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『すごすぎる身近な植物の図鑑』第2回 ヒガンバナの観察


「身近な植物」「どこでも・誰でも観察できる植物」にスポットを当て、意外と知らないトリビアや豆知識を詳しく紹介した一冊『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』。「見つけ方(探し方)」と「観察方法(見方、楽しみ方)」もわかる、今までにない観察図鑑のためし読みです。
※ためし読みでは、本書の内容の一部を抜粋してお届けします。

ためし読みで紹介する植物は…
第1回:セイヨウタンポポ
第2回:ヒガンバナ
第3回:オオバコ
第4回:トウモロコシ


第2回:ヒガンバナには葉っぱがない……わけではない <ヒガンバナ科 ヒガンバナ属>



 ヒガンバナのなぞ 
秋になると、公園や河川敷に突然現れるヒガンバナの花。見た目のインパクトが強いため、なかなか気がつきませんが、じつは花が咲いているときのヒガンバナには葉っぱがついていません。
実際に確認すると、地面から花がニョキッとのびていて、なんともふしぎな姿をしています(写真①)。
どうしてヒガンバナには葉っぱがないのでしょうか。もしかして、もともと葉っぱを持たない植物なのでしょうか。



繰返しヒガンバナを見に行く
植物の疑問は、何度も何度も繰り返し観察しているうちに、その答えがわかることがあります。
下記の3回、ヒガンバナを見に行ってみてください。

①ヒガンバナの花が出始めたとき(写真②)。
②花の盛りが過ぎたころ(写真③)。
③花が枯れて地上から姿を消したとき。


上記のどこかのタイミングでヒガンバナの葉っぱは見つかるでしょうか?


 





 花が終わったら、葉っぱが出てきた! 
花が咲き終わるころにヒガンバナの根元を見ると、今までなかったはずの葉っぱが出てきているのを発見できます(写真④)。
花が地上からなくなったころにまた見に行くと、葉っぱはさらにのびていて、とても元気そうです(写真⑤)。
これを見てわかる通り、ヒガンバナには、葉っぱがないわけではありません。花が咲くときには葉っぱがなく、逆に葉っぱがあるときには花がないので、その存在に気づきにくいだけなのです。
 ヒガンバナの別名の「葉見ず、花見ず」はこんなところからきています。




 植物にも夏休みがある 
多くの植物は、春から夏に葉っぱを出し、日の長さを活かして光合成をします。ですが、ヒガンバナが葉っぱを出すのは秋から春。日が短く寒い季節です。光合成には条件が悪いときに葉っぱを出すのは非効率に感んじますが、この方法にもメリットがあります。それは、冬はほかの草木のライバルが少なくなることです。背の低い植物は、頭上を草木に覆われると受け取れる光が少なくなりますが、冬はほかの植物が葉っぱを出していないので、降り注ぐ日の光を独占できるのです。
 



💡

夏に地上から姿を消し、地中で過ごす植物は、ほかにもあります。身近で見られる植物ならツルボや在来タンポポ、ノビルなどがそうなので、探してみてください。


次回は、オオバコ の観察についてお届けします。(4月3日公開予定)



好評発売中!『すごすぎる身近な植物の図鑑』




著者:鈴木 純

定価
1,430円(本体1,300円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046057099

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