜひおすすめしたいですね。知らないうちに子どものマイブームも変わっていって、前は喜んでくれたことに反応しなくなってしまい、子どもとどんな話をしていいのかわからない、なんていうときに、いいきっかけを与えてくれる本だと思います。まずまちがい探しで一緒に遊べるし、ときどき「なんだこれー!」と笑っちゃう部分もある。子どもが先に見つけたときに「すごいね!」と褒める部分まである。
そしてそれだけで終わらないところが、この絵本のもうひとつの楽しみ。

 



一匹だけ違うアリが、最後にとことこ歩いていきます。向かった先には……という最後の展開は、実際に絵本を見て確認してみてくださいね!

クサカジュンコ


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