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【癇癪がひどくて困っています】『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』ためし読み


不登校のお悩みは千差万別。お子さんと向き合う中で、うまくいかないことも、どうすればいいのかわからなくなることも多いと思います。本連載では、元小学校教師で、無料のオンラインフリースクールの代表として不登校支援に取り組む福田遼さんが、家庭でできる関わり方について、わかりやすくお伝えしていきます。保護者のみなさんからよく寄せられるお悩みをピックアップし、それぞれの困りごとに対する具体的な対応策をご紹介。困ったときにガイドブックを開くような気持ちで、どうぞ気軽にご活用ください。

※本連載は『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』から一部抜粋して構成された記事です。




こんなとき、どうしたらいい?

癇癪がひどくて困っています

A. 「注目」を与えず、一旦物理的な距離を取る

 家で暴れる、暴言を吐く、モノに当たる、癇癪を起こす。不登校になって、そんな問題行動が増える子もいます。
 こうした問題行動に対しては、とくに反応をせずに、子どもと距離を取るのが基本です。

 行動というのは、その行動によって得られるメリット(専門的には「機能」と言います)がなければつづかないものです。
 癇癪を起こすお子さんは、癇癪を起こせば相手が言うことを聞いてくれる、注目してくれると知っているから、何度もくり返すようになるんです。つまり、その子にとって癇癪が「もっとも効率的にメリットを得られる手段」になっているんですね。
 ですから、癇癪を減らすためには、親からの注目(反応)というメリットをなくす必要があります。

 お子さんが癇癪を起こしたときは、まず物理的に距離を取りましょう。たとえば「ちょっとイライラしているみたいだから、落ち着くまでお父さんは向こうの部屋に行くね。落ち着いたらまた話そう」などと伝えます。
 そして、実際に別室などで時間を過ごし、お子さんが落ち着いてきたら、また声をかけてください。「自分で落ち着けてえらいね。なにか手伝えることはある?」などと尋ねて、お子さんの話や希望にしっかり耳を傾け、できることがあれば手伝ってあげましょう。
 そうすることでお子さんは、癇癪を起こしたときではなく、落ち着いて話をしたときのほうが、両親はしっかり反応してくれるんだ、と覚えていくはずです。

 ただし、問題行動に反応しないようにした直後は、一時的にその行動が激しくなることがあります(専門用語で「消去バースト」と呼ばれます)。そこで親が折れて反応してしまうと、子どもは「もっと強く泣けば反応してくれるんだ」と学習します。すると、問題行動が余計に強くなってしまうので注意が必要です。
 一度反応しないと決めたならば、最後まで貫くことが大切です。 最初は「これで本当に良いのかな」と不安になるかもしれませんが、大丈夫。毅然として反応しないスタンスをつづけていれば、問題行動は次第に減っていきますから。
 併せて、問題行動をとっていないときに、ヨイ出しをしたり、トークン(※1)を与えたりして、子どもの適切な行動を増やしていくことも、大切なアプローチだと思います。

 お子さんの衝動とは距離を取る。問題行動には反応しない。適切な行動に声かけをする。その基本を徹底して、冷静に接するように心がけていきましょう。
 気づけば、お子さんの問題行動の頻度はグッと落ち着いていくはずです。


※1 「トークン」と呼ばれる報酬(ポイント)を活用して、子どもたちの望ましい行動を増やす方法。子どもが決めた行動を達成した際にシールやポイントを貯め、一定数貯まるとご褒美があるような仕組みで、子どもたちの行動を増やしたり、行動のモチベーションを高めることができます。




不登校の子どもたちへの伴走は、ひと筋縄ではいきません。だからこそ、ひとつずつ試しながら、お子さんに合った方法を見つけていくことが大切です。再登校もその先も、一進一退。焦らずに、今できそうなちょっとしたことから取り組んでいきましょう。

【書籍情報】


著者: 福田 遼

定価
1,760円(本体1,600円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046074072

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