「白い服にケチャップのシミが…」「子どものスポーツウェアのニオイが気になる」。日々の子ども服の洗濯に頭を悩ませていませんか? 正しいアプローチを知っていれば、ガンコな汚れやニオイもすっきり落とせます。住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに、身近な洗剤を使ったシミ抜き・汚れ落としの方法を教えていただきます。
ガンコな汚れは熱いお湯は避けて洗うのが鉄則
子どもの成長にともない、服につく汚れの種類は変わります。書道の墨汁、水彩やアクリル絵の具、鼻血や経血など、これまではなかった初めて出会う汚れの対処に困っている方も多いかもしれません。
落ちにくい汚れは、油分やタンパク質を多く含んでいます。たとえばミートソースやカレーの食べこぼしには、サラダ油などの植物油や肉の脂などの油分とタンパク質が多く含まれています。そこにトマトやカレーなどの色素も加わるため、さっと洗うだけではなかなか汚れが落ちません。昔ながらの墨汁は、動物の皮や骨を煮出してつくられる膠(にかわ)で微細な炭素の粒子を定着させているため、非常に落ちにくい汚れのひとつです。
こうしたガンコな汚れは、「熱いお湯で洗わない」ことが大切です。水温が高いほうが汚れが落ちると思うかもしれませんが、血液などタンパク質を含む汚れは、熱を加えると凝固して、より落ちにくくなります。「常温から30度程度のぬるま湯」で対処するといいでしょう。
シミ取りに活躍する「食器用洗剤」
汚れへの対処法は2通りあります。「シミとりをしてから洗濯する」か「従来通りに洗濯した後、残った汚れを落とす」かです。
洗濯前のシミとりで重宝するのが「中性洗剤」。身近にある中性洗剤のひとつが「食器用洗剤」です。
最近の洗濯用洗剤は、除菌効果を高めた弱アルカリ性のものが多くあります。弱アルカリ性の洗濯用洗剤は、通常の洗濯には適していますが、直接衣服に塗布すると生地を傷める場合もあります。食べこぼしや血液、墨汁や絵の具が衣服に付いたときは、まずは衣類への負担が少ない中性洗剤を使って、次のように対処しましょう。
《洗濯前のシミとり》
STEP① 固形の汚れを取り除く
ミートソースの肉やカレーの具材など、固形の汚れはキッチンペーパーなどで取り除きます。
STEP② あて布を敷いて汚れをたたく
シミが付いた箇所の裏にあて布(古タオルやキッチンペーパーなど)を敷き、水で湿らせたティッシュなどでシミをたたいて汚れをあて布に移します。
STEP③ 食器用洗剤をつけてもみ洗いする
汚れが残った部分を湿らせ、食器用洗剤を少量塗り、細かくもみ洗いします。
STEP④ 食器用洗剤で落ちなかった汚れにはシミとり洗剤を使う
食器用洗剤で落ちなかったシミには、市販の「シミとり洗剤」を使用します。STEP③と同様にシミとり洗剤を直接つけてもみ洗いするか、シミとり洗剤をつけた洗濯用ブラシでたたくようにして汚れを落とします。シミとり洗剤は、食器用洗剤や洗濯用洗剤より価格は高めですが、界面活性剤の濃度が高いなどの工夫が施されていて、ガンコな汚れ落としに重宝します。ホームセンターやバラエティショップで購入できるので探してみてください。
洗濯後にうっすらとしたシミに気づいたときは、液体タイプの「酸素系漂白剤」の出番です。シミの上に直塗りして5〜10分置き、もう一度洗濯すると、かなり目立たなくなります。
知って安心! 子ども服の汚れ・ニオイの対処法
子どもが小学校に入学すると、シミ落としのほかにもさまざまな洗濯の困りごとに直面します。ちょっとしたコツを知っておけば、子ども服の洗濯がグッとラクになります。
泥汚れは水洗いする前にいったん「乾かす」
泥汚れはいきなり水洗いするのは避け、乾いた状態で対処するのがポイントです。湿った泥汚れがついた衣類はまず乾かし、それから庭や玄関などで泥汚れを払い落としたり、掃除機で泥を吸ったりして、物理的に汚れを取り除きましょう。その後、洗濯用石けんで予洗いしてから洗濯すると汚れがすっきり落ちます。
レースやリボンなどの装飾がついた子ども服は「おしゃれ着洗い」
レースやリボン、フリルや飾りボタンなどの装飾がついている子ども服は、弱アルカリ性の洗濯洗剤で繰り返し洗濯すると、素材によっては生地が傷みやすくなります。装飾がついた子ども服は、タオルなど通常の洗濯物とは分け、中性洗剤で「おしゃれ着洗い」をしましょう。
カップ付きインナーは「タオル脱水」でカビを防ぐ
カップ付きインナーや女児用水着のカップ部分は、水分が残りやすく、カビなどが生えやすい場所です。形崩れを気にして十分に脱水しないと、ますます乾きにくくなり、雑菌が繁殖しやすくなります。カップ付きキャミソールや水着は、次の方法で脱水しましょう。
《カップ付きインナーの脱水方法》
STEP① 脱水したい衣類をバスタオルで包み、バスタオルごと洗濯ネットに入れる
STEP② 洗濯機で1〜2分脱水する
STEP③ 陰干しする
この方法なら衣類への負担を抑えながら、余分な水分をバスタオルに移して効率よく脱水でき、早く乾かせます。デリケートな衣類も、この方法で脱水すると型崩れを減らせます。
スポーツウェアの黒カビ・ニオイ対策には「酸素系漂白剤」
運動系の習いごとなどで子どもが着用している速乾タイプのスポーツウェアに「黒い点」がついたことはありませんか? 洗ってもとれない黒い点の正体は、泥汚れやシミではなく、カビです。カビが生えた状態で着用を続けると、肌への刺激や嫌なニオイの原因になることがあります。カビの発生やニオイを抑えるために、「酸素系漂白剤」で対処しましょう。
《衣類についた黒カビの対処法》
STEP① ぬるま湯に規定量の酸素系漂白剤を溶かし、20〜30分ほどつけ置きする
STEP② つけ置きした液体ごと洗濯機に入れ、洗濯機で洗う
STEP③ 部屋干しは避け、外干しする
このような方法で週1回ほど洗っていると、カビの繁殖ペースを抑えられます。短時間で乾かすために、部屋干しより、屋外の風通しのいい場所に干すといいでしょう。
ニオイが気になる衣類に柔軟剤は「使わない」
タオルやスポーツウェアなど、ニオイが気になる洗濯ものには、柔軟剤の使用は控えましょう。そもそも柔軟剤の主な役割は、繊維の表面を油分の膜でおおい、静電気の発生や繊維の摩擦を防ぐことです。洗濯後の衣類が臭うのは、油やタンパク質の汚れが十分に落ちきらず、衣類に残った汚れをエサにして細菌が増えているから。十分に汚れが落ちていない衣類に柔軟剤を使うと、繊維の奥に残った汚れが油でコーティングされ、汚れがより落ちにくくなったり、吸水性が落ちてしまったりします。
柔軟剤は、静電気で足にまとわりついて困るスカートや、パチパチと静電気が発生するニット類に使い、ニオイが気になるスポーツウェアや水分をしっかり吸水したいタオルには使用を控えると、さっぱりと洗い上がります。
これも気になる!Q&A
Q. 洗濯しても子ども服の汚れやニオイが落ちきりません……。
A. 液体洗剤より洗浄力が強い「粉末洗剤」を使ってみて
汚れ落ちやニオイが気になる衣類には、液体洗剤よりも汚れを落とす力が強い「粉末洗剤」を使用するといいでしょう。汗や皮脂によるガンコな汚れには、粉末洗剤が向いています。
Q. 酸素系漂白剤は、粉末と液体、どちらがおすすめ?
A. 素材によって使い分けましょう
粉末タイプの酸素系漂白剤は、黄ばみやニオイが気になる衣類におすすめです。子どもの体操服やタオルなどをつけ置きするときは、粉末タイプの酸素系漂白剤を使うといいでしょう。ウールやシルクは、生地を傷めてしまうため粉末タイプの酸素系漂白剤の使用はNGです。ウール、シルクなどデリケートな衣類には、液体の酸素系漂白剤を使用しましょう。
Q. 出先で子どもが食べこぼした! どう対処したらいい?
A. 帰宅してから対処すればOK!
出先で汚れを強くこすったり、もんだりすると、繊維の奥に汚れを押し込んでしまい、かえってシミが落ちにくくなることもあります。食べこぼしは、帰宅後にこれまで紹介した方法で対処しましょう。
子ども服のシミは元気に過ごした勲章
洗濯の目的は、汚れを落として雑菌の増殖を抑え、衣類を清潔に保つことです。衣類についた汚れを100%取り除くのは難しいものですが、紹介してきた方法で洗濯して衣類に残る汚れを減らせば、衣服を衛生的に保てます。
ときには適切に対処しても汚れが落ちないこともありますが、シミがついた子ども服は、子どもが元気に過ごした勲章です。あまり神経質になりすぎず、おおらかに受け止めてほしいなと思います。子どもには汚れがついてもいい服を選び、汚れが落ちにくくなったり、傷みが目立ったりしたら、適切なタイミングで買い替える。そうして子どもがさっぱりとした衣服を着られるようにしていきましょう。
取材・文:三東社
写真:PIXTA
【作家プロフィール】
藤原千秋
住生活ジャーナリスト。大手住宅メーカー営業職を経て、掃除・洗濯など暮らしまわりの記事をウェブ、雑誌、新聞、書籍などに執筆。ラジオ・テレビ出演も多数。著・監修書に『家事ずかん750』(朝日新聞出版)など。3女の母。