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先行ためし読み!『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』第3回


みんなにナイショで、あたし、つくっちゃうよ。プロの舞台!

あたし、こころ。人と話すのは超ニガテだけど、セリフを妄想するのがトクイな中学1年生! でも……「妄想ノート」を学校でなくしちゃった!?
2026年6月10日発売の『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』(深海ゆずは・作、tanakamtam・絵)を、先行ためし読みできちゃう!
大人気「こちらパーティー編集部っ!」「スイッチ!」「七色スターズ!」シリーズの深海ゆずはさんがおくる、元気とトキメキいっぱいの【お仕事×学園ラブコメ】はじまるよっ☆



『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』
深海ゆずは・作 tanakamtam・絵
6月10日発売予定!



「兄貴(=プロ)の代わりに舞台の脚本を書け」って、どういうこと!? 「ぜったいにムリいいいいいっ!」と叫ぶこころに、リオウがかけた言葉は……? ためし読み第3回、始まるよ☆


※これまでのお話はこちらから

【3】「脚本」って、何なのさ!?

 ちょっ、ちょっと待って。とりあえず深呼吸しよう。

 スーハー、スーハー、ギュムッ!

「いたっ!」

 目の前にいた村雨リオウの頰を思いきりつねると、ヤツは顔をおさえて悲鳴をあげた。

「――人の顔をつねるなんて、いい度胸してますね」

「いや、夢でも自分の頰でためすのは痛そうで――」

 ギロリとにらまれ、あたしはあわてて下を向く。

「――ということは。え? これ夢じゃないの!?」

「残念ながら夢じゃないようですね」

 リオウに頰をつねりかえされ、あたしは悲鳴をあげた。

「いったー! ……ってことは、本当に現実なんだ!」

 ヤレヤレという感じで、リオウが大きくため息をつく。

「舞台の脚本担当って、村雨チハル? ――まさか、本当にリオウのお兄さんなの!?

 普段は笑顔かすまし顔なのに、ものすごくイヤそうな表情のまま、リオウはうなずいた。

 映画でもドラマでも、脚本家の名前って覚えてなくない?

 だけど村雨チハルは別!

 大ヒットドラマをいくつも手がけてるだけでなく、カリスマとして特集も組まれる脚本家だ。

「中学生が村雨チハルの代わりに、大人気舞台の脚本を書くって不可能すぎる!」

「大丈夫。問題ありません。優秀な俺がいますから」

 かーっ。何たる自信!

 いくら学園パーフェクトといわれるアナタ様がいらっしゃっても、ムリだって!

 あたしは引きつった笑顔で、ブンブンと首を横にふる。

「どうせ相談するなら、演劇部か文芸部は? あたしは一人で妄想してるだけだし!」

「一人だからいいんです」

 へ? どういうこと?

「村雨チハルが失踪したことは、俺とこころさんと、もう一人しか知りません。そんな中で、この情報が世にでたら、犯人はこころさんしかいませんからね」

 え? それって、とんでもないヒミツを聞いちゃったってことじゃないの!?

 あたしはダラダラと冷や汗を流す。

「今月から舞台の稽古がはじまります。それまでに脚本を書いてください」

「いやいやっ、ノートの中身、読んだんでしょ!? ムリだって!」

「何が、ムリなんですか?」

 リオウの冷静な問いかけに、あたしはグッと拳に力をいれる。



「だって……あたし、小説なんて書けない」

 物語が大好きだから、小説を書こうとしたことは何度もある。

 だけどセリフ以外が苦手すぎて、いつもZA・SE・TSU!(涙)

 妄想は好きだけど、小説を書くことはあきらめたんだよね。

「アホですか。こころさんは」

 はあっ!? なんでそんなにバカにされないといけないの!?

 グッとにらみつけると、リオウはまるで緊張をほぐすかのように、優しく目を細める。

「だれが小説を書いてくれなんて言いました?」

「え?」

「俺が書いてほしいのは、舞台の『脚本』です」

「脚本……」

『脚本』って聞いたことはあるけれど、イマイチどんなものなのか、わかってない。

 そのことに、今気づく。

「普通の人は、脚本を見たことはないでしょうから。わからなくても、ムリはないですけどね」

 机に腰をかけていたリオウが、よいしょと立ちあがる。

「こころさん――本物の脚本、見てみたくないですか?」

「本物の脚本?」

 きょとんとした顔で聞き返すと、リオウはゆっくりとうなずく。

「村雨チハルの書いた脚本です」

 そ……それは読んでみたいかも!

 条件反射で「はい!」が口から飛びだしそうになり、グッとこらえる。

「今日、本屋さんで買って読んでみる!」

 あたしの言葉にクスリとリオウは笑う。

「残念。村雨チハルの脚本は、1冊も本屋に売ってません」

「えー! そうなの!? なんで!?」

「脚本は作品じゃない。脚本をもとに作られた世界が、本当の『作品』だからです」

 リオウの言葉に、あたしは目を見ひらいた。

「脚本の取りあつかいは慎重で、関係者以外は手に入らない。しかもだれから流出したかわかるようにナンバーまでふって、世にでないようにしています」

 えええっ。そんなに貴重なものなの!? よ……読みたすぎるっ!

「どうしますか?」

 今と日常が変わってしまうような恐怖感は『いくな』と言い、ワクワクするような好奇心は真逆の言葉をうったえかけてくる。

「どうします?」

 普段のあたしだったらぜったいに逃げだすのに――。

「――読みたい!」

 あたしは大きな声で、リオウに宣言していたのだった。


『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』
ためし読み 第4回につづく(6月2日公開予定)


作: 深海 ゆずは 絵: tanakamtam

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324115

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