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ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ 刹那の見斬りで悪を断て!』第6回 事件の真相


今度はちょんまげ姿のカービィが、いつものプププランドとはちがう世界で大かつやく!
大人気サブゲーム『刹那(せつな)の見斬(みき)り』の小説版だよ!!

◆第6回

プププ町のみんなに、ふしぎななぞかけでおそいかかる「なぞなぞ仮面」の正体は、メタナイトだった。メタナイトがそんなことをした「事情」が、ついに明かされる!

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事件の真相

 

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 さて、メタナイトは、川ぞいのしだれやなぎの木の下で足を止めた。

 ここなら、人通りがなく、だれかに話を聞かれる心配もない。

 

「手みじかに話そう。私は、ある計画をかなえるために、腕の立つ相棒(あいぼう)を探していた」

 メタナイトは、そう話し始めた。

「あいぼー?」

「うむ。私と対等のうでまえをもつ剣士を探していたのだが、なかなか見つからなかった。だが、あるとき、ひょんなことで知り合った者から、カービィ殿のことを聞いたのだ」

「え? だれ?」

「マホロアという商人だ。ローア丸という小舟に乗り、諸国(しょこく)を旅している……」

「マホロア? うん、知ってる!」

 カービィは、声をはずませた。

「旅のお菓子屋さんだよね。ぼくに、あいすくりんをくれたんだよ」

 メタナイトは、うなずいた。

「マホロアは、以前、ならず者にからまれて困っているところを、たまたま通りかかったカービィなる者に助けられたと言っていた。その礼として、異国の菓子あいすくりんを贈った、と」

「そうそう! すっごく、おいしかったんだ! マホロア、元気かなあ」

「聞けば、カービィ殿は居合(いあい)の達人とのこと。私が求める相棒にふさわしかろうと、マホロアがすすめてくれたのだ。私はマホロアに、カービィ殿を紹介してほしいと願ったのだが、彼はいそがしく、プププ町をおとずれる時間がないという。そこで、カービィ殿の人相(にんそう)を教えてもらったのだ。マホロアによれば、カービィ殿は『桃色で、まるい』とのこと……だが、その手がかりだけでは、ふじゅうぶんだった」

 メタナイトは、夜空をあおいだ。

「私は、計画をひみつの内に進めたかったから、行動できるのは夜にかぎられるのだ。とおりかかる者の色や形は、暗がりでは見分けにくい」

「ふぅん……?」

「すると、マホロアはさらに別の知恵をさずけてくれた。それが、あいすくりんなのだ」

 マホロアによれば、あいすくりん、つまりアイスクリームは、めずらしい異国のお菓子だとのこと。

 めったに手に入らないお菓子だから、プププ町で知っているのは、カービィだけ。

 つまり、『あまくて白くて冷たいものは?』と質問して、あいすくりんと答えられたら、カービィに決まっている。

「そこで私は、道行く者に問いを投げかけ、カービィ殿かどうか確かめていたというわけなのだ」

「そんなめんどくさいことしなくても、『きみ、カービィ?』って聞けばいいのに」

「言っただろう。私の計画は、ひみつの内に進めなくてはならないのだ。カービィ殿を探していることも、町民たちに気づかれたくなかったのだ」

「ふぅん……でも、ぼくがカービィだってわかったら、どうしていきなり斬(き)りかかってきたの?」

「むろん、カービィ殿の腕前(うでまえ)を確かめるためだ。マホロアのお墨つきではあるが、やはり、この目で見なければ信じられないからな」

 メタナイトは、あらためてカービィに頭を下げた。

「試したりして、もうしわけない。カービィ殿の腕前(うでまえ)は、私が思っていた以上だ。ぜひとも、お力をお貸(か)し願いたい」

「えっと……」

 話を聞いても、カービィにはやはり、わけがわからなかった。

「力をかすって? どうすればいいの?」

「あちらを見てほしい」

 メタナイトは片手を上げ、町の中心の方角(ほうがく)を示した。

 そこにそびえているのは、もちろん、巨大なプププ城だ。

「私は、あの城に潜入(せんにゅう)したいのだ」

「え? お城に……?」

「カービィ殿は、あの城の主のことを、ごぞんじだろうか」

「うん、お殿様でしょ? 見たことはないけど……」

「城主の名は、ロクエモンという。もともとは、諸国(しょこく)をふらつく小悪党(こあくとう)にすぎなかったのだが、あるとき、とてつもない力を手に入れてな。その力を使って、もともとのプププ城主を追い払い、その座をうばってしまったのだ」

「とてつもない力って?」

「とある里に代々伝えられてきた、秘伝(ひでん)の巻物だ」

「……え!?」

 カービィは、ハッとした。

 メタナイトは続けた。

「その巻物の名は、『せつなの巻』。必ず相手よりも早く斬(き)りかかることができるという、必殺の剣術が記されているらしい。ロクエモンは、それをぬすみ出したのだ」

「…………」

「私は、最強の剣豪(けんごう)となるために、ぜひともその秘伝(ひでん)の巻物を手に入れたい。そこで、カービィ殿……カービィ殿?」

 メタナイトは、ふしぎそうにカービィを見た。

 カービィは、うっとりと宙(ちゅう)を見つめていた。

「おでんの巻物……! うわあ、ぼく、大好きだよ! ゴボウ巻きも、エビ巻きも!」

「……カービィ殿。話を聞いておられるのか?」

「ちくわも、はんぺんも好き。だいこんも、もちきんちゃくも好き。あと、あと……!」

 カービィは、よだれをたらしそうになっている。

 メタナイトは、聞かなかったことにして、せきばらいをした。

「城主ロクエモンは、だんご税などの悪法(あくほう)を乱発(らんぱつ)し、町民たちを苦しめていると聞く。ロクエモンを成敗(せいばい)するためにも、巻物を奪取(だっしゅ)せねばならぬのだ。力をお貸し願えるだろうか?」

「うん! おだんご税も、きなこ禁止令も、ゆるせないもんね! 殿様を倒して、おでんの巻物を取り返すぞ!」

「……秘伝(ひでん)の巻物だ。ともかく、恩にきる」

 メタナイトは、ホッとした様子を見せた。

「ぼく、なにをすればいいの?」

「今のところは、まだ、なにもしなくていい。まわりの者にあやしまれぬよう、いつもどおりにふるまっていたまえ。くれぐれも、私のことをだれかに話さぬように」

「わかった!」

「計画がさだまったら、こちらから連絡する。では、さらばだ」

 メタナイトは、シュッと姿を消していた。まるで、闇(やみ)にとけてしまったかのように。

 カービィは、長屋に向かって歩き出した。

「ふしぎな、おさむらいだったなあ。マホロアのことを知ってるなんて、びっくりしちゃった。マホロア、元気にしてるかな? ローア丸、水もれしてないかな?」

 カービィは、ボロボロの小舟ローア丸と、それに乗った親切な行商人マホロアのことを思い出して、にっこりした。

「会いたいな、マホロア。また、あいすくりんが食べたいなあ……」

     


悪行ざんまいのお殿様・ロクエモンを、メタナイトと協力して倒すことになったカービィ。ロクエモンから秘伝(ひでん)の巻物「せつなの巻」をうばい、プププ町に平和を取りもどせ!
でも、この計画は、カービィとメタナイトだけのひみつ。のんきで正直もののカービィに、はたして、「ひみつ」が守れるか……? 次回「カービィのかくしごと」をおたのしみに!
(3月10日公開予定)
 


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