『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』のけらいたちが大ピンチ! 親子で学んで親子で笑おう! 『おうさまのまえで みぎむけーみぎ!』 大好評発売中!
2022年12月に発売された『おうさまのまえで みぎむけーみぎ!』。本作は、2019年に発売された『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』(えほんの杜)の新作となります。“100秒をカウントする絵本”だった前作の楽しさを踏襲しつつ、ワクワク感はアップ。「みぎってどっち?」「スプーンをもつほうは みぎ? ひだり?」などと親子で考えながら、幼児の左右の学習にも役に立つ、読んで笑って、学べる絵本です。
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みぎむけーみぎ! ができなくて…
『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』で大慌てをしていたちょっとポンコツの家来たちが、今度はおうさまの前で集団行動を披露することになりました。
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けれども、何回練習してもそろいません。
「おれは スプーンを こっちのてで もつなあ」
「おれは こっちだなあ」
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けらいたちは大混乱。
けれど何度やっても向きがそろわないので、リーダーが目印を示して練習することに。日が暮れるまで練習してマスターしたけれど…!?
くるぞ、くるぞ…のドキドキ感がパワーアップ!
『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』は、おうさまがお城につくまでの100秒の間に、汚してしまった部屋をどれだけ元通りにするか、というハラハラ感が大好評の絵本でした。今回の『おうさまのまえで みぎむけーみぎ!』はハラハラ・ドキドキ感がさらにパワーアップ! 途中まで順調だった整列の練習も、あれ…? それで大丈夫…? くるぞくるぞ…とドキドキすること間違いなし! ぜひ親子でハラハラ・ドキドキ感をたっぷりと味わってください。
みぎ? ひだり? どっち??
前作『~100びょうまえ!』は数を逆から数えるカウントダウンにより数え方が定着したという意見がたくさんあったそう。『おうさまのまえでみぎむけーみぎ!』も同じく、あえて「スプーンをもつほう」がバラバラだったり、リーダーがけらいに向かって「こっちの手」と説明する(向かって右)ことでけらいが混乱したり…という楽しいしかけがあります。本を読みながら、お子さまの前に座ったり、並んで座ったり、背中合わせに座ったりしながら「右ってどっち?」と楽しみながら左右を覚えるのもおすすめです。
みんな自由に、のびのびと
著者の柏原佳世子さんは、残念ながら2020年に急逝されました。人それぞれの個性を否定せず、みんなが自由な世界を望んでいたという著者の優しい目線が、体型も髪型もバラバラのけらいたちの自由な姿にあらわれているのかもしれません。
動きがそろわないけらいに、リーダーが「だめだ、だめだー!」と言う場面があります。けれどリーダーは、「おまえのせいだ」とか「スプーンはこっちの手でもつものだ」などとは言いません。それぞれが持つ個性をどうやってまとめようか…と知恵をしぼります。
また、けらいたちがまったくすまなそうな顔をせず、堂々としているのもポイント。「しまった!」「まちがえた!」と顔に出てはいますが、リーダーの言うことに素直に従いつつ、のびのびとしています。リーダーばっかり一生懸命な感じがまたおかしいのです。
そんな著者の思いも感じると、ひと味違う読み聞かせができるかもしれません!
追悼 柏原佳世子先生
ユーモアを忘れず、人を傷つける言葉を使わない優しい人でした。
夫・加藤昭徳さんのインタビュー記事公開中。こちらから