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ものがたり

『宇宙級初恋』先行連載 第4回 これからよろしくね!


となりのおうちにひっこしてきたのは、地球でいちばんカッコいい男の子!?

学園ラブコメ「ぜったいバレちゃいけません!!!」で大人気♡ 水無仙丸さんの新シリーズは、
反則級にときめくカレと、地球でいちばんステキなロマンチックラブ♡

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運命の人っているのかな?
そもそも、出会ったその人が運命の人ってどうやってわかるんだろう?

だけど。
この地球の遠くの向こう、
何光年も先からやってきたキミと出会って、
ひと目見て分かったよ。

キミがわたしの運命の人だ、って──

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4.これからよろしくね!

 見たことのない、不思議な色をした瞳。

 星がちりばめられたみたいに、キラキラしてる。

 長いまつげ。

 筋のとおったきれいな鼻。

 桜色のくちびる。

 ぶつかった相手は、とんでもない美人──。

「ごめんね、大丈夫?」

 ──女の子かと思ったら、よく見ると、男の子だった。

 はじめて会ったのに、なぜだろう。

 瞳を見ていると、なつかしい感じがする。

 私の心が、「これでもう大丈夫だ」と、うったえている気がする。

 体がふわっと軽くなって、そう、これはきっと──「安心」だ。

 こんな感覚、はじめてだ。

「どこもケガしてない?」

 男の子が、私に手をさしのべてくる。

 そのしぐさが、まるで王子さまみたいで。

「だ、だ、だいじょうぶですっ!」

 手をとらずに、自分で立ちあがった。

 だってだって、こんなきれいな男の子の手をとるなんて。

 お姫さまじゃないと、しちゃいけない気がする。

「……あ、砂がついちゃったな」

 男の子がポケットからハンカチをとりだして、私の服についた砂をはらってくれた。

 わわわ、なんて親切なっ。

 てか、ハンカチきれい。

「ごめんね、かわいい服をよごしちゃって」

 ひえええっ。

 そんなこと、生まれてから一度も言われたことないっ。

 なんて答えたらいいかわからなくて、私は口をぱくぱくさせた。

 私、めっちゃアホっぽいかも!

「あ、ちょっとじっとしてて」

 男の子のきれいな顔が、ゆっくりちかづいてくる。

 えっ、なにっ、なになになにっ!?

 身をかたくしていたら。

 男の子の指先が、私の頬を、そっとやさしくなでた。

「ほっぺに花びらがついてたから。もうとれたよ」

 男の子が、にっこりとほほえむ。

 ひゃあ────っ!

 顔から火がふきでそう!

 

「──僕、ルカっていいます。今日、この家にひっこしてきたんだ」

 男の子は、となりにひっこしてきた新しい住人だった。

 名前はルカくん。

 私とおない年だって。

「わ、わ、私は、紺野つばさ。こっちの家に住んでるんだ」

「じゃあ、おとなりさんだね。つばさちゃんって呼んでいいかな」

「ふわ、ふえ、は、はいっ」

 男子に「つばさちゃん」なんて呼ばれたの、はじめてだ……。

 胸の奥が、なんだかそわそわする。

「僕のことも『ルカ』でいいから」

「う、うん」

「となりに僕とおない年の子がいて、うれしいよ」

 にこっとほほえむ。

 ひええ……。

 こんな風に「うれしい」を素直に言う男子、はじめて見た……。

 そしてやっぱり、瞳の色がめずらしい。

 青空みたいな、夕焼けみたいな。

 角度によっては、緑にも紫にも見える。

 満天の星みたいにかがやいていて、とってもきれい──。

「──ルカ、そこでなにやってるの?」

 女の人がやってきた。

 一緒に、背の高い男の人も。

 あ、この二人は、もしかすると、もしかして……。

「紹介するね、僕の父さん母さんだよ」

 やっぱりそうだよね!

 なんだか雰囲気が、ルカくんに似てるもの!

 お父さんもお母さんも、とってもやさしそう。

 うまく言えないけど……こんな感じの人たち、この辺じゃ見たことがない。

「僕がつばさちゃんにぶつかっちゃったんだ」

「あら、ダメじゃないのルカ」

「うちのルカがすまないね」

「いいいいえっ! いえいえいえいえっ!」

 風をおこせそうなくらいに頭を左右にふる。

 こんなステキファミリーにあやまられたら、なんだかこっちが申しわけない!

「これから三人で、つばさちゃんちに、ごあいさつに行くところだったんだよ」

 と、ルカくんが言った。

 そうだったんだ、そこに私がとびだして、ぶつかっちゃったんだね。

 ルカくんのお母さんが、私の前にやってきて、

「ご迷惑でなければ、今からおうちにごあいさつにうかがってもいいかしら?」

 ふわーっ、こんなちかくで、こんなきれいな人にほほえまれたらっ。

「は、はいぃっ! うちはぜんぜんっ、だいじょうぶですっ!」

 私はロボットみたいなギクシャク歩きで、三人を玄関へ案内する。

 

「──はじめまして。となりにひっこしてきました。どうぞよろしくお願いします」

 玄関先で、ルカくんたちがていねいに頭を下げて、お菓子らしき箱をさしだした。

 うちのお父さんもお兄ちゃんも翔も、かたまってる。

 ぽかーんと、口が開いたままだ。

「……おい、つばさ、ちょっと」

 最初にうごいたのは、お兄ちゃんだ。

 小声で私を手まねきするので、そばへ行くと、

「なにこれ、なんかの撮影? こいつら芸能人?」

 私にひそひそと耳打ちした。

 そう思いたくなる気持ちも、わかるけど。

「……いや、芸能人なんてものじゃない。この三人のオーラは現実ばなれしてる。なんか光ってる気がするもん。まぶしいもん。月からのおむかえか?」

 お父さんも、小声で私に耳打ちした。

 なんでみんな、私にこそこそ言うのよ。

 翔は……かたまったままだな。

 口をあんぐり開けて、ルカくんたちを見つめてる。

 翔にしてはめずらしいな、ふだんはどんな場所でも騒がしいくせに。

 それくらい、この三人のかがやきがすごいってことか……。

「おとなりさんが、いい人たちでよかったです」

「ほんとね。こんなステキな街に住めるなんて幸せだわ

 ルカくんのお父さんとお母さんが、にこにことほほえむ。

 ああー、なんてさわやかな笑顔なの。

 ここだけ、春の風が吹いてるみたい。

僕もそう思うよ。このままずっと地球に住みたいな」

 ルカくんも、うれしそうに笑った。

 そっかそっかあ、それはよかった、このままずっと地球に……。

 ……ん? 地球?

「あ、思い出した」

 お兄ちゃんが、おもむろにポケットからスマホを取りだす。

「どっかで見たことあるなあと思ったら……さっき見たニュース速報だ」

 スマホの画面をこちらへむけたので、私とお父さんと翔でのぞきこむ。

『こちらが、ラーナ星からやってきた宇宙船の映像です!』

 丸い形をした、UFOみたいな物体が映っている。

『ラーナ星人が一度に地球へ移住するのは混乱をまねくと政府が判断しまして、まずはかぎられた方たちだけが、地球に住むことが決定しました! それがこのご家族です!

 なんかよくわかんないことを、いっぱい言ってる。

 あ、ルカくんだ。

 画面に、ルカくんの顔が映った。

 つづいてルカくんのお父さんとお母さんも。

 こうして見ても、やっぱりかっこいい三人だなあなんて見とれていたら。

 画像の下に『ラーナ星から地球へ移住されるご家族』という文字が。

 ええーと。

 こまかいことはよくわかんないけど。

 シンプルにまとめると、つまり、ルカくんたちは……。

 

 ──地球の人間ではないってこと?

 

 はるか遠くのラーナ星から、宇宙船に乗って、地球へやってきた家族。

 しかも、私んちのおとなりに、おひっこし。

 ……そんなことって、ある?

 くるりとふりかえると、ルカくんたちが、にこにこと笑っている。

「──つばさちゃん、これからよろしくね!」

 

出会った瞬間からドキドキしっぱなしの男の子、ルカくんって――まってまって「宇宙から」お引っ越ししてきたの???
前代未聞の、宇宙級「ご近所」ラブ開幕です♡♡♡


第5回に続く>

【書誌情報】

1月発売予定の胸キュン新シリーズ『宇宙級初恋』!
地球でいちばんステキな男の子と、ウルトラ級にときめく初恋がはじまります!


作:水無仙丸  絵:たしろ みや

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322593

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