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学校の先生や司書を目指す現役大学生が、人体図鑑を本気レビュー!! レビュアー:東京学芸大学3年 三堀栞奈


KADOKAWAが刊行する図鑑シリーズ『角川の集める図鑑GET!』より、人体図鑑が発売されました。そこで、将来学校の先生や図書館司書になるために勉強中の現役大学生6名に、学生としての目線、未来の教育者としての目線、双方から本気でレビューしてもらいました!!



レビュアー:東京学芸大学3年 三堀栞奈

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図や絵、色が使い分けられていて見やすい



『角川の集める図鑑GET! 人体』では、1つの見開きの中で、3種類の画像が使い分けられています。器官を示すときは、リアルなイラストで表され、その器官の仕組みを解説するときはデフォルメされたイラストが矢印や色分けで分かりやすく教えてくれます。そして、具体的なイメージや資料を示すときには、写真が用いられています。示す内容に合わせた画像の使い分けがされて、情報がより伝わりやすいです。

また、本編は7つの章ごとに色分けがされています。この色分けは目次に反映されているだけではありません。本編の背景の色や小見出し、重要な語句にも適用されているのでぱっと見で判別できます。章ごとに色で統一されているので、視覚的にとてもスッキリして見えます。

 

多様なトピック



人体図鑑といえば、身体の機能を図や絵で解説するものというイメージをお持ちではないでしょうか。1回見たら満足して読んだきりになってしまう人もいるかと思います。私も実際に読む前はそんな風に思っていました。GET!ではほとんどのページの右下にマメ知識や内容と関連したQ&Aなど、その器官について多角的な情報を得ることが出来ます。1度本編を楽しんだ後でも、マメ知識だけを拾って読んでみたりとメインとなる情報と結びつけて考えてみたりと、色んな楽しみ方が出来ます。読んでいくうちに、一つの器官にも色んな機能や特徴があるという横の比較を行えます。

それぞれの章の終わりにある特集ページでは、人類の誕生、古代の医療、感染症の流行などの話題がまとめられています。現代の感染症といえば外せない、新型コロナウイルス感染症などいわゆる、生物学的な要素に、さらに歴史的な観点で古代から現代の多様な視点で人体について考えることが出来ます。歴史の中でどんな発見がされて来たのか、どういう治療が確立されて来たのかを知れます。つまり、人体をテーマとした、時代の縦の比較が行えてしまうのです。 このように、多様なトピックと言っても内容が雑多にある訳ではありません。何回も読んでいくことで、自分の中の知識が体系的に結ばれるところが、図鑑として新しいところだと感じました。

自然と「主体的・対話的で深い学び」を得られる



主体的・対話的で深い学びという言葉はご存知でしょうか。これは学校教育の基準となる、学習指導要領の29年告示、最新版で登場した言葉です。能動的な学習とも言い換えられます。今日の学校現場で実施されている、主体的・対話的で深い学びをこのGET!でも出来てしまうのです。

各章は健康を保つための生理現象やヒトの誕生などの幅広いテーマに分けた章立てをされています。大体の人体図鑑は身体の部位ごとに分け、大きい組織から小さい器官へ、頭の上から下へ解説していく物が多いですが、GET!はテーマに分けた構成になっていることが他にない大きな特徴だと思います。そのおかげで、自然と各テーマを探究して学べるようになっています。例えば、2章は「動かす」がテーマになっており、同じ動かすでも上肢と下肢のそれぞれの役割と機能、特性の違いを知ることが出来ます。そして、見比べた上で上肢と下肢の「動かす」の根源となる骨や関節、筋肉はどういう仕組みなのだろうかと深掘り出来るようになっています。図鑑としてただ図や絵を眺めるのではなく、読み進めることで主体的で深い学びに繋がります。

他には、錯視を通じて脳が騙されていることを体験するコーナーや、身体の不思議を学んだ上でこんな動きができるか挑戦するコーナーもあります。受動的に読むだけでなく、自分の身体を使った能動的な実践も出来ます。1人で出来るものから、2人でやるものもあるので親子や友だち同士で一緒に対話をしながら学ぶことが出来ます。



さらに小学校理科の学習指導要領では、人体のような「生命」(生物)関する分野は“共通性と多様性の視点で捉えることが大事”だとされています。本書では比較コラムと題して相同器官を取り上げたコーナーもあります。比較を通して共通性と多様性に自然と気づかせるような手立てがされており、細かいところも学習指導要領が踏まえられています。

まったく新しい人体図鑑

以上のおすすめポイントをまとめていくと結局は「全く新しい図鑑」という結論に至ります。GET!というタイトルの通り、ミッションをクリアすることで自分だけのオリジナル図鑑を作れることが新しいのはもちろん、多種多様なトピックでまるで読み物のように読めてしまいます。そして、読み進めて行くうちに自然と主体的・対話的に深い学びが得られるからです。私が小学生の頃にこんな図鑑があったら、間違いなく読み込んでいたと思います。皆さんもぜひ、お手に取ってご覧ください!

【ライタープロフィール】
東京学芸大学3年 三堀栞奈

【子供のころの図鑑の思い出】
小学生の頃は、地元のプラネタリウムに通っていたこともあり天体に夢中でした。そのため図書館に行くと、毎回必ず天体図鑑を読んでいました。天文学的な話はもちろん、それぞれの星座にまつわる神話も好きでした。あれから10年経った今も遅くなった帰り道の夜空を眺めては、図鑑に書いてあったことを思い出しています。


監修:坂井 建雄

定価
2,200円(本体2000円+税)
発売日
サイズ
A4変形判
ISBN
9784041118542

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