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ものがたり

『宇宙級初恋』先行連載 第6回 もっともっと知りたい


となりのおうちにひっこしてきたのは、地球でいちばんカッコいい男の子!?

学園ラブコメ「ぜったいバレちゃいけません!!!」で大人気♡ 水無仙丸さんの新シリーズは、
反則級にときめくカレと、地球でいちばんステキなロマンチックラブ♡

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運命の人っているのかな?
そもそも、出会ったその人が運命の人ってどうやってわかるんだろう?

だけど。
この地球の遠くの向こう、
何光年も先からやってきたキミと出会って、
ひと目見て分かったよ。

キミがわたしの運命の人だ、って──

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前代未聞の宇宙級「ご近所」ラブ♡♡♡
となりの家に引っ越してきたルカくんは、反則級にカッコいい! ルカくんのこと、もっともっと知りたいよ――!

6.もっともっと知りたい

「──いってらっしゃい。気をつけてね」

 朝食を食べたあとは、ルカくんが玄関先で見送ってくれた。

 朝日に照らされて、ほほえみながら手をふるルカくん。

 ううう……。

 朝食をつくらせて、見送りまでさせて。

 うれしいんだけど、罪の意識でどうにかなりそう……っ。

 お兄ちゃん、ぜったいにゆるさん!

 

「──宇宙人のニュース、見た!?」

 学校へ行くと、校内全体が大騒ぎになっていた。

 そりゃあそうだよね。

「あ、つばさちゃん来た!」

 教室に入ると、ドドドドッとみんなが私のもとへ押しよせた。

「つばさちゃんちの、となりなんでしょ!?」

「もう会ったの!?」

「どんな感じ?」

「会話した?」

「言葉は通じるの!?」

 そ、そんな一度に聞かれたら答えられないけど、とにかく──。

「すごくやさしい人たちだよ」

 私がそう言うと、みんなは「ほんとにい────!?」と、さらに大騒ぎ。

「宇宙人て、こわいんじゃないの?」

「私たちのこと、頭からバリバリ食べちゃうんじゃないの?」

 みんなはラーナ星人のこと、まだよくわかってないみたい。

 あんなにステキで、礼儀正しい人たちなのになあ。

『──たまご、ついてたよ』

 ルカくんの笑顔を思い出す。

 胸に、ポッと灯りがともったみたいに、あたたかくなる。

(あんな男の子、いるんだなあ……)

 なんか、私のことをとっても大切にしてくれた……ような気がする。

 すごくやさしかった。

 なんでも話したくなっちゃうような感じ。

 不思議だなあ、まだ会ったばかりなのに。

 ルカくんのこと、もっともっと知りたいなあ──。

「──宇宙人の家、お前んちのとなりなんだってえ?」

 竜晴と男子たちが、にやにやしながらやってきた。

 あー、はいはい、そろそろ来ると思ってたよ。

「お前の家、宇宙人にのっとられるんじゃねえ? 逃げたほうがいいぞぉ~!」

 竜晴が、おどかすように言う。

 そんな人たちじゃない、と言おうとしたけど、やめた。

 ルカくんのことを竜晴に教えるのは、なんだかもったいないような気がして。

 そんなことよりも、

「──ねえ竜晴。昨日、私んちに電話かけてきたんでしょ?」

 私が話題を変えると、竜晴は「あー」と頭をかきながら目をそらす。

「つかお前、まだスマホ持ってねーの?」

「うん、ほしいってお父さんに言ってるんだけどね」

 そうだよ、スマホさえあれば、あんな風に家族にからかわれることもなかったのに。

「──で、私になにか用だったの?」

 と聞くと、竜晴は肩をすくめて、

「別に。野球チームのやつらが、かけろってうるさくてさ」

「はあ? 野球チーム?」

 竜晴は野球チームに入ってると聞いたことがある。

 でもそれで、なんで私の家に電話をかけてくるの?

 さらに聞こうとしたけど、竜晴は男子たちとUFOの話題で盛りあがりはじめてしまった。

(まあ……どうでもいいか)

 竜晴のことを考えるなんて、時間のムダだし。

「宇宙人てさ、テレパシーつかえるんかな!?」

「地球を侵略しにきたかも!」

「やべー! 地球滅亡するんじゃね!?」

 男子たちが、宇宙人のことで騒いでいる。

 地球滅亡という言葉を聞いて、ふと思い出した。

 そうだ、ちょっと聞いてみようかな。

「──ねえねえ、みんなはさ、地球最後の日になにがしたい?」

 すぐそばにいる女子たちに質問してみた。

「えー、とつぜんなにそれ?」

「おもしろそう! 心理テストみたいなやつでしょ!」

「急に聞かれてもなあ~、ええっとそうだなあ~」

 女子たちが、たのしそうに考えはじめる。

 すると、

「はいはいはい! 俺はねえ、むかつくやつを、ぶんなぐりにいく!」

 ちかくにいた男子が、強引に話に割り込んできた。

「すっぱだかで街を歩く!」

「じゃあ俺は、立ち入り禁止の場所に入る!」

「コンビニのお菓子を、金はらわずにその場で食う!」

 いや、男子には聞いてないんだけど。

 うんざりしてたら、竜晴までもが、

「俺だったらそうだなあー、その辺のバイクとか塀とかを、バットでめちゃくちゃにたたいて、ぶっこわす!」

 と、得意げに笑った。

 ──うわあ、サイアク。

 この質問で、「どんな人なのか、なにを一番大切にしているのかが、すこしだけわかる」ってお母さんは言ってた。

 地球最後の日なんだから、ふだんできないことをやろうとするのは、ちょっとわかるけど。

 なんでこんなに迷惑行為が多いかな。

 それがふつうなのかな。

 私がおかしいのかな……。

 そこで──ふと思う。

 遠い宇宙からやってきたルカくんは、なんて答えるだろう。

 

 

 ──次の日。

 土曜日だから、学校はお休み。

 朝から雨がしとしと降っていて、なにをするにもやる気が出ない。

「あれ、ハンコどこだ。……ないな。サインでいいか……」

 寝おきでボサボサ頭のお父さんが、玄関のほうでなんかゴソゴソやってる。

「なにしてるの、お父さん」

「いやー、ハンコが見つからないんだ。サインにしとくわ」

 回覧板に、サインをしている。

「じゃ、ちょっとおとなり行ってくる」

「わ! 待ってお父さん!」

「ん?」

「おとなりって……ルカくんちに持っていくんだよね? 私が行くよ!」

「どうしたんだ急に。お前いつも回覧板めんどくさいって……」

「私が持っていくってば!」

 回覧板をもぎとって、外へダッシュ。

 うしろでお父さんがなにか言ってたけど、おかまいなしに庭へとびだした。

(ルカくんと話すチャンス! 回覧板をまわすぞおー!)

 いやほら、昨日、朝ごはんをつくってもらったでしょ?

 そのお礼をしたいんだけど、なにがいいかわからなくて。

 だからルカくんの好きなものとかを聞いて、お礼のヒントにしたいなあと思って。

 それに、ルカくんのこといろいろ知りたいし!

 私はスキップしながらルカくんの家へむかう。

 いつの間にやら雨はパラパラとした小降りになって、空も明るくなりはじめている。

 もうすぐ晴れそうだ。

 

 ──ルカくんちの前に行くと、家の中からきれいな音楽が聞こえる。

(だれかが演奏してる? それともテレビの音? インターホン鳴らしていいのかな?)

 きれいな音楽のジャマをしたくなくて、鳴らすのをためらってしまう。

 門扉がすこし開いているので、そうっと庭の中へ入った。

「おじゃましまーす……」

 小声でつぶやきながら、きれいに手入れされた庭の中をゆっくり歩く。

 家にちかづくにつれ、音楽が大きくなってきた。

 一階に、大きな窓があって、白いカーテンがゆれている。

 その窓辺にちかづいていくと──ルカくんがバイオリンをひいていた。

 ──うわあ、きれい。

 まるで映画のワンシーンみたい。

「──つばさちゃん」

 ルカくんと目が合った。

 私は、はっと我にかえる。

「……あっ、ごご、ごめんなさいっ、門がっ、開いてたから!」

「ぜんぜんいいよ。あ、うちの両親に用事? 今二人とも出かけてて……」

「いやいやちがうのっ、回覧板を持ってきただけなんだけどっ」

「カイランバン?」

「あ、えっと、これはね、地域のお知らせとかがのってて、たまにまわってくるやつなんだけど。読み終わったらここにハンコを押して、つぎの家にまわすんだ」

「へえ、おもしろそう。くわしく教えてよ。よかったら上がっていかない?」

「えええええっ!」

 い、いいのかなっ?

 てか、回覧板の説明は、これ以上くわしくとか、ないんだけどっ!

 でもルカくんとおしゃべりしたいから、おことばにあまえて!

 

ルカくんのおうちにおじゃまします! 次回、まさかの「告白」――えっ!?


第7回に続く>

【書誌情報】

1月発売予定の胸キュン新シリーズ『宇宙級初恋』!
地球でいちばんステキな男の子と、ウルトラ級にときめく初恋がはじまります!


作:水無仙丸  絵:たしろ みや

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322593

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