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【臨床発達心理士】「もっと抱っこしなきゃ」と悩むママパパへ。スキンシップは“量より質”

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「赤ちゃんのためになる遊びを取り入れたい」。そんな思いを抱く親は少なくないのではないでしょうか。可愛いわが子が喜んでくれるうえに、成長を後押しすることができたら、こんなに嬉しいことはありません。
そこで「タッチ学」の第一人者であり臨床発達心理士でもある山口創教授に、赤ちゃんの発達を促す「オキシトシン」の効果や科学的観点に基づいたスキンシップのコツなど、赤ちゃんの可能性を伸ばすヒントを教えていただきました。

「触覚」は生きるためにいちばん大事な五感です


写真提供:PIXTA


「触覚=触れたときの感覚」の大切さは、たった1つの細胞からできている単細胞生物やアメーバの動きを見るとよくわかります。アメーバは何かに触れたとき、そこに近づくのか、あるいは避けるのか、外側を包む細胞膜の感覚で判断しています。彼らにとって触覚は、命を守るために大事な役割をもっているのです。

単細胞生物は地球上で最初の生命と言われています。まだ目もなく、鼻もなく、光もわからないような生物でも、触覚だけはもっていたのです。生物の誕生時から備わっていた触覚は、生きていくためにもっとも大事な五感といえるでしょう。

人にとっても触れ合いはとても大事な感覚で、昔から心理学、看護学、神経科学などのいろんな学問からアプローチされています。その成果を集約し、子育てをはじめとするさまざまな領域で役立てようとしているのが「タッチ学」です。

タッチで赤ちゃんの可能性を伸ばす

「タッチ=スキンシップ」という行為によって発達が促されるのは、体内に「オキシトシン」というホルモンが分泌されるから。触れ合いによるオキシトシンが親子の絆をさらに深め、赤ちゃんにもともと備わっている力や可能性をぐんぐん伸ばします。


写真提供:PIXTA


オキシトシンの効果

○愛着がスムーズに形成される
「抱き癖がつく」と言われたのはひと昔前。現代は、たくさん抱っこをしたほうがオキシトシンが出やすく、愛着形成が進みやすいと言われています。安定した愛着の関係は「自分は愛される存在なんだ」という認識を高め、自己肯定感をはぐくみます。

○リラックスできる
副交感神経が優位になってリラックスできるのも、オキシトシンの特徴です。落ち着いた気持ちになり、穏やかな眠りを誘います。

○ストレスに強くなる
オキシトシンには心の苦痛や不安を抑える作用があります。普段からスキンシップが多いと、ストレスによるイライラやキレやすさ、気分の落ち込み、集中力の低下などの反応が出にくくなります。将来的には、つらい局面を乗り越える力にもつながるでしょう。

赤ちゃんの抱っこはママパパにも良い効果

オキシトシンは大人にも効果があり、リラックスできるのはもちろん、子どもの気持ちを敏感に汲み取れるような共感性を高めます。オキシトシンが出ると母親は優しい気持ちになり、子どもを安心させるための行動に出ます。

父親の場合は効果の現れ方が異なり、安心感というより、刺激を与えるようなスキンシップが増えます。安心のサークルから外の世界へと子どもを連れ出し、成長を促して社会に適応させようとする働きを担います。

どちらも共感性が高まった結果であり、子どもの命を守ろうとする行為であることに違いありません。くっつく安心と、そこから離れることによる刺激。どちらもあるのがいちばんです。相手は信頼できる大人であれば、他の家族や保育士さんでも大丈夫です。

親子で自然に触れあうことの大切さ



私が監修した『リラックマ ごゆるり スキンシップえほん たーっちたっち リラックマ』は、親子でいっしょにスキンシップを楽しめる絵本です。リラックマやその仲間たちがふれあうページを読みながら、赤ちゃんのからだに自然とふれることができます。

スキンシップを取り合うリラックマたちの表情も可愛らしい絵本です。読んでいるこちらまで、思わずほっこり笑ってしまうような展開もあります。

《絵本で赤ちゃんとタッチしながら遊ぼう》
リラックマの楽しい絵本の中には、認識しやすい色使いやオノマトペなど、赤ちゃんが喜ぶポイントがたくさんあります。リラックマの動きをまねすることで、親子で自然なスキンシップが生まれます。また子どもが少し大きくなったら自主的にスキンシップをするのも楽しいですね。

・頭をなでなで
・ほっぺをぷにぷに
・ぽんぽん おなか
・ぎゅっ ぎゅ〜 など



スキンシップは“量より質”  程よい対応でOK

触れ合いは楽しいのがいちばん。「やらなきゃ」という義務感が伴うとストレスでいっぱいになってしまいます。子どもは敏感ですから、親のイライラした気持ちが子どもに移ってしまうと逆効果。まずは自分自身を快適な状態にしてから、子どもと触れあえたら素敵です。

スキンシップは“量より質”です。ずっと抱っこすればいいということではなく、子どもが不安や空腹で泣いた時にちゃんと対応し、安心させてあげることが大事なのです。短時間でもいいですから、子どもが求めるときにスキンシップを取ってあげるといいでしょう。

必ずしも、100%対応する必要はないのです。まるっきり相手にしないのは愛着障害につながりますが、場合によっては対応する、余裕があれば対応する、というくらいでも愛着は形成されます。育児は“グッドイナフペアレンツ”(ほどよい親)で大丈夫です。自分も楽しむつもりで赤ちゃんと触れ合ってみてくださいね。

※子供によってはタッチを好まない場合もあります。その際は無理をせず様子を見ながら語りかけしましょう。


文:吉田あき



【書籍情報】
『リラックマ ごゆるり スキンシップえほん たーっちたっち リラックマ』

文・絵:原ペコリ
監修:山口創
原作・監修:サンエックス株式会社
発行:株式会社KADOKAWA
定価:1,430円(本体1,300円+税)
発売日:2026年6月3日
仕様:縦175mm 横175mm 20ページ ボードブック
ISBN:9784049520941



▶書籍情報を見る

【監修者プロフィール】



監修:山口創

桜美林大学リベラルアーツ学群・教授。臨床発達心理士。早稲田大学大学院修了。科学と心理学の両面からタッチを研究する「タッチ学」の第一人者として、触れ合いが心身にもたらす効果を伝える。オキシトシンと愛着形成に関する著書多数。 


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