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聞かせて!けいたろう 第1回 絵本解体新書『フンころがさず』

読み聞かせのトップランナー、聞かせ屋。けいたろうさんの新しい連載が始まります。第一回は、5月21日に発売された『フンころがさず』を、けいたろうさんがじっくり読み解きます。

良い絵本って、何が良いのでしょう? 今回じっくり見つめてみたいのは……。



フンころがさず
絵:高畠 純 作:大塚 健太

これ、衝撃的ですよね。「フンコロガシ」が絵本の主役になるなんて。タイトルが無かったら、この生物が何者なのか確信が持てません(笑)。そんな彼を主役に据えるとは……なんてアクロバティックなんだ!!

……それでは! めくってみましょう。
 



ぼくは フンを ころがすのが だいすきな フンころがし。
うんうん。それは知っている。むしろ、それしか知らない。

 



“まわりのみんな”に「フンを ころがすなんて へんなやつだな」と言われた事が物語の発端。同じ虫だけでなく、犬も鳥も来ているのが楽しい所。この絶妙な上から視点、スゴいですよね。
 



フンを ころがすなんて もう やめてやる!
フンコロガシ、大きく出ましたね(笑)。心なしか、絵も大きいです。主張の強さが伺えます。
このお話を考えた大塚健太さん、すごいアイデアですね。「フンコロガシがフンを転がす事を辞める」彼にとっては一大事。これだけで十分、一冊の絵本になりますよね。限り無く絵本が出ている現代に新しいお話を作るのは、本当に大変なのです。

こうして彼は、自分探しと改名の旅に出ます。



絵としては、主役がページの中央あたりに描けるように、地面で底上げをしているはず。文章は色を変えて、土の中へ!お見事です。そして、おそらく数時間後に出た結論がこちら↓



そうだ! フンを ころがさないんだから 「フンころがさず」これで いこう!
『フンころがさず』素晴らしい結論ですよね(笑)
そして、高畠純さんの絵。背景も素晴らしいです。オレンジ一色が気持ち良い。

「フンころがさず」になったあとのこの背景。広がる青空が彼の心を表していますよね。



絵にも「間」があるように感じます。本当に清々しい。
良い絵本には、こういうページが入るような気がします。
しばらく開いていたくなる、味わい場面です。

(次ページへつづく)


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