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となりのおうちにひっこしてきたのは、地球でいちばんカッコいい男の子!?
学園ラブコメ「ぜったいバレちゃいけません!!!」で大人気♡ 水無仙丸さんの新シリーズは、
反則級にときめくカレと、地球でいちばんステキなロマンチックラブ♡
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運命の人っているのかな?
そもそも、出会ったその人が運命の人ってどうやってわかるんだろう?
だけど。
この地球の遠くの向こう、
何光年も先からやってきたキミと出会って、
ひと目見て分かったよ。
キミがわたしの運命の人だ、って──
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3.だからちがうって言ってんじゃん!
──放課後、家に帰ると。
今日の朝見かけたひっこしのトラックが、もうなかった。
ひっこし作業、終わったみたい。
新しいおとなりさん、どんな人かな。
私と年のちかい子がいたら、友だちになりたいなあ。
あ、でも竜晴みたいな男子だったら、はげしくイヤだな。
竜晴のことを思い出して、ムカムカしながら家の中に入った。
「おー、つばさおかえりー」
お父さんがソファーに寝転がりながら、おせんべいを食べてる。
もう帰ってたんだ、今日ははやいね。
おせんべいのかけらを、ソファーにこぼさないようにしてよ。
お父さんのすぐそばでは、翔が「こんにゃろー!」とさけびながらゲームしてる。
いちいち大声出さなきゃ操作できないんかい。
洗面所では、お兄ちゃんが髪の毛を整えてる。
きっと今から女の子とデートなんだろう。
あいつ……一体どの子が本命のカノジョなんだ。
ま、どうでもいいや。
さて私は、部屋で最新ヘアアレンジ動画でもチェックしよう。
「つばさ~、さっきお前に電話があったぞ~」
リビングからのお父さんの声に、二階に上がりかけていた足を止める。
私に電話? めずらしいなあ。
「だれから?」
「赤川くんから」
「げええっ!」
思わず、変な声が出た。
竜晴から電話!?
ウソでしょ!
あいつが私に、一体なんの用よ!?
「へえー、お前もしかしてつきあってんの? その赤川くんて子と」
お兄ちゃんが、洗面所から、にやにやしながら出てきた。
私は全身にブワッと鳥肌がたった。
「んなワケないでしょ、じょうだんでもやめて!」
今日はこういう感じのこと言われてばっかりだな。
なんでよりにもよって一番キライな竜晴と、仲がいいだの、つきあってるだの言われなくちゃなんないの!?
「おいおい、えらくあせってんじゃーん?」
お兄ちゃんが、さらににやにやと、イヤな笑顔でまとわりついてくる。
「私、あせってなんかないよ!」
「照れんな照れんな」
「照れてない!」
「みんな聞いてくれ~、つばさにカレシができたらしいぞお~」
お父さんと翔が、すごいいきおいで廊下にとびだしてきた。
「マジで!? ねーちゃんカレシできたの!?」
「どんな子なんだ? まず父さんに紹介するのが先だろう」
「赤川くんていう子だよ。ほらここに写ってる」
お兄ちゃんが、学級写真を持ってきて、二人に見せてる。
どっから持ってきたのよそれ!
「ちょっとお兄ちゃん! カレシじゃないって言ってるじゃん!」
「わかったわかった、そういうのもういいから」
「もういいからってなによ!?」
「で、どっちから告白したんだ? お前からか?」
「はああ?」
「照れずに言えよぉ~お前~」
「ねーちゃんスゲー! 告白したんだ!」
「つばさ、カレシくんを今度うちにつれてきなさい。父さんも会ってみたい」
「おお~、いいじゃん、つれてこいよ、つばさ!」
「ねーちゃんのカレシ、俺も見たーいっ!」
「ほら、翔も見たいってさ」
「菓子を準備しないとな……。つばさ、赤川くんの好物を教えてくれ」
ブチッ、と私の中でなにかが切れた。
「──だからちがうって言ってんじゃん!」
せおってたランドセルを床にたたきつけ、ドアを開けて庭へとびだした。
──私、どっかおかしいのかな。
なんだか、だれともうまくわかりあえない。
お母さんが生きてたころは、こんなんじゃなかった。
でも今は、だれと話してても、変な感じがする。
気持ちが、ずっとすれちがってるみたいな。
クラスのみんなには、ちゃんと好きな人がいて。
告白して、つきあったりもしてるのに。
私だけ、だれのことも好きになれない。
クラスの男子も、女子も、家族も、だれのことも好きじゃない。
こんなんじゃ……。
「……私、お母さんみたいになれない……?」
泣きたくなくて、あわてて顔を上げる。
夕焼け空がひろがっていた。
──お母さんは、いつも笑顔だった。
お母さんみたいな大人になりたいって、ずっと思ってた。
なのに、私は毎日毎日、怒ってばかりだ。
『つばさの気持ちを大切にしてくれる人に出会ったら、つばさも、その人の気持ちを大切にしてあげるのよ』
ムリだよお母さん。
そんな相手、どこにもいないよ。
だれも私の気持ちを大切にしてくれない。
いや……私がだれの気持ちも大切にしてないから……大切にしてもらえないのかな。
きっと、そうだ。
私が、ダメなんだ。
わかってる、ほんとはぜんぶわかってる。
私がダメだから、私は、いつまでたってもこのままだ。
このまま、だれのことも好きになれなくて、
だれからも好きになってもらえなくて、
私だけ、幸せになれなくて。
運命の人なんて、いないのもわかってる。
そうだ、私はひとりぼっちだ。
死ぬまで、ずっとずっと……。
ずうっと私は、ひとりぼっちなんだ!
ぎゅうっと目をつぶって走りだす。
すると──。
「──うわあっ!」
道路に出てすぐ、だれかとぶつかって、おもいっきりしりもちをついた。
「す、すみませ……」
しりもちをついたまま、見あげる。
──きれいな瞳と視線が合った。
<第4回に続く>
【書誌情報】
1月発売予定の胸キュン新シリーズ『宇宙級初恋』!
地球でいちばんステキな男の子と、ウルトラ級にときめく初恋がはじまります!