年齢を重ねると、「やりたいことがあるのに体力がついてこない」と感じることがありませんか。
疲れやすさや風邪をひきやすい体質などに悩んでいるけれど、「自分の体力の状態や改善法がわからない」といった人も多いでしょう。
そんな悩みに応えるために、トレーナーと医師が一緒に考案した「体力を底上げする習慣と運動法」を紹介したのが本書です。
集中力や行動力が上がる「体力づくり」のヒントを、すべての人に向けてお届けします。
※本連載は『体力おばけへの道 頭も体も疲れにくくなるスゴイ運動』から一部抜粋して構成された記事です。
「イージーHIIT(ヒット)」のススメ
この章では、次章で紹介するエクササイズの軸となる考え方について、なぜこのトレーニング法を選んだのか、その根拠と狙いを解説します。
本書では3つのエクササイズを紹介しますが、一連の運動を「イージーHIIT」と名付けました。
まず、そもそも「HIIT(ヒット)」とは「High-Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、本来は全力に近い運動と短い休憩を交互に行うトレーニング法です。
アスリートやトレーニング上級者の間で注目されてきた方法ですが、最近では健康増進やダイエットを目的とした一般層にも広がりを見せています。
ただし、本書が推奨するのは、その強度をあえて下げた「イージーHIIT」です。
「高強度」と「イージー(低強度の意味)」という相反する語が並ぶこの言葉に違和感を持つ方もいるかもしれません。
ここで言う「イージーHIIT」は、HIITの原理を応用しつつ、体力に自信がない方でも安全に取り組めるよう設計した〝生活者向けインターバルトレーニング〞と考えてください。
- 「イージーHIIT」は体力要素をすべてカバーする
それは、この方法が行動体力と防衛体力を同時に高める効果があるからです。
第0章で解説したとおり、体力には「行動体力(動ける力)」と「防衛体力(守る力)」の2つの側面があります。
どちらか一方だけでなく、両方をバランスよく高めることが、真の「体力おばけ」への近道なのです。
まず、イージーHIITの最大の特長は「アフターバーン効果(EPOC : ExcessPost-exercise Oxygen Consumption)」です。
これは、運動後も代謝が高い状態が続き、カロリー消費が継続する現象のこと。有酸素運動のように長時間運動しなくても、短時間で脂肪燃焼効果が得られ、かつ筋肉の維持・強化もできるというメリットがあります。
特に中高年になると筋肉量が減りやすく、有酸素運動ばかりではかえって筋力が落ちてしまうこともあります。
その点、イージーHIITはスクワットやランジなどの自重トレーニングを含むことで、筋肉を保ちつつ脂肪を落とせる、まさに一石二鳥の方法といえるでしょう。
さらに、イージーHIITは心肺機能の改善にも効果が高いとされています。
短い時間でも息が弾むような運動を繰り返すことで、心肺持久力や筋持久力が向上します。階段で息切れしなくなる、買い物袋を持って歩けるようになるなど、日常の動作に直接プラスになる変化が期待できます。
では、「防衛体力」にはどう働きかけるのでしょうか?
ポイントは、自律神経系とホルモンバランスへの影響です。
リズミカルな全身運動は、自律神経のバランスを整える効果があり、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになります。
これにより、ホルモン分泌が安定し、ストレスへの耐性(メンタルタフネス)も向上。運動後には心地よい疲労感とともに深い睡眠が得られ、疲労回復力も高まります。
また、定期的な運動は免疫機能を高め、風邪などの感染症への抵抗力を上げることも知られています(ACSM、NSCAなどの報告より)。
つまりまとめると、「イージーHIIT」は、次のような体力要素を一度にカバーできるのです。
A 行動体力の向上
● スクワットやランジなどの下半身動作→筋力アップ
● 息が上がる反復動作→心肺・筋持久力アップ
● ダイナミックな動き→柔軟性・バランス・敏捷性の改善
B 防衛体力の向上
● 定期的な刺激→免疫力の維持・強化
● 自律神経の調整→ホルモンバランス安定
● 運動後の快眠・疲労回復の促進
● 継続による「自己肯定感」や「心の安定」
体力は、一生の財産になる
体力とは、若さの象徴ではなく、人生を楽しむ力のこと。年齢に関係なく育てられ、そしてあなたを守り、支え、導いてくれる一生の財産です。
この本がきっかけとなり、「自分も変われる」と思えたなら、もうあなたの中には〝体力おばけ〞の芽が育ち始めています。
これからも、あなたのペースで、無理なく、でもあきらめずに、体を動かし続けてください。
人生100年時代。これからが本番です。
未来の自分を笑顔にするために、今この瞬間から、できることを始めていきましょう。あなたの体は、きっと応えてくれます。