身近なもので、すぐにできる自由研究! 『まんがで名作 これから科学者になる君へ 寺田寅彦エッセイ集』を参考に、茶碗のお湯の観察を実際にやってみた!
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実験を始める前に
明治~昭和にかけて物理学者として活躍しノーベル賞受賞目前までいきつつ、同時に文筆家としても夏目漱石の弟子としてすぐれたエッセイを数多く残した寺田寅彦。彼の科学エッセイは何世代にもわたって読まれ、海の波や茶碗に入ったお湯の湯気など、身近なものをていねいに観察していくことのおもしろさが描かれています。
そんな寺田寅彦のエッセイを学習まんがにした『まんがで名作 これから科学者になる君へ』が好評発売中! 今回は、その中から「第2章 茶碗の湯」に登場する観察を担当編集が実際にやってみました。
※熱湯をあつかうので、必ず保護者といっしょに行ってください。
▼試し読み案内
茶碗に入ったお湯を、いろいろな点に注目して観察していきます。
そこから、雲の作りや空気の循環といった大きな自然の話へと広がっていきます。
<用意するもの>
・茶碗(湯のみ) 2個 ※同じ形でそろえる
・熱湯
・黒い画用紙
①湯気の観察
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まずは湯のみに熱湯をいれて、湯気を観察します。まんがでは黒い布を出していましたが、今回は黒い画用紙を使ってみました。
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どんどん湯気が立ちのぼっていくのが分かります。
湯気は、水が温められたことによって水蒸気になり、空気中で冷やされて小さな水のしずくになったものが無数に広がることでできます。
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「空気中には目に見えないくらい小さなチリがいくつもうかんでいて、これに水蒸気がくっつくと湯気や雲、霧になる」と寺田寅彦も言っていますね。
写真ではちょっと見えづらくなってしまうので、絵などで記録した方が分かりやすいかもしれません。なお、動画で記録すると、湯気の動きが分かりやすいです。
ただ、エッセイにあるように湯気の中に赤や青の色を観察することは難しく……。もっとたくさん太陽の光が当たるところで観察すると、うまく見えるかもしれません。
②冷めてきたお湯と、いれたての熱いお湯の湯気を比べる
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冷めてきたお湯といれたての熱いお湯の湯気の勢いを比較しました。
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左が冷めてきたお湯で、右が熱湯です。
エッセイにあるように、熱いお湯の湯気のほうが高く、勢いよくのぼっていくのが分かります。空気は温められると上にのぼっていくため、熱いお湯のほうが湯気が勢いよくのぼっていくのですね。
また、いれたてのお湯の湯気は勢いよく渦を巻いてのぼり、途中で広がって消えていくのも観察して分かりました。
これも動画で記録したほうが分かりやすいです。
③冷めていくお湯の観察
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茶碗が温まっていたので、別の茶碗を用意しました。水でいったん洗ってもいいかもしれません。
熱湯を茶碗にいれ、表面や湯の中の様子を観察しました。
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エッセイに書かれているようなむらを確認するのは難しかったです。光が当たりやすいように外に出してみたものの、風の影響を受けて水面がゆれてしまいうまく確認することができませんでした。
しかし、表面に薄い膜があるのは確認できました。
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写真にうまく撮ることは難しかったのですが、見る角度をうまく調節すると確認することができます。
いれて1分たつかどうかくらいのタイミングで、表面に白い細かい波みたいな模様が生まれ、亀裂が入ってすばやく形を変えながら消え、また新しい模様が生まれてくるように見えました。
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寺田寅彦もこの正体は「よく分からなかった」と言っています(笑)。
お湯を観察しただけなのですがいろいろなものが見られて、仕事そっちのけでやってしまいました。他にもお湯の量を変えたり、器を変えたり――工夫してみると、おもしろい発見があるかもしれません。
簡単にできますので、夏休みの自由研究におススメです!
原作:寺田 寅彦 監修:鎌田 浩毅
- 【定価】
- 968円(本体880円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784041122136