『あいたい あいたい あいうえお』読み聞かせ方、どうする?
聞かせ屋。けいたろうです。『あいたい あいたい あいうえお』が12月7日に発売になりました! もう手に取っていただけましたか? さて、連載最終回の今回は、『あいたい あいたい あいうえお』の読み聞かせ方についてです。
「絵本は作り手の元を離れたら、自由に読んでもらえば良い」と、僕は思っています。
作り手の思いを大事にしてもらえたら嬉しいですが、まずは自分らしく、好きなように読んでください。
僕が初めて、『あいたい あいたい あいうえお』を保育園児(年長クラス)に読んだ時の事を、話します。
この絵本の製作中は、コロナ禍で僕も以前のように実家へ行くことが出来ませんでした。そんな“会いたくても会えない日々と思い”を描いたこの絵本でしたから、園児にもじっくりと味わうように読んだのです……。が、子どもから返ってきた感想は、「みじかーい、もうおわり?」「もういっかいよんで!」。
あれ? ちょっとグッときたりとかしてくれるかと思ったのだけど……。
そして僕にとって意外だったひと言、「あいうえお、いっしょに言いたい!」
……あいうえお、言いたい?
聞けば、繰り返される「あいうえお」を言いたかった、と話す女の子。
「じゃあ、もう一回読む?」と僕が聞くと皆は頷き、再度読み聞かせを始めました。
一度読んで、「あいうえお」と言うタイミングが分かっている年長児達は、ページをめくる度に「あいうえお!」と声を合わせてくれました。
僕「あのこに あえない」
子「あいうえお!」
僕「あのこに あいたい」
子「あいうえお!」
僕「あえるぞ あえる」
子「あいうえお!」
僕は、思ってもみなかった元気な声に背中を押されて、笑ってしまって。
はじめから終わりまで、リズム良く楽しく読んでしまいました。会えない切なさや相手への気持ち、それを思いながらしっとり読む絵本だと考えていたのに (笑) !
でも、楽しかった〜。なんだか、納得しました。確かに「会えない絵本」ではないのです。「悲しい絵本」でもないのです。「大切な誰かに会いに行く絵本」であって、「嬉しい絵本」なのですよね。
子ども達はまるで、「えいえいおー!」と言うように「あいうえおー!」と声を合わせて、元気に会いに行くようでした。
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それで、良いのだと思います。僕の読み方が間違っていたわけではないけれど、目の前の子ども達が求めた読み方は「リズム良く、元気に楽しくあいうえお」だったのです。
何だか、すごく嬉しかったなぁ。元気に会いに行って良いんだ……。
僕はもう作り手ではなくて、読み手の立場になっていたのに、作り手としての思いを込め過ぎていたなと思いました。
こんな経験をした今、改めてこう思います。
『あいたい あいたい あいうえお』
皆さんの思うがまま、自由に読んでもらえたら、嬉しいです。
ありがとうございました!
※この、みんなで楽しく読んだときの音声を使った読み聞かせ動画を作りました!ぜひご覧ください。