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【先行ためし読み!】『くいなちゃんはゾンビ!』 第1回


【主人公が●んじゃってる】なんて……そんなのアリ!?
ごくフツーの小学生だったはずなのに、目が覚めたらゾンビになっちゃってた、くいなちゃん。それでも気を取りなおして、学校に通うことにしたんだけど、ちょ~たいへん!毎日がハラハラドキドキそして大爆笑(なんで!?)だらけ。次の章でなにがおきるか、まっったく予測不能な、最強ゾンビガール学園コメディ。しかも、な、なんとさし絵イラストがカラー!!みんな、ぜったいぜったい、見ててよねっ!




 

1 ドキドキしてない転入生っ!?



 うううう、キンチョーするっ!


 わたし、ワケありで、季節はずれの転入生。

 これから、クラスではじめて、あいさつするんだ。

 だから、すっごくドキドキしてる……。

 そっと、胸に手をあてた――――けど。


 ピクリ とも動いてないよ、

 わたしの心臓ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!


 ごめんごめん、いまのナシ!

 ドキドキは、ぜんっぜんしてなかった!


 心は、めちゃくちゃキンチョーしてるのにっ!

 やっぱり、この体、まだまだなれないよ~!


「――――……さん……存美(ありよし)さん」


「はいぃ!」

「自己紹介をおねがいします」

 気がついたら、いよいよだった。よしっ。


「存美くいなといいますっ。しばらく病気で休んでいたので、こんな時期に転入してくることになってしまいました」

 自己紹介をしながら、みんなの視線を強く感じた。

 注目をあびるのは、しょうがないと思う。

 9月後半になっての転入なんて、めずらしいし。なにより、わたしの見ためが、ね。


 わたしの体のあちこちには、包帯が巻かれてるんだ。

 そりゃあ、みんなびっくりするよね~。

 まんなかあたりの席にすわる、ただひとり「わたしの事情」を知っている、頼人(らいと)くんの心配そうな顔と、目があう。


 まあ、うだうだ考えてもしょうがない!

 わたしは、できるかぎり、明るい声を出した。

「スタートは遅れちゃったけど、クラスメイトのみなさんと、なかよくできればうれしいです。よろしくおねがいします!」

 そう言って、深く頭を下げると、ぱちぱちという拍手がおきた。

「ありがとう。それじゃ存美さんは、この列の一番うしろの席ね」

 先生に指示されて、わたしは自分の席にむかう。


 あれ、左どなりの席が空いてる?

 そう思ったとき、

   ガラガラッ

 うしろの出入り口から大きな音がして、ショートカットの女の子が教室へ飛びこんできた!


「おはようございますっ! 先生、セーフ!?」

「アウトだよ。大日南さん、はやく席につきなさい」

 あきれ顔の先生に指示され、大日南さんと呼ばれたその子は「は~い」と、自分の席にむかう。

 あっ。……わたしのとなりだ!


「おっ? どちらさま?」

 大日南さんはイスにすわると、さっそく、わたしに気がついた。

 くりっとした目でこちらを見て、たずねてくる。


「今日、転入してきたの。存美くいなっていいます。よろしくね」

「そうなんだ! あたしは大日南桃(おおひな・もも)! よろしく~」

 大日南さんはニコッと笑うと、すぐにランドセルを開けて教科書やノートを取りだしはじめた。

 よかった。

 明るいし、話しやすい子で……と思ったとき、


「ギャー! 1時間目の国語の教科書わすれたーっ」


 と、大日南さんがさけんだ。

「大日南さんがいると、朝からタイクツしないな……」

 先生がそう言って、笑いがおこる。

「ほかのクラスの子に借りないと~。ああ! でも、すぐに1時間目がはじまっちゃう!」


「あ、あの。わたしの教科書を、いっしょに使う?」

 大日南さんが頭をかかえているので、声をかけてみた。

「ええっ! ほんと? 存美さん、やさしい~!」

 大日南さんは、目をかがやかせて、わたしを見た。


 ガタンガタンと机を寄せて、わたしの肩を、ポンッとたたく。

 あはは、距離が近い子だな~。

 でも、ぜんぜんイヤじゃない。


 ふと大日南さんを見ると、きょとんと目を丸くしていた。

 自分の右手と、わたしを交互に見て、びっくり顔。


「――存美さんって体がすごく冷たいね? 服の上からでも、ひんやりしてる」

「!!!」


 あああ、しまった!


「あ……う、うんっ。わ、わたし、体温が、かなり低くてっ」

「ふぅ~ん」

 大日南さんは、それ以上は、つっこんでこなかった。


 ふぅ、よかった。と思いながら、頼人くんの席をちらっと見ると……

   ギンッ!

 と、きびしい顔でわたしを見てる!


 さっそくバレそうになってるじゃないか――

 って、言いたいんだと思う。



 だ、だって、しょうがないでしょ!?

 こまっている子がいたら助けたいし、いきなり体にさわってくるなんて思わなかったし……。



 1時間目が終わると、すぐに頼人くんがわたしの席へやってきた。

 そして、ひと言。


「――くいな。気をつけて」

「それは、わかっているけどっ」

 小声で言われたので、わたしもひそひそと返事をする。


「なになに? ないしょ話?」

 大日南さんを先頭に、さっそく、ほかのクラスメイトも近づいてきた。

 転入生って、めずらしいんだね。


「存美さんって、若月(わかつき)くんと前から知りあいなの?」

 って、みんなの目がキラキラしてる。


 わわわ。ど、どうこたえよう……。

 わたしがまごまごしていると、頼人くんがきっぱりと言った。

「幼なじみなんだよ。家が、となり同士でさ。

 ――あのさ、存美さんは長いこと病気だったから、学校生活もひさしぶりなんだ。つかれやすいと思うし、わるいけど、質問攻めにするのは、やめてあげてくれないか」


 それをきいたみんなは、ちょっとざんねんそうにしつつ、引きさがってくれた。

 ……ほっ。よかった。


 ――――頼人くんは、わたしの「ヒミツ」を守ろうとしてくれているんだ。

 その「ヒミツ」とは……

 わたしが、じつは、


 死  ん  じ  ゃ  っ  て  る  っ  て  い  う  こ  と ――!!!!!


 思わず元気に言いきってみたけど(心の中で)。


 いやー、びっくりするよねー。

 まさか、死んでるのに、動けるなんてねー。


 わたしの心臓は、たしかに止まってる。

 だから、ドキドキしないし、体温だって低いまま。


 なのに、どういうわけか、こんなふうに意識はあるし、体も動く。

 つまり――――


「ナゾの転入生・存美くいな」こと、わたしは……

 いわゆる「ゾンビ」なんですっ!


 わたしは、1週間前のできごとを、思いだしていた。

 長い、長――――――――――――――――い眠りから目覚めた、あのときのことを……。


第2回につづく

↓本には、こんな感じで、もっと楽しいしかけがいっぱい! 絶対見てね♫





書誌情報


作: 平河 ゆうき 絵: からあげたろう

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324061

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