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これまでの図鑑には載っていなかったレアな昆虫も! 昆虫博士・丸山宗利氏が語る「図鑑GET! 昆虫」の魅力

『角川の集める図鑑GET!』は、「考える力を育む“新しい”図鑑」をコンセプトに創刊された学習図鑑シリーズ。第1弾として3冊同時発売された『恐竜』『動物』『昆虫』の中から、『昆虫』の総監修を務めた丸山宗利先生にお話を伺いました。


角川の集める図鑑GET! 昆虫


これまでの図鑑には載っていなかったレアな昆虫も

―― 『角川の集める図鑑GET! 昆虫』は、分類別ではなく生息地域別で昆虫を紹介しているのが大きな特徴ですね。このような図鑑はめずらしいのでしょうか。


熱帯アジア、ユーラシアなど生物地理区ごとに章立てされている。


もう絶版になってしまっていますが、昔、『図説 世界の昆虫』(阪口浩平著、保育社)という6冊セットの図鑑があったんですね。世界の昆虫を地域別で紹介する、昆虫好きにとっては伝説の図鑑みたいなものなんですが、生息地域別の昆虫図鑑というのはおそらく、それ以来じゃないかと思います。

―― 世界の昆虫を生息地域別に紹介するということで、標本の入手にも苦労されたそうですね。

東南アジアや南米、アフリカには、大きくてきれいな虫がいるので、標本が多く流通しているのですが、アメリカやヨーロッパの虫については標本があまり出回っていません。だから世界の昆虫図鑑のほとんどは、東南アジアや南米、アフリカの昆虫ばかり偏って掲載しているんです。

それが今回この図鑑では、地球を5つの大陸と生物地理区をもとに、6つの地域に分けて昆虫を紹介しています。標本の多い少ないに関わらず、どの地域も万遍なく掲載する必要があったんですね。めずらしい標本を入手するのがとにかく大変で、海外からも輸入したりしましたが、結果的に、これまで図鑑に載っていなかった虫をたくさん紹介することができました。虫に詳しい子でも初めて見るような虫が多く載っているはずですので、すでに他の昆虫図鑑を持っている場合でも、2冊目としておすすめしたいですね。



―― 生息地域別で見せることの利点として、どんなことが挙げられますか。

やはり各地域の特徴がひと目でわかることですね。今までのような分類ごとの図鑑だと、その中からこれはアフリカの虫、これは北米の虫と探さなければいけなかったけれど、地域ごとにまとまっていれば、各地域にどんな虫がいるかがすぐにわかりますよね。たとえば北米だと、南米の虫に近いものがいるとか、そういった地域的な特徴を示すのにも都合がいい。生物地理という学問がありますが、子どもの頃から生物地理学的な考えでものを見れるというのも素晴らしいなと思います。

丸山先生撮りおろしの美しい標本写真

―― これまでに『きらめく甲虫』(幻冬舎)や『驚異の標本箱』(KADOKAWA)といった昆虫写真集を出版されている丸山先生。写真にはかなりこだわりがあったのではないでしょうか。

そうですね。まず、クワガタやカブトムシは真上ではなく、斜め前ぐらいから撮影して、立体感を出すようにしました。光の当て方を変えながら、1種の虫につき10枚ほど撮影して、その中から一番特徴が出ている写真を選んでいます。タマムシなどの光沢のある昆虫は、きらっと光るように撮影しました。バッタやコオロギなど、標本にすると色が変わってしまう昆虫は、自分で捕まえに行って、麻酔をして生きたままの状態で撮影したものもあります。



それから、標本写真のサイズは実物大というところにこだわりました。あまりに小さい昆虫は拡大して、拡大率を記しましたが、それ以外は実際のサイズのまま掲載しています。ページからはみ出そうなサイズの昆虫もいますが、迫力やリアリティを感じてもらえたらなと。 写真については特に力を入れたので、これまでの昆虫図鑑の中で一番いいものになったと自負しています。

―― 丸山先生の中でこれ!という目玉となる虫はどれですか。

ユーラシア最大のタマムシ、アータフトタマムシでしょうか。たまたま僕の勤める九州大学総合研究博物館に標本があったんですが、日本に標本が1つか2つしかないという、めずらしいタマムシです。



あと、幻のチョウと言われるブータンシボリアゲハを撮影したときは、カメラを持つ手が震えましたね。今回この図鑑のチョウの監修を担当してくださった矢後勝也さんらの調査隊が、10年前にブータンで78年ぶりに再発見したというもので、正式な標本は日本には2頭ほどしかありません。東京大学総合研究博物館まで行って撮影させてもらいました。

―― 「ギアナ昆虫採集記」や「新種発見の道のり」といった、昆虫好きの子どもたちの心をくすぐるコーナーもあって、見応えがありますね。



僕は同世代の研究者のうちで一番海外に調査に行った経験が豊富だと思うので、今回の図鑑ではその経験を存分に生かすことができました。ボルネオの森やナミビアの砂漠など、各章ごとにそれぞれの地域の昆虫の生息環境を見開きの絵で見せるページがあるんですが、そこで描かれている光景も、僕が実際に調査に行ったときの記憶をもとに描き起こしてもらっているんです。だから、これまでの図鑑と比べてより臨場感ある再現図になっていると思います。



伝えたいのは、昆虫の多様性

―― この図鑑には、角川まんが科学シリーズ「どっちが強い!?」のキャラクターが登場、プロローグとエピローグにコミックが載っていたり、吹き出しで情報を補完したりしています。

「どっちが強い!?」シリーズは、僕も『カブトムシvsクワガタムシ 昆虫王、決定戦』など4冊を監修しているので、キャラクターにはなじみがありました。僕が子どもの頃に読んでいた図鑑にはキャラクターは登場しませんでしたが、人気のキャラクターが登場していると、ぐっと親しみがわきますよね。キャラクターをきっかけに図鑑を手に取る子どももいると思いますし、実際に図鑑を読んだ子が、キャラクターが出ていることで喜んで見ているという話も聞いています。

―― 図鑑で昆虫に興味を持った子どもたちには、昆虫採集をおすすめしますか。

そうですね。どんどん採集に行くといいですよ。ひと昔前、昆虫採集は自然を破壊するからよくない、などという風潮が広まった時期もありましたが、最近ではそんなことを言う人もいなくなりました。実際には、子どもが少しくらい虫を捕まえたところで環境への影響はありません。むしろ虫のことをまったく知らずに環境破壊してしまうことの方が怖いくらい。だから、興味を持ったらぜひ捕まえるところから始めてみてください。捕まえて、飼ったり標本にしたりすることで得られるものはたくさんあって、それがいつか、かけがえのない財産になっていきますから。

―― 『角川の集める図鑑GET! 昆虫』を通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか。

一番伝えたいのは、昆虫がいかに多様かということ。昆虫の魅力はやはり、まだわかっていないことがたくさんあることだと思うんです。世界にいる生物種の半分以上は昆虫で、100万種以上が知られています。さらに、実際にはその5倍か10倍くらいいるかもしれないと言われています。その膨大な数の昆虫が、それぞれ違う姿かたちをしていて、違う暮らしをしている。それってすごいことですよね。

昆虫への入り口は、すごいな、かっこいいな、きれいだな、というところからでいいと思います。まずは図鑑をぺらぺらめくって、ただ眺めて、「これ捕まえたいな」なんて妄想してみてもらえたらと。大人にとっても見応えのある図鑑になっているので、ぜひ親子で楽しんでもらいたいですね。

取材・文:加治佐志津

丸山宗利(まるやま・むねとし)
1974年東京都出身。北海道大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。国立科学博物館、フィールド自然史博物館(シカゴ)研究員を経て、2017年より九州大学総合研究博物館准教授。アリやシロアリと共生する昆虫の分類学や系統学が専門。国内外で数々の新種を発見している。研究のかたわら、さまざまな昆虫の撮影を行なう。著書に『昆虫はすごい』(光文社新書)、『きらめく甲虫』(幻冬舎)、『丸山宗利・じゅえき太郎の昆虫手帳』(実業之日本社)、『驚異の標本箱-昆虫-』(KADOKAWA)など。

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