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ととけん1級史上最年少合格の現役中学生・伊藤柚貴くんに特別取材!! 川をのぼるニシン!? お魚博士・伊藤柚貴くんが驚いた世界の魚たち

日本さかな検定(通称:ととけん)1級に史上最年少の小学5年生で合格した、お魚を愛する現役中学生の伊藤柚貴くん。日々大好きなお魚とかかわり、さまざまなお魚を研究しています。そんな柚貴くんに、今回発売された角川の集める図鑑GET!シリーズ最新刊『GET!魚』の感想を聞いてみました。



――率直に『GET!魚』をご覧になり、どう思いましたか?
見た瞬間、表紙の真ん中のギラギラしたシイラに圧倒されました!そしてまず目次を見てるだけでこんなにも面白いと感じた図鑑は初めてです。コラムのタイトルも気になるものがいっぱいでワクワクしました。これまで見てきた図鑑は生きていないお魚や標本の写真だったので、『GET!魚』は実際に生きている、水中で撮られた写真が多くて、生息している姿がわかりやすかった。普通の図鑑は、アジのなかま、タイのなかま…というように並べられていて、もちろんそれも魚種を認識するうえで分かりやすいですよね。でも、たとえば「タイ科のお魚だけここに並んでくださーい」っていうことは実際の海では起きないので(笑)。この図鑑は本当に海を覗いているような感じで、海の中で何が起こっているのかがよくわかります。お魚を調べる時に「~科」とかは横に書いてあるから見ればわかるけど、生態などを深堀りしようとするとそれができる図鑑はだいぶ限られてくると思います。この図鑑は全部一緒に見られるから「ここの海を覗いたらこんなお魚がいるんだ」みたいなのがわかる。あと自分が最近ダイビングを始めたのもあって、海の中の様子が鮮明にイメージしやすくてそれもよかったのかも。67ページのタカサゴ群れとかも最高です。ずっとながめていられます(笑)。世界中の色んな魚が載っているから、日本で知られている魚と似ていたりすると海の環境が近いのかなとか想像したりしてめちゃくちゃ楽しいですね。自然ってすごいっていうのがよくわかるんじゃないかな。



――柚貴くんのようにお魚が大好きな子にも新しい発見がある図鑑をと制作陣一同で図鑑づくりを進めてきたのですが、実際に驚くようなページはありましたか…?
特に印象に残ったのは、68ページの「スジアラとウツボが狩りを協力して行うところ」です。気になったので調べてみると、スジアラだけでなくユカタハタやニジハタなどにもこのような習性が多くみられるそうです。その光景を想像するとなんだか面白くてぜひその現場を見てみたくなりました。また、アバなど他の図鑑には載っていないような外国のお魚やアカツキハギなど、ぼくが知らなかった魚もたくさん出てきて楽しかったです。タイセイヨウニシンやタイセイヨウダラは知っていたのですが、エールワイフは知らなかった。「川をのぼるニシンなんているんだー!」って。名前は知っていても外国のお魚だから本やインターネットで調べても写真が出てこないっていうのはこれまでもよくあって。だからイシビラメとか「あ、こんな見た目をしているんだな」と思いました。あと、オーストラリアと日本のお魚が似ていることはよく知っていたのですが、なんで同じようなお魚がいるのかという理由はよくわかっていなかった。105ページにはそれが載っていて、よくわかりました。環境DNAのページも面白かったです。



――小学生時代から環境DNAを学ぶイベントに参加していたのですね。
環境DNAのことは2年前…小6の時に知りました。国内のいくつかの大学の先生方による共同研究イベントに参加させてもらったことがあって。その時は、環境DNAを採ってそれを研究機関に送って、後日検出結果を聞くというところまでさせてもらったのですが、そのあとどのように種の特定をするのか、この図鑑を読んでわかりました。ちなみにぼくは福岡の博多港で採水して取りだした環境DNAを調べてもらいました。検出結果をみるとそこには海水魚にまぎれてフナやオイカワなど川の淡水魚のDNAも出ていました。あまり流れがはげしくないように見えても、川から海へ水が流れてきて繋がっていることや地域の生態系もよく分かります。水を汲むだけなので生き物を捕獲して傷つけたりもしないし、岸壁とかにいて普段釣れないような魚も確認できて嬉しかったです。採水する作業も楽しいし、たとえば夏休みの実験キットとかで環境DNAを採取できるものがあれば面白いだろうなあと思っていました。お魚が好きな子たちじゃなくても「こういうところにこんなお魚がいるんだ」とわかって、生きものがすぐそこにいるんだというのが実感できるんじゃないかなって。ぼくも簡易キットとかがあったら、多分毎日学校帰りに海とか川へ行ってやると思います(笑)。



――図鑑の中で、もっとこうしたほうが良かったというところはありましたか?
表紙をめくったところにあるカクレクマノミのページに監修の先生方のお名前がありますが、お顔の写真もあったほうがどんな雰囲気の人かわかるので良かったかなと思いました! あと、13ページのアカエイの写真でえらあなが5列ずつあるというところが、この写真だと見にくいですね。ただ、この写真はアカエイの顔がかわいいとは思います(笑)。



――柚貴くんはいま九州沖縄の漁業を応援する番組「ウオカツ!」(NHK総合)にご出演中ですね! 
ぼくが参加させてもらったのは対馬、鹿児島、沖縄、呼子…と全部九州地方なんです。九州沖縄とひとくくりに言っても、場所によって全然お魚の種類が違ったりするんですね。毎回色んな漁業の方や魚に出会えて、その土地の魚料理を知ることができて、それを伝えられるのがすごく楽しいです! また九州には日本のここにしかいないお魚っていうのもいます。たとえば有明海・八代海のムツゴロウとかもそうですね。あとホシレンコというタイのなかまがいるんですけど、世界で見ても日本の鹿児島の奄美大島近辺にしかいないお魚なんです。なぜかそこにしか生息していない。でも奄美大島ではそんなに珍しい種じゃないらしくて、そこでタイっていうとホシレンコを指したり、お祝いがあるとホシレンコが出てきたりするらしいです。日本では西表島(いりおもてじま)でしか見られないウラウチフエダイも海外でも見られますが、ホシレンコみたいに奄美大島だけというのはすごく珍しいと思います。いつか奄美大島に行ってホシレンコを食べてみたいですね!

――柚貴くん、ありがとうございました!(編集部)

【伊藤柚貴くんプロフィール】



伊藤柚貴(いとう・ゆずき)
2008年生まれ。福岡県在住。2019年8月「日本さかな検定」1級に史上最年少の小学5年生で合格。6歳の頃から自分が食べてきた500種以上の魚のほとんどをスケッチし、それら全てについて独自の基準で格付けした「魚食ノート」をもとに2020年7月には『さかな博士のレアうま魚図鑑』(日東書院本社)を刊行。「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日系列)や「ウオカツ!」(NHK総合)など数多くのメディアにも出演する。現在、ヨメルバで「伊藤柚貴のおいしいお魚でなに作る?」を連載中。釣りや魚をさばくのも得意で、本格的な包丁を使った調理もする、現在中学二年生。

■お知らせ■

①柚貴くんからのお知らせ
【ゆずきのお魚大好き日記】
Twitter(@osakanasuki_yz)に、ぼくが作って食べている魚料理や旅先で出会った魚などを投稿しています。良かったらのぞいてみてください♪ 

②編集部からのお知らせ
2022年6月8日に角川の集める図鑑GET!シリーズ待望の魚図鑑『GET!魚』が発売されました! イベントなどの最新情報は編集部公式Twitter(@ZUKAN_GET)をチェックしてみてください!



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