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子どもの発達お悩み相談室 第37回 「30週757gで生まれた5歳の娘。おしゃべり好きなのですが、単語のつながりがおかしくて会話になりません。」


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。※金曜・不定期更新

Q37:30週757gで生まれた5歳の娘。おしゃべり好きなのですが、単語のつながりがおかしくて会話になりません。

■家族状況
こあこ(相談したい子の母、40代後半)、夫、長女(12歳)、次女(相談したい子、5歳)

■ご相談
 胎児発育不全で30週757gで生まれた次女5歳、知的発達の遅れがあり児童発達支援と保育園(一般的な保育園)に通っています。発達の遅れは主に理解力と言葉で、理解力については少しづつでも前進しているので、このまま出来ることをしながら成長を待とうと思うのですが、発する言葉についてどうしていけば良いのかなかなか分からず、相談させていただきたいです。

 おしゃべりは好きでたくさん話をしてくれるのですが、「てにをは」が間違いだらけなのはもちろんのこと、たくさんの単語を一度にメチャクチャな順番で並べて話すので、何を話したいのかが分かりません。例えが難しいのですが、「今日ね、パパがね、ママがね、ねぇねがね、いっしょに滑り台のね、公園のね、階段の上がね、下がね、暗いの」のような感じで、たぶん「今日家族みんなで公園にいって滑り台をしたこと」「どこかの階段の電気が切れていた??」ことなどを話したいのかなとは思うのですが、話の繋がりも、なにを伝えたいのかもよく分かりません。これかな?と思うことについては「今日みんなで公園の滑り台したのが楽しかったの?」など、整理して聞き返してみるのですが、これが正しい対処法なのかも分からずです。理解力も遅れているので言葉も遅れているのだとは思いますが、それにしてもこの言葉の発し方をどうやって治していったらいいのかも分かりません。ちなみに吃音もあり、市の言語聴覚士さんには相談済みですが、現状は様子見となっています。アドバイスありましたらお願いいたします。

A. 専門家の回答

生きていてくれることが奇跡。
少しずつの成長を喜びましょう。

未熟児ではなく低出生体重児
 体重だけを見ると、以前は出生時の体重が2500g未満の場合、「未熟児」と呼んでいましたが、現在では、低出生体重児と呼んでいます。分類としては、

4000g以上=高出生体重児
2500g以上4000g未満=正出生体重児
2500g未満=低出生体重児

となっており、低出生体重児の中でも1500g未満を極低出生体重児、1000g未満を超低出生体重児と呼んでいます1500g未満の低出生体重児の割合は1980年には0.4%だったのが、2017年には0.7%となっており、医学の発達によって、以前は救えなかった命が救えるようになりました。

 ちなみに、出生体重による分類とは別に、在胎期間(胎児がお母さんのお腹にいる期間)による分け方もあり、在胎37〜42週未満での出産を正期産、37週未満を早産、42週以上を過期産と呼んでいます。こあこさんのお子さんの場合、早期産の低出生体重児、ということになります。

話しかけることで言語能力がアップ
 極・超低出生体重児の場合、運動発達や言葉の発達が遅くなることがわかっており、出生体重が低いと発達も遅れがちです。

 それでも、そこまで単語がたくさん出てきておしゃべり好きというのは、順調に発達している証拠ですね。何より、自分がやりたくてやっている時に、脳は発達しているので、気持ちよくお話させてあげましょう。

 その際のこあこさんの関わり方について、不安に思われているとのことですが、話したいことを整理して聞き返す、という今の接し方でよいと思います。そしてもう一度言ってみようか、と正しい語法で話させる。それをくり返し行い、できたらほめることで、単語と単語を繋げる脳のネットワークが強化されていきます。

 また、言語の発達はいかにその子に言葉のシャワーを浴びせるかがとても大事です。特に幼児期には、毎日の生活の中で、なるべくたくさん話しかけてあげましょう。一緒にテレビを見ていても黙って見るのではなく「今の面白いね」など話しかけてください。

 話しかけることで脳内では、音を聞くところ、音を聞いて単語を識別するところ、覚えるところ、文にするところなどが働いて、ネットワークがつながっていきます。もちろん、お子さんのお話にも根気よくつき合ってあげてください。「会話」が言葉の発達には欠かせません。

低出生体重児で気をつけること
 ところで、なぜ低出生体重児が生まれるのか、その原因はさまざまですが、妊娠中の喫煙との関連は多くの研究があります。妊婦本人の喫煙だけでなく、受動喫煙も、低出生体重児誕生のリスクを増加させるので注意が必要です。

 また、「小さく産んで大きく育てる」と言われるように、あまり妊娠時の体重を増やしすぎないように厳しく指導されていた時期もありましたが、妊婦の行き過ぎた体重制限は胎児に栄養が十分行かないことにもなりかねません。妊娠中は適正な体重管理が大切です。

 また、母乳には赤ちゃんの免疫を高める物質が多く含まれていて、栄養面でも優れていることはよく知られていますが、考えたり判断したり覚えたりといった認知機能の発達にも大きな影響を及ぼすことがわかってきました。例えば、ほぼミルクで育った人に比べて、母乳で育った期間が長かった(1年以上)子どもほど、知能が上がっており、30年後の月収も高いということが追跡調査で明らかになっています。特に低出生体重児は認知機能の働きが弱いことが指摘されているので、可能な限り母乳で育てられるとよいでしょう。
 

(※第38回は8月12日(金)に更新されます)

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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