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おうち時間を楽しもう《聞かせて!聞かせ屋。けいたろう》 第2回 絵本解体新書!良い絵本って、何が良いのでしょう?

良い絵本って、何が良いのでしょう? 今回じっくり見つめてみたいのは…


『いっしょにするよ』
作:風木一人 絵:たかしまてつを


主な対象を0~2歳とした[赤ちゃん絵本]だと思います。まず、表紙がすごくシンプル! タイトルの文字体もスタンダード! 「赤ちゃんの絵本デビューにどうぞ」感があって、安心しますね。



めくると、5羽の小鳥が歩いています。
“いっしょに おさんぽ するよ。 とこ とこ とこ とこ”
実にシンプル! でも、一羽だけ茶色という“良い違和感”があるからか、物足りなくは感じませんね。
背景色も白で、主役の彼らに自然と目が向きます。赤ちゃんもきっと、そうでしょう。



鳥たちが泥の中に。べったり塗られた泥色が気持ち良いですね。そして、ここから気持ちの良い音が続きます。




「ぱしゃぱしゃ」→「ぺたぺた」→「じゃっぼん」
はい、皆さんも声に出して!
「ぱしゃぱしゃ、ぺたぺた、じゃっぼーん!」
何となく、言うと気持ちが良いですね。楽しいですよね。「ぱぴぷぺぽ」「ばびぶべぼ」がうまく含まれているのがその秘訣。上下の唇がくっついて音が出る[ぱ行][ば行][ま行]は、両唇音(りょうしんおん)。言えば何だか気持ち良い音、美味しい音です。ここで、赤ちゃんがよく発する言葉を思い出してみましょう。
「ぱぱ、まま、ばぁ、ぶーぶー、あばあば…」
ほら、赤ちゃんの頃から、皆大好きな音なのです。赤ちゃん絵本は、文字が少ない。だからこそ、少数精鋭。良い音が使われているのですね。



その後、鳥たちは「ぴょん!」と水から上がると、「ぶるぶるっ ぶるぶるっ」と体を振って、乾かします。
これまでのページは、白い背景→泥の茶色→水の青色と、シンプルで明確な色の変化も美しかったですね。赤ちゃんにも伝わりやすい美しさだと思います。



次ページは打って変わってカラフル! 赤ちゃんにとっても、ボールは身近ですよね。ここで注目!
ボールの5色は、黄色→くちばしの色、青→水の色というように、別の部分でも使われています。使用する色の数を、敢えて少なくしているのではないでしょうか。ここでも、シンプルイズベストを感じますね。
それから木の実を「ぱくぱく」食べて、「ぽっとん」とフンをして、「しゅっぽ しゅっぽ」と電車ごっこで母鳥の元へ。



ラストへ向かう流れも自然で楽しく、音も良く。流石です。終盤のふた場面だけ、背景色がしっかり入っているのですが、ここにもきっと理由があるのでしょう。

作者さんに聞いてみたいですね。
そう! 僕は作者ではないので、ここまで書いた事は僕の推測です。偉そうに書いてごめんなさい(笑)。見解が間違っている事があるかもしれません。
でも、この絵本が“良い絵本”であることは、間違いありません。…この言葉を持って作者のお二人に、勝手な推測を許してもらおうと思います。(許可は頂きました!)

皆さんも是非、大好きな絵本をじっくり見つめてみてください。それが良い絵本である理由が、きっと見つかると思いますよ。


「とり」シリーズの作者・風木一人さんと、トークショー


実はこの絵本は、同じ作者による「とり」シリーズの三作目。
前二作も流石の出来ですよ!

 

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