
「身近な植物」「どこでも・誰でも観察できる植物」にスポットを当て、意外と知らないトリビアや豆知識を詳しく紹介した一冊『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』。「見つけ方(探し方)」と「観察方法(見方、楽しみ方)」もわかる、今までにない観察図鑑のためし読みです。
※ためし読みでは、本書の内容の一部を抜粋してお届けします。
ためし読みで紹介する植物は…
第1回:セイヨウタンポポ
第2回:ヒガンバナ
第3回:オオバコ
第4回:トウモロコシ
第3回:オオバコは誰かに踏まれたい? <オオバコ科 オオバコ属>

人の通り道はオオバコだらけ
土があれば植物は根をおろすことができます。でも、人がよく歩く場所ならどうでしょう。せっかく芽生えても、たくさん踏まれたら生きていけないように思います。
ためしに空地や広場などで人の通り道になっている場所を観察してみてください。「なにもないかな?」と思いきや、人の踏み跡に沿ってオオバコがびっしり生えていることがあります(写真①〜③)。
こんなに生きにくそうなところに、どうしてオオバコは生えているのでしょうか。

オオバコの種子はどんなしくみ?
公園の広場などが観察地として適しています。オオバコを見つけたら、地上部に立ち上がる茎を見て、実がついているものを探します。
写真④: 茎が地上に立ち上がっている。
写真⑤: これは花。
写真⑥: こっちが実。
オオバコの実と種子は、どんなしくみになっているのでしょうか。


カプセル状の実のなかから種子がポロポロ
オオバコの実は、キャップをかぶったようなつくりになっています(写真⑦)。このキャップを指でつまんで取ると、なかから種子が出てきます(写真⑧)。
種子が出てきたら、ここに水を垂らしてみてください。少し待ったら、細い棒の先でつついてみます。
すると、ビヨーンとネバネバがのびてついてきました(写真⑨)。どうやらオオバコの種子は水に濡れるとねばる性質を持っているようです。雨上がりに、実をつけたオオバコを手で叩くと、種子が手にくっついてくるので、ためしてみてください。

オオバコは人に踏まれて移動する
これでわかった方もいるでしょうか。じつはオオバコを運んでいたのはわたしたちだったのです。雨上がりにオオバコを踏むと、濡れてネバネバした種子が靴の裏にくっつきます。種子はそのままわたしたちと一緒に移動をするのです。人の通り道にオオバコが生えるのはそのためです。
オオバコの葉っぱをちぎると、なかから「維管束」という水分や養分の通り道が出てきます。このように葉っぱが丈夫なので人に踏まれたくらいではダメにならないようになっています(写真⑩⑪)。


オオバコの花茎を互いに絡ませて、先にちぎれたほうが負けになるオオバコ相撲。これは、オオバコが人に踏まれても大丈夫なくらい強いからこそ楽しめる遊びです。
次回は、トウモロコシ の観察についてお届けします。(4月10日公開予定)
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著者:鈴木 純
- 【定価】
- 1,430円(本体1,300円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046057099