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幼児期は習慣定着のゴールデンタイム 『個性を伸ばす絵本対話 ダイアロジック・リーディング』ためし読み

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子どもとの「対話」って、どうすればいいんだろう? 「わかんない」「別に」で会話が終わってしまったり、子どもの考えていることがうまく引き出せなかったり……。そんな日々のちょっとした悩みから、子どもの「考える力」「伝える力」を育むヒントを探ります。絵本をきっかけに、親子の対話をもっと豊かにする「ダイアロジック・リーディング」の世界を、一緒にのぞいてみましょう。

連載第4回は、OFFER1「子どもの『わかんない』を探ってみよう」の中から「幼児期は習慣定着のゴールデンタイム」を紹介します。

※本連載は『個性を伸ばす絵本対話 ダイアロジック・リーディング』から一部抜粋して構成された記事です。



幼児期は習慣定着のゴールデンタイム

「伝える力」を伸ばすのに最も負担が少なく、効果が大きいのはいつでしょうか。

 多くの研究が示している答えは、1歳頃~小学校入学前にあたる“幼児期”が最適なタイミングであるということです。

 ここでは、その理由を3つの視点から紹介します。

1 評価を気にしすぎない“発達段階の特性”が発揮される

 幼児期の子どもは、自分を「周りの人がどう思うか」について、まだ過度に気にする段階ではありません。この“他者からの評価を気にする不安” を発達心理学では、評価懸念(evaluation apprehension)と呼びます。そしてこれは、学齢期に向けて徐々に強まることが知られています。

 このため幼児期には、

  • 間違いを恐れにくい
  • 思ったことをそのまま言葉にしやすい
  • 新しい表現を“試す”ことへの抵抗が小さい

という特徴が見られます。
 言い換えると、「言葉を出してみること」への心理的ハードルが低く、対話の入口に立ちやすい、貴重な時期ともいえます。

2 読み書き言葉が一気に伸びる“敏感期”である

 神経科学や発達心理学では、4〜6歳頃の時期を認知能力や読み書き言葉の発達の敏感期と呼びます。
 この時期には、

  • 語彙が増え、理解が深まる
  • 文法や文構造の理解が深まる
  • 因果関係や他者の気持ちを推測する力(心の理論)が発達する

 といった、思考と言語の基盤が急速に形づくられていきます。
 このため、日常の小さな対話の積み重ねがそのまま“思考の型”として脳に残りやすい時期でもあります。

 小学生以降になると、良くも悪くも“自分なりの思考の癖”が固まり始め、新しい言い方や考え方を取り入れる柔らかさは少しずつ減っていくようです。

3 ”大人との対話”が脳の発達を直接後押しする

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学研究では、言語領域の脳活動において、幼児期にどれだけ大人と対話したかが語彙力・読解力・学力と強く相関することが明らかになっています。

 特に重要なのは、赤ちゃんの時期に大切だとされる、大人が一方的に話しかける「言葉のシャワー」から、次のステップへと成長し、子どもが自分の言葉を返す“ ターンテイク(turntaking)”です。

 研究によると、

  • 大人の独り語りは子どもの脳への効果は限定的
  • 子どもが「自分の言葉で返す」瞬間に脳活動が最も高まる

ことが示されています。

 つまり幼児期とは、“対話”が脳の成長を直接後押しする効果の高まる時期といえそうです。

 実際に子どもたちと対話を重ねていると、年齢が上がるにつれて、

  • 正解を探してしまう
  • 間違えたくない気持ちが強くなる
  • 考える前に「わかんない」と言いやすくなる

という傾向があります。

 一人ひとりと向き合っていると、これは、能力の変化というよりも、一人ひとりのこれまでの“習慣”の積み重ねから生まれる変化だろうと感じます。

 そしてこの段階から少しずつ、子どもが新しい考え方・話し方の型を取り入れるのに、負荷がかかり始めていくようです。

 そうなり始める前の幼児期は、

  • 抵抗が少ない
  • 間違いを気にしにくい
  • 新しい型に慣れやすい

 という評価懸念が働かないゴールデンタイム。
 つまり、習慣づけに最も適した時期なのです。

 幼児期に、言葉のキャッチボールを楽しむように日常で重ねた対話が、その後の学びや思考の柔軟性を長く支え続ける。
 そう考えると、子どもの成長は後から誰かに与えられる評価や成績だけで決まるものではないと思いませんか。
 それでは、“対話の習慣”を家庭の中でどう育てるか。一緒に考えていきましょう。

 さあ、ここからが本書のテーマである「絵本対話」の登場です。

今日の一冊から、親子の対話を

子どもとの何気ないやり取りには、子どもの考える力や、自分の気持ちを言葉にする力を育てるヒントがたくさんあります。大切なのは、答えを教えることではなく、「子どもの言葉を受け止め、対話を楽しむこと」。

絵本は、親子で同じものを見ながら、自然に言葉を交わせるきっかけになります。特別な準備をしなくても、今日の一冊から始められます。

本書では、実際の絵本を例に、どんな声かけをすれば対話が広がるのか、親子のやり取りを具体的に紹介しています。まずは紹介されている声かけをマネするだけで大丈夫。

絵本をきっかけに生まれる、親子の“対話”を楽しんでみませんか?



【書籍情報】


著者: 安田 莉子

【定価】
1,980円(本体1,800円+税)
【発売日】
【サイズ】
四六判
【ISBN】
9784048115612

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