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『すごすぎる身近な植物の図鑑』第1回 セイヨウタンポポの観察


「身近な植物」「どこでも・誰でも観察できる植物」にスポットを当て、意外と知らないトリビアや豆知識を詳しく紹介した一冊『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』。「見つけ方(探し方)」と「観察方法(見方、楽しみ方)」もわかる、今までにない観察図鑑のためし読みです。
※ためし読みでは、本書の内容の一部を抜粋してお届けします。

ためし読みで紹介する植物は…
第1回:セイヨウタンポポ
第2回:ヒガンバナ
第3回:オオバコ
第4回:トウモロコシ


第1回:セイヨウタンポポは小さな花の集合体! <キク科 タンポポ属>



 綿毛にまつわる疑問 
黄色い花を咲かせ、すぐに綿毛をつけるセイヨウタンポポ(写真①〜③)。綿毛をフーッと吹いて飛ばしながら、こんな疑問が出たことはありませんか? 「どうしてセイヨウタンポポはこんなにたくさんのタネをつけるのだろう。花はひとつなのに」と。
疑問が出たら、どうやってたしかめればいいか考える。これが植物観察の基本。観察に正解はありません。本書ではわたしなりの方法を紹介していきますが、これに縛ばられず自由に楽しんでみてくださいね。



セイヨウタンポポをほぐしてみる
実やタネになる前に花が咲くことはコナラ(P10)でたしかめました。ということは、花をよく観察すれば、このタネの多さの秘密がわかるかもしれません。

①セイヨウタンポポの花をひとつ採り、まずはそのままの状態で観察。
②次に花をバラバラにほぐして観察(写真④)。


小さなパーツにわかれたセイヨウタンポポは、どんなかたちをしているでしょうか?


 





 もしかして、これが花? 
バラバラにしたもののひとつを拡大して観察すると、なんだか複雑なかたちをしていることがわかります(写真⑤)。
先端にあるクルッと巻いている部分、ここがめしべ。そして、いちばん下の少しふくらんでいる部分(子房)が、のちにタネとなる部分です。ということは、この小さなひとつがセイヨウタンポポの花だと、考えてもいいのでしょうか。




 花びらは5つにわかれ、綿毛の準備まであった 
次に黄色くのびた部分に注目。先端が5つにわかれています(写真⑥)。じつはこれがセイヨウタンポポの花びらです。わかりにくいですが、めしべの下のふくらんだ部分におしべもちゃんとあります(写真⑤)。
タネの元になる子房のそばには毛があります。これは「がく」が変形した冠毛(写真⑤)で、花が終わると綿毛になります。こんなときから飛ぶ準備をしているのです。
これで、この小さいものひとつひとつが花そのものであることがわかりました。花をすべてバラバラにすると写真⑦⑧のようになります。この花の数はなんと148個! これがそれぞれタネになるのですから、あれだけたくさんの綿毛がつくことにも納得です。

 



💡

セイヨウタンポポのタネやコナラ(P10)のドングリは、種子に見えてじつは実です。コナラはかたい殻に覆われた「堅果」、セイヨウタンポポは種子につく果皮が薄い「痩果」です。


次回は、ヒガンバナ の観察についてお届けします。(3月27日公開予定)



好評発売中!『すごすぎる身近な植物の図鑑』




著者:鈴木 純

定価
1,430円(本体1,300円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784046057099

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