
集団塾、個別指導、家庭教師、オンラインサロンなど、中学受験のための選択肢が増える中、「どこにどれだけ時間とお金をかけるのがわが子にとっての最適解か?」「塾におすすめされる教材や講習はどれだけ取り組めばいいのか?」「学校と塾の両立で気を付けるべきことは何か?」などの悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。本書は、実際の保護者がよく抱える悩みや不安を中心にその日からすぐ役立つアドバイスをまとめています。
※本連載は『「まだ伸びる!」をあきらめない 中学受験 子どもの成績の本当の伸ばし方』から一部抜粋して構成された記事です。
中受親子は大きく5タイプに分けられる
- うちの子にはこれがあう? ―親子の関わり方タイプ診断
中学受験に向けて、親が子どもにどう関わるか―。
これは、すべての中学受験家庭にとってとても重要な、そして難しいテーマです。
「どこまで手を出していいのか?」
「放っておいた方がいいのか?」
「つい怒ってしまうけれど、本当はどうしたらいいのか……?」
情報はあふれていても、わが子にとってベストな方法が何なのか、明確な答えはなかなか見つかりません。
大切にしたいのは、「どう関わるのが正解か?」の前に、「今、自分はどう関わっているのか?」を見つめ直すことです。中学受験において、塾の選び方や教材以上に重要なのは、〝親がどんなスタイルで子どもに向き合っているか〞という、日々の関わりです。
この章では、私がこれまで出会ってきた数百人の保護者の姿をもとに、「親の関わり方×子どものタイプ」で見えてくるいくつかのパターンを紹介します。
「うちはこのタイプかも」
「これってやり過ぎかな?」
そんなふうに一度立ち止まり、自分たち親子の関係を見つめ直してみると、きっと次の一歩が見えてくるはずです。一概にどのタイプが良い・悪いということはないので、「わが家はどのタイプか」を見極めて、今後どのようなことに気を付けて関わっていくのがよいかを考える材料にしてください。
- 各タイプのメリットと注意点
タイプ1 二人三脚サポート型
子どもの隣に常にいて、宿題から復習まで徹底サポート。
【メリット】
子どもに安心感がある/計画倒れを防げる
【注意点】
● 子どものわかったふりに注意。手厚い親の伴走が子どもの負担になり、「とにかくこの場を終わらせよう」と表面的な理解に走ることも。
● 子どもが自ら勉強・計画することを目指すのが大切。親は子どもの自分でできる力を信頼して、少しずつ手を引き、子どもの自主性を育む段階を意識的に作る。
● 間違いの指摘を随時していると、子どものやる気をうばってしまうことに。例えば宿題がすべて終わってからミスを一緒に見直すなど、工夫をする。
タイプ2 学習環境サポート型
プリント整理、教材管理など〝環境整備〞に徹するタイプ。
【メリット】
家庭学習の土台を作れる/子どもが精神的に落ち着きやすい
【注意点】
● 子どもの「自分で探す・管理する力」を育てるため、可能な限り子どもと一緒に管理をすることも心がけたい。
●「プリント管理=勉強サポート」だけで親が“やった気分”になりやすく、知識の定着や、心理的サポートなどが希薄になることもあるので注意。
● 片づけが目的化し、勉強ではなくプリントや机の上が整理されていないことなど、勉強以外について叱ることが増えてしまうケースもある。プリント整理はあくまでも「学習のサポートのツール」ということを常に意識しておきたい。
タイプ3 学習進捗プランナー型
勉強の内容にはあまり関わらないが、進み具合やスケジュール管理を主に担当。
【メリット】
子どもを信頼しながら見守れる/計画の見える化で塾とも連携しやすい
【注意点】
● 計画はあくまでガイドライン。仕事と違い、予定通りにいかないことが多いという意識を常に持つこと
● 中学受験は子どもの心と体が成長する時期と重なるからこそ、心と体のケアを第一にした計画遂行を心がける。
● 子どもの気持ちや意欲など、数値に表れない部分を汲み取るために、コミュニケーションを密にとることが大切。受験を通して子どもの心の成長も促せるように。
タイプ4 弱点克服サポート型
宿題やテストの解き直しに絞って寄り添う。ピンポイント型。
【メリット】
弱点が明確にわかる/短時間で質の高い関わりができる
【注意点】
●「また間違えているよ」ではなく、「間違いは成長のチャンス」という言葉を思い出しながら、ミスを前向きに捉えられるような声がけを。
● 解き直しを「何度も間違うから罰を与えられている」と捉えないように頻度の調整が必要。また休憩などの小さなごほうびを挟み、ゲーム感覚で解き直しできる工夫が必要。
● 子どもの「休みたい」というSOSを見逃さない。強いプレッシャーを感じているようなら、割り切って休ませることも大切。
タイプ5 見守り応援型
塾にすべて任せて見守るスタイル。
【メリット】
自主性が育つこともある/過干渉にならない
【注意点】
● 中学受験は親の手助けがあって成り立つもの。いくら自己管理できる子どもでも、時には相談をしながら負担を減らしてあげられるような配慮を。
● できるからといって完全に放置するのはNG、適度な距離で見守る。とはいえ干渉されるのを好まない子どももいるので、あくまでも子どものやる気を削がないような距離感で見守ることが重要。
● 親が過度に関わらずとも、子どもがしっかりと成長していけるタイプ。しかし、子どもの精神的プレッシャーが強くなる可能性があることも理解したい。
書籍では、各タイプについてより詳しく説明しています。
本書は、実際によくある悩みに沿ったアドバイスや提案を盛り込んでいます。中学受験の期間は長そうに見えて、あっという間。一生に一度の中学受験生活、ぜひそれぞれご家庭にあった方法を取り入れて悔いなく過ごしてくださいね。
【書籍情報】
著者: ユウキ先生
- 【定価】
- 1,760円(本体1,600円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046076878